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Charioが求める、測定できない「音楽性」とは? 美しい無垢材スピーカーへのこだわりに迫る
−− スピーカーに使用しているドライバーユニットの性能も高そうですね。発表会では3ウェイ・トールボーイスピーカーの「CIELO」、2ウェイ・ブックシェルフスピーカーの「SONNET」などを聴きましたが、出音をつぶさに注視していると、良質なドライバーから出る情報量がある音を、美しい響きを持つキャビネットでさらに音楽性を高めているように感じました。またボーカル帯域の質感がよく、ネットワークの性能も高そうです。
ミシェール氏 当社のスピーカーは大口径振動板を採用したトゥイーターを搭載しており、ACADEMY以外は、すべて38mmのソフトドームタイプのトゥイーターを採用しています。また、ウェーブガイドといわれる波形制御機構を組み合わせ、指向性をコントロールしています。これにより当社のスピーカーは、価格以上の空間再現性を持っていると自負しています。
アレサンドロ氏 インテリアにこだわるユーザーにも支持されています。そのような部屋では、なかなかベストポジションにスピーカーを置くということが難しいものの、それでも部屋中を良い音で満たしてくれます。そこは強みですね。
■数字ではわからない感覚 “音楽性” にも注目
−− チャリオのスピーカーを置いているショールームを取材したときや、実際に自室にLynxを置いた時に感じたことですが、確かにサービスエリアが広かった。3角形の頂点で聴けば明瞭な音像が出ますし、そこを外れてもfレンジが急激に狭まらないことが印象的です。そして何よりも、素晴らしい音と美しいキャビネットに感銘を受けました。オーディオ的な再生能力と音楽性が高く、購入後の満足感はかなり高いと思います。
ミシェール氏 音は機械的にも測定できますが、私たちは測定値には表れない「音楽性」を非常に重視しています。300Hzくらいに音楽性を左右するポイントがあり、そこに注目しています。
−− 自宅試聴では、取材の時間を忘れて音楽に没頭してしまったんですよ。予定よりも、たくさんの音楽を聴きました。
ミシェール氏 それは嬉しいですね。また、当社のスピーカーは購入されたお客様が長期間使ってくれることも特徴です。この間は、30年前に購入されたお客様から修理の依頼が入りましたよ。
−− まさに愛されるブランドですね。キャビネットの質感の高さやビルドクオリティに優れており、一生ものになるからでしょう。
アレサンドロ氏 当社のスピーカーの最大の強みは、デザインに加えて音楽性の高さだと思います。ムダに刺激的な音がせず、音楽を長時間快適に楽しめます。それが長い間愛用してくれる理由の1つになっているかと思います。
−− チャリオのスピーカーをどんな方に使って欲しいですか?
ミシェール氏 若い方に使って欲しいですね。アジアでは26〜27歳以上のオーディオ/音楽ファンが当社のスピーカーに興味を持ってくれています。しかし、ヨーロッパやアメリカではもっと年齢層が高いですね。
アレサンドロ氏 音楽を聴く文化は大きく変わってきていると感じます。昔はもっとソーシャルな環境、例えばみんなで一緒に1つの音楽を聴いていたと思うのですが、今はバスや電車を待っているときなど、パーソナルな再生形態が増えているような気がするのです。
音楽を聴くという行為自体の需要が、今後どうなるのか少し気になっています。先だってはミラノで高校生を招いてイベントを行いました。そこではクラシックではなく、彼らがいつも聴いている音楽を再生したのですが、普段イヤホンやヘッドホンで音楽を聴いていた彼らが「こんなに良い音があるのか」と感激してくれました。これからもできる限りのことをして、良い音で音楽を聴くことの素晴らしさを伝えていきたいです。
−− とても共感できます。今の若者は周りに良いデザインのプロダクトが溢れていて、そして音楽の趣向も様々です。そんな若者が大人になったら、オーディオに対するデザインの重要度は上がってくるでしょう。私は彼らにも、そして多くのオーディオファイルにも、スピーカーの良い音で、音楽を聴いてほしいと思います。本日はありがとうございました。
今回話を聞いた2人は、まさに僕たち日本人が想像する「音楽が好きな明るいイタリア人」といった感じだった。そんな印象とシンクロするように、チャリオのスピーカーは明るい音楽性をもっており、工芸品のような美しいキャビネットと相まって、現代オーディオの中でも大きな魅力を放っている。
初めてチャリオの製品を見たときに「オーディオファイルや音楽ファンが、一度こんな美しいスピーカーを使ったら、なかなか買い替えられないだろうな」と感じたが、今回のインタビューで改めて、その魅力が同社の並々ならぬこだわりの産物であることを実感した。
(特別企画 協力:株式会社タイムロード)