【特別企画】山之内正・土方久明 両氏が対談&レビュー
ハイレゾストリーミング時代の有力な選択肢。マランツ「PM7000N」の魅力を評論家が徹底討論!
山之内 聴き方がさらに自由になりましたね。アーティストが並べた曲順で再生しないことも増えているでしょうし、アーティスト側も、例えば先ほどのアリス=紗良=オットさんご本人に聞いても「聴き手の世界が広がるならそれで構わない」と言っています。
土方 たしかにそうですよね。
山之内 ストリーミングだと聴き比べがしやすいのも魅力です。同じアーティストの別のアルバムだったり、作品に参加してるミュージシャンの別の録音だとか、いくらでも広がっていくじゃないですか。ロスレス/ハイレゾになった今だからこそ、もう一度音楽の良さを再認識するチャンスだと思うんですよね。
また、録音があまり良くないCDで以前に聴いてがっかりした曲も、ハイレゾ/ロスレスストリーミングで聴き直してみると「えっ!?」というぐらいにいい音で鳴る、ということもあります。
編集部 たしかに、昔の曲を聴き直すきっかけになるというのはありますよね。これがCDみたいな物理的なメディアの場合、一回棚にしまってしまうと、そこからもう一回自分で取り出すかというと…
山之内 ほぼ間違いなく、しまい込んだままですよ。一方で、こういうストリーミングサービスのライブラリはいつでも出てきますから。その違いは音楽好きな人ほど実感できると思います。そして、そのときには音のクオリティがかなり大事ですよということです。
土方 家のオーディオをちゃんとセッティングすると、ロスレス/ハイレゾか、圧縮音源かという差は結構出ますよね。
山之内 結構どころではないですよ。2次元か3次元かくらいの差がありますよね。
土方 気軽に聴けるストリーミングだからこそ、やっぱりいい音でいっぱい聴きたいなと感じます。そういう点で言うと、今日の「PM7000N」でのストリーミング再生はかなり音がよかったですよね。
山之内 ええ、B&W「800 D3」をちゃんと鳴らしてましたからね。10万円ちょっとのアンプとしてはびっくりするレベルでした。
■HEOS対応製品はハイレゾストリーミング時代の有力な選択肢
編集部 究極的には、今回みたいに「PM7000N」とスピーカーだけで結構なレベルのオーディオシステムが完結できてしまいます。
土方 そういう使い方も今の事情にマッチしてると思いますね。このプリメイン1台だけで、このレベルの音楽体験ができちゃうっていうのは本当にすごいですよ。
山之内 音楽ソフトに限らず、まわりに物をあまり置いておきたくないといういう人が今多くなっています。そういうライフスタイルの中では、ストリーミングってものすごくシンプルで使いやすいですよね。
一方で、手持ちのいろいろなメディアがたくさんあるとか、データが何TBもあるというときに導入する場合は、ストリーミングに全部一気に移行するの難しいでしょう。私自身、完全移行を考えているわけでもありませんが、それでもハイレゾ/ロスレスストリーミングの魅力は大きいですよ。
土方 そうですよね。べつに「ストリーミングか物理メディアかの二者択一」という極端な話ではないですし。例えば、今までファイル再生をやってきていない方でも、手持ちのオーディオシステムをやめなきゃいけないということではないじゃないですか。そうではなく、手持ちシステムのアンプをリフレッシュする際に、ストリーミング再生機能がついているものを選ぶのもオススメですよ、ということです。ネットオーディオ未経験な方にも、もっと気軽な感じで試してみてほしいなと思いますね。
山之内 たぶん、「PM7000N」のようなフルサイズのコンポーネントを買う方は、むしろそういうCDを中心にした既存のメディアをこれからも聴き続けたい人でしょうしね。
一方で、ストリーミングに全部シフトしたいような方は、マランツには「M-CR612」などコンパクトで非常にスタイリッシュなモデルもあります。そういう製品を選ぶのもよいのではないでしょうか。
土方 それは大いにアリですよね。ハイレゾ/ロスレスストリーミング時代において、オーディオ機器にHEOSがついているというのはすごく大きなアドバンテージです。今回テーマにした「PM7000N」をはじめ、マランツ製品はハイレゾ/ロスレスストリーミングに興味を持つ人にとっての有力な選択肢になると思います。
編集部 おふたりとも本日はありがとうございました!
(協力:ディーアンドエムホールディングス)