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<開発者&評論家対談>話題騒然の注目機! ソニー「SA-Z1」「DMP-Z1」の音質・思想・技術を徹底解明!
佐藤氏 まず、(DMP-Z1より先にSignature Seriesで展開していた)ウォークマンNW-WM1Zについて、我々としてはモバイルオーディオ用途を意識していたのですが、家でも使っている方が多いというのがわかったんです。なかにはソニー以外の大型ヘッドホンでも楽しみたいという方もいらっしゃって、じゃあWM1Zの次に必要なものってなんだろうと考えたときに、ヘッドホン出力にこだわるべきだろうとなりました。
私の部隊は従来はウォークマンを担当しているところでしたので、まず電池駆動だろう、そして大出力のためにはDACにアナログアンプだろうという構成になりました。これがDMP-Z1の出発点ですね。家や旅先で、好きなヘッドホンやイヤホンで好きな音楽を楽しんでほしいなというのが基本的な考え方です。
編集部 岩井さん、DMP-Z1について改めて質問してみたいことはありますか?
岩井氏 DMP-Z1のことを最初に知らされたときには、私も「何を考えているんだ」と驚きましたね(笑)。ただ、それくらい突き抜けていて、いかにもソニーらしい、いいプロダクトだなという印象でした。そこにもっていくまでにはいろんな苦労があったと思うのですが、具体的にはどのあたりが一番大変だったのでしょうか?
佐藤氏 全部です(笑)。まぁ一番大変だったのは電源ですかね。ウォークマンでは充電池でプラマイ電源を実現するというのはやったことがありませんでしたので。充電池というのは、プラマイの状態では充電できません。充電時と音楽再生時で完全に回路を切り離さないといけないんです。この部分で電源担当にもの凄く苦労をかけてしまいました。ただ、そのぶんクリーンな電源をつくれて、「DMP-Z1の音」を実現できたのがうれしかったですね。
■DMP-Z1 アナログ段へのこだわり
岩井氏 DMP-Z1はアナログ部分もかなりこだわっていますよね。そのおかげで、ヘッドホンでありながら奥行き感も感じられるような音になっていると思うのですが、アナログ段のつくりこみにおけるこだわりを教えてもらえますか?
佐藤氏 まず、H型のシャーシにしてデジタルとアナログの回路を完全に分離してお互いの干渉を避けています。これまでのウォークマン開発でもずっとやりたいと思ってことなのですが、ウォークマンは筐体が小さいので難しかったんです。DMP-Z1は据え置きで筐体が大きくなったので、以前からの想いが実現できました。
次に、アナログボリュームですね。冷静に考えれば、この時代はボリュームICを使うのが常識だと思うのですが、DMP-Z1は電池駆動ということで消費電力を抑えたいという考えがありました。これでも消費電力のことを考えているんですよ(笑)。
アナログボリュームはパッシブなので電力を使いません。かつ、凄く音もいいんです。開発当初、アナログアンプを使うにあたってボリュームは大切なので「一応これは聞いとかないと」とアルプス電気さんに相談したら、「なぜ(ウォークマンをつくっている)あなたの部署でこのボリュームが必要なんですか?」と言われてしまって(笑)。他の方式も考えてはいたんですが、このボリュームを使ってのサンプルを聴いてみたら「これは変えられないね」と。そういういきさつでこのボリュームを採用することになり、それを入れられる厚さが必要になって必然的に筐体も厚くなっていったんです。
また、DMP-Z1には、ソニー独自のデジタルアンプ「S-Master」は搭載していません。S-Masterは、ウォークマンのサイズにはベストなものですし、電力に余裕がある据え置きオーディオでハイブリッドでのS-Masterは本当にいい音がするのですが、電池駆動でパワーを出そうとするとS-Masterではなく今回のようなアナログアンプでの構成がベストだろうという結論に至りました。
■SA-Z1開発の前後で変わったヘッドホンリスニングへの想い
編集部 そんなDMP-Z1ですが、SA-Z1が登場したことによってニアフィールドリスニングにも活用できるようになりました。加来さん、ニアフィールドリスニングの魅力とはどんなところにあるのでしょうか? 改めてお聞かせください。