<山本敦のAV進化論 第192回>
ソニー「Xperia 1 II」開発者に聞いた、プロも納得の贅沢機能を“凝縮”できた理由
■スマホの常識を越える極上のスピーカーサウンド
Xperia 1 IIはハイレゾスマホとして、またドルビーアトモスに対応するシアター体験を楽しめるスマホとして。音質を磨き抜いた。サウンドのインプレッションは前回のレポートで詳細に報告しているので、今回はオーディオ設計に携わった松本氏にこだわりの箇所を聞いてみたい。
Xperia 1 IIには3.5mmアナログヘッドホン端子が搭載されている。ヘッドホン・イヤホンとの有線接続によるハイレゾ出力も可能だ。内蔵するステレオスピーカーは音道配置を見直してボックスの容積を拡大。左右両側のスピーカー開口部を正面に向けてステレオイメージの向上を図った。
ヘッドホンとスピーカー、両方に共通する特徴として、松本氏は音場の広がりと音像定位の向上、空間表現力の底力が増したことなどを挙げている。特にボーカルや台詞の明瞭さに磨きを掛け、過剰な強調感を持たせることなく原音に限りなく近いプレゼンスを表現することに腐心したそうだ。
Xperia 1 IIの映画再生におすすめのドルビーアトモスはソニー・ピクチャーズエンタテインメント、音楽再生などのベースとなるオーディオチューニングはソニー・ミュージックエンタテインメントのエンジニアからも協力を得て、丁寧にチューニングを追い込んだ。松本氏は「映画・音楽のコンテンツ制作のスペシャリストである方々にも、ナチュラルに人の声を再現できることがトッププライオリティであるという指摘を受けてきた」と振り返る。
音楽コンテンツの再現性では「音色の正確さ」にも気を配りチューニングを追い込んだ。特に内蔵スピーカーについては「モバイル端末であることに妥協することなく、一歩ずつハイファイのクオリティを目指してブラッシュアップを重ねてきた」と松本氏が強調している。その言葉の通り、Xperia 1 IIの内蔵スピーカーでミュージックビデオを再生してみると、解像感の高さを活かし切った自然な声の表現力と、緻密でリアリティに富んだ音色に思わず息を呑む。
松本氏に、Xperia 1 IIのスピーカー再生の実力を存分に味わうために最適なコンテンツを訊ねた。
「スピーカーは従来よりもワイドレンジになり、特に低域側の性能がアップしています。数100Hz近辺のプレゼンスが上がっているので、楽器の音色にボディ感が出てくると思います。もちろんボーカル曲も良いのですが、楽器の多い曲を聴くと、さらに音色の精度や定位の分離感の良さがおわかりいただけると思います。近年のJ-POPの楽曲には、アレンジャーが趣向を凝らして様々な効果音を盛り込んだ楽曲も多くあります。沢山の音が同時に鳴った場面で、細かな音の粒がきれいに分離し、立体的な空間イメージを出せるXperia 1 IIでは、さらに気持ちよく楽しんでいただけるはずです」と松本氏が答えている。
■ハイレゾ再生を極めるために、帰ってきた3.5mmアナログヘッドホン端子
オーディオに関係するところでは、他にも前機種から多くのアップデートがある。まずは3.5mmアナログヘッドホン端子が復活した話題に戻り、その背景を渡邊氏に訊ねた。
再度端子を搭載した理由はふたつあるという。ひとつは「好きを極めたい人々に、想像を超えたエクスペリエンスを届ける」というXperia 1 IIのコンセプトに従って、ヘッドホン・イヤホンによるハイレゾ再生の品質を極めるためには、やはり3.5mmアナログヘッドホン端子が不可欠だったからだ。