HOME > インタビュー > パナソニック「DMR-ZR1」開発者インタビュー後編。22.2ch→アトモス変換はこうして生まれた

“パワーポイント70枚以上”の仕様原案をほぼ実現

パナソニック「DMR-ZR1」開発者インタビュー後編。22.2ch→アトモス変換はこうして生まれた

公開日 2022/02/14 06:45 秋山 真
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

リモコンは暗闇でも使いやすい自照式に。クリック感も改良

秋山:続いてリモコンについてもお聞きします。

早瀬:UBZ1ではアルミ製で高級な外観のリモコンを採用していました。

秋山:見た目はカッコよかったですよね。

早瀬:ところが、甲野からはお客様から「ボタンが小さい」「ボタンの配置が悪い」とさまざまなご意見があると聞きました。

秋山:UB9000のリモコンのようにボタンが光るわけでもないですしね。我々のような画質マニアは真っ暗闇で操作することが多いので、自照式がマストなんです。

左がUB9000の、右がZR1のリモコン

早瀬:これまではレコーダーで自照式のリモコンがありませんでした。そこで、ZR1では見た目が高級かつ使いやすい自照式のリモコンを目指しました。特に苦労したのは、真ん中のカーソルキーをどうやって光らせるかですね。

元々この部分は樹脂製で光りませんでした。しかし甲野からは、どうしても全部のボタンを光らせてほしいと無茶振りがありまして(苦笑)、今回は新たに透過性のあるラバー素材を採用して、カーソルキーも光るようにしています。さらに、ボタンを押した瞬間もライトが消えません。

秋山:たしかにそうですね。UB9000のリモコンでは一瞬消灯していまいます。

甲野:これも私が執拗にリクエストしました(笑)。

早瀬:リモコンというのはボタンを押すと赤外線を発するわけですが、この瞬間が一番電力を消費します。このときに、さらにボタンまで光らせるというのは、電池の持ちが悪くなるので結構ハードルが高いのです。今回は電池サイズが単4から単3に変わったこともあって何とか実現することができました。

自照式のリモコンで、UB9000のものと違いカーソルまで光るようになっている

甲野:クリック感も改良しています。UB9000のリモコンはちょっと硬かったので、丁度いい塩梅に調整してもらいました。

秋山:リモコンの世界も奥が深いのですね。外装はプラスチック製ですが、表面の塗装も変わっています。内覧会で実物を拝見したときに、写真で見るよりも高級感があるなと思いました。

早瀬:上面はテクニクス・ブラックという色の塗装ですが、下面は漆スエード塗装という吸い付くような手触りの仕上げを採用しています。是非触ってみていただけると嬉しいです。

秋山:触るには買わなきゃならないですけどね(汗)。ちなみに、リモコンを操作したときに画面上に表示されるGUIにも今回アップデートが入っていますよね。透過デザインになったことで、映像を確認しながら画質調整ができるようになりました。

甲野:パッケージソフト再生中の詳細表示では、音声のサンプリング周波数やビット数(LPCM時のみ)まで表示するようにしました。出力フォーマットとメタデータの情報は放送やVODにも対応しています。

秋山:こうした機能の追加はマニアとして本当に嬉しいです。

甲野:このあたりのことも全て例の70枚のパワーポイントに含まれていました。

尾崎:ホント、大変でしたよ(笑)。

甲野:(苦笑)

同事業部 技術センター ハード設計部 ハード設計六課 三係 主任技師 早瀬 誠氏

次ページDMR-ZR1の「プレーヤー版」発売の予定は?

前へ 1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE