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<開発者&評論家対談>話題騒然の注目機! ソニー「SA-Z1」「DMP-Z1」の音質・思想・技術を徹底解明!
加来氏 大きな要素としては「同軸」と「時間軸」という2つです。
まず、今回は同軸の精度にもの凄くこだわっています。一般的に、スピーカーユニットの軸精度というのは接着剤を多用する関係で、正直言ってそれほど精度が高いわけではないんです。それでもちゃんとした音が出せるというのがスピーカーの構造というわけですね。しかし今回は、軸の精度にとことんこだわったときにどんな音になるのかを聴いてみたいと思ったのです。
そのトライアルのひとつとして、スピーカーユニットのつくりかたそのものにもメスを入れています。ソニーにはα(アルファ)というカメラもあるわけですが、カメラレンズの軸はもの凄く精密に合わせてつくりますので、その面でアドバイスを求めにいきました。
こちらが「スピーカーではこうやって軸を合わせてます」と伝えると「そんなのは軸合わせじゃないよ」と言われるくらいでしたね(笑)。そんななかでいろいろとアイディアをもらって、従来のスピーカーユニットのつくりかたでは軸を追い込めないという結論に至り、全く違うアプローチをとりました。
そして、そのスピーカーユニットの前側にトゥイーターのI-ARRAYをどうやってつければど真ん中に軸が合うかという精度の問題もあります。ダイキャストフレームでつくると精度が出ないので、切削を入れてメカ精度を上げていきました。
そして時間軸についてですが、SA-Z1は片チャンネルあたりデジタルアンプを4基、アナログアンプ4基、左右スピーカーで合計16基のアンプを搭載しています。ユニットとしても4チャンネル分の独立制御を行っています。
通常のスピーカーですとバッフル板にトゥイーターとミッドレンジ、ウーファーが縦に並びますが、今回は奥行き方向にI-ARRAY、メインウーファー、アシストウーファーが並んでいます。つまり、軸精度は高いですが奥行き方向の物理的な距離はバラバラなわけです。これをFPGAで時間軸を高精度に制御し、各ドライバーが奥行き方向で同じ位置に並んでいるかのように制御しています。
そしてもうひとつ、左右スピーカーどうしの時間軸を合わせるという問題もあります。今回は専用のデジタルケーブルを使うようにしましたが、デジタルで左右を合わせるのは、実はもの凄く大変なんです。しかし今回はメンバーで知恵を出し合って、左右の時間的なズレをほぼゼロ、測定できないレベルまで合わせました。
このように、同軸の精度と時間軸の精度を極限まで追い込んでいくことによって、SA-Z1の音を実現したわけです。凄く立体的な、目の前にアーティストがいるかのような世界観が実現できていると思います。
■DMP-Z1が目指したヘッドホンリスニングとは
編集部 次はSA-Z1が提案するニアフィールドリスニング、そして従来のヘッドホンリスニングという2つのオーディオスタイルについて聞いていきたいと思います。
近年は「家の中でもヘッドホンで音楽を聴く」というスタイルが一般的になっています。佐藤さん、DMP-Z1はまさにそうしたスタイルにうってつけな音楽プレーヤーだと思うのですが、DMP-Z1が目指したヘッドホンリスニングとはどういうものだったのでしょうか?
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