新設計ドライブ、完全自社設計チップを搭載
エソテリックの旗艦トラポ&DAC「Grandioso P1X/D1X」。その画期的な技術を開発担当者が語る
鈴木 VRDS-ATLASはコスト的にはどうなんですか?
加藤 飛びぬけて高いですね。
鈴木 下位の機種には載せられないですか?
加藤 鋼鉄にしてもアルミにしても切削加工品をやめて、金型化して鋳造品を使う、というようなことは漠然とは考えていますが、どうでしょう。
■電流伝送にフォーカスするとDACも大きなサイズが必要
鈴木 そしてGrandiosoD1X、いよいよディスクリートですね。基板を見ているだけで興奮します。
加藤 電流伝送であるES LINKアナログとか、電流というところにフォーカスしてみると、やっぱりしっかりした電源部と、たっぷり電流を流せる太い道が必要で、じゃあDAC部も好きな大きさで作るといったい何が起こるのか? っていうのがスタートでした。世の中にディスクリートでやっているメーカーさんがいくつもあるので、しっかりやればできるんだろうなって(笑)。
鈴木 やってみてどうでしたか?
加藤 DACチップを作られてる方のご苦労っていうのは見えてきました。逆に、チップ屋さんは困ってるけど、僕らは大きく作れるので、やりやすいこともありました。
鈴木 基板の上にサークルがあって……。
町田 そうですね、最初は見た感じからいろんな名前を考えました。鳥が羽根を広げているようにも見えるのでフェニックスDACとか。でも最終的にはマスター・サウンドが大事、という我々の哲学を表す、シンプルな名前にしました。
■高解像度化していくと明らかに違いが出てくる
鈴木 64bitの高解像度って、すごいですね。
加藤 FPGA(プログラムできるLSI)のおかげです。よくご批判を受けるのは、アナログのノイズフロアより下の話をいくらがんばったって、差は出ないでしょうと。でも出そうしてきちんとやっているのと、どうせ出ないんでしょう、と切り捨てるのと結果は違うように感じています。そもそもCDプレーヤーって16bitですけど、24bitとか32bitを作ってみたら、明らかに違いが見えたんですから。
町田 数字が一人歩きしてはいけないんですが、ぜひ音を聴いて判断してほしいです。
鈴木 中身はフルモデルチェンジと思いますが、外側のデザインを変えなかった理由は?
町田 すでに完成されたデザインなので、あえて変える必要はないと考えました。末永く使っていただくことがフラッグシップモデルでは特に重要だと考えています。
鈴木 とにかく早く試聴をしてみたいですね。ありがとうございました。