各パートナーとも強固にタッグ
クアルコムはXR/AR注力に迷いなし。「軽くてスリムなARヘッドセット専用」Snapdragon、その戦略を幹部に聞く
クアルコムがSnapdragonシリーズのチップセットとして、初めてARヘッドセット向けに仕様を最適化した「Snapdragon AR2 Gen 1 Platform」を追加する。これから仮想空間で営むビジネスやエンターテインメントの活動が多様化・活発化するとも言われている。クアルコムがARの技術革新にアクセルを踏みこんだ理由を、クアルコムのXR部門バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるHugo Swart氏に聞いた。
クアルコムは2018年に、VR/AR/MRデバイスのハードウェア開発環境として「Snapdragon XR Platform」を立ち上げている。Snapdragon AR2 Gen 1 Platform(以下:Snapdragon AR2)は、これとは別立ての、ARヘッドセットの開発に特化した新規プラットフォームだ。
「ARにはゲーミングなどのエンターテインメントから医療、文教、3Dデザインや様々な産業用途まで、これから開拓されるべき多くの可能性があります」と、Swart氏はクアルコムがARに関心を寄せる理由を説く。
今年の「Snapdragon Summit 2022」は久しぶりにリアル開催となり世界各国から参加者が集まったが、その基調講演やデモンストレーションで、クアルコムはAR/VRヘッドセットを活用したスポーツインストラクターによるフィットネスコーチングやマインドフルネスの活用事例を紹介した。
ハードウェアとソフトウェアの両側から、クアルコムと密接なパートナーシップを組むナイアンティックも、Snapdragon AR2を活用して軽量なスタンドアロン型の「アウトドア用ARヘッドセット」のプロトタイプをSnapdragon Summitで発表した。
ゲストスピーカーとして基調講演のステージに立ったナイアンティックのMaryam Sabour氏は、このプロトタイプモデルはデザインこそ最終仕様ではないが、商品化に向けていま本気で試作を進めているものであることを強調した。本体の質量は250g以下を目指す。なお、目安としてソニーのヘッドホン「WH-1000XM5」が約250gだ。
Snapdragon AR2の大きな特徴はメインのチップセットを「ARプロセッサー」と「ARコプロセッサー」に分けたマルチチップ・プラットフォームを採用したことだ。
さらにARヘッドセットとSnapdragonのチップセットを搭載するスマホやPCをWi-Fiでつなぎ、負担のかかる処理はホスト側デバイスに任せることでスムーズなAR体験をつくり出すセパレートスタイルとした。
Swart氏はマルチチップ・プラットフォームのメリットを次のように説明している。
「Snapdragon AR2ではホスト側デバイスが “メインプロセッサー” の役割を担うため、AI回路やディスプレイのインターフェースを備えるチップを “ARプロセッサー” 、視線トラッキングなどのAIコンピュータービジョンや各センサーから集まる情報を取りまとめるチップを “ARコプロセッサー” と呼んでいます。ARコプロセッサーが様々な処理を負担できるので、ヘッドセットのフレーム内をめぐらせるワイヤーの数も最小限に抑えられる。引いてはARヘッドセットの小型軽量化にもつながり、デザインの自由度も確保できるメリットが考えられます」
Swart氏は、これまでにクアルコムがARヘッドセットの小型軽量化を実現するため、常時奮闘を続けてきたと基調講演のステージでも繰り返し述べた。
「ARヘッドセットを小さく・軽くするためにはデバイスの消費電力を下げる必要があります。標準的なスマートフォンの消費電力が5W前後だとすれば、PCは10〜15W、VRヘッドセットは10W前後が目安になります。私たちは1W以下の消費電力でARヘッドセットを動かせる回路構造を設計しました。ヘッドセットの完成形をスタンドアロン型として描くのではなく、ホスト側機器に処理の重い負担を分散させるセパレート構成としたことで、目標に到達することができました」
■薄型・軽量ARヘッドセットに特化したプラットフォーム
クアルコムは2018年に、VR/AR/MRデバイスのハードウェア開発環境として「Snapdragon XR Platform」を立ち上げている。Snapdragon AR2 Gen 1 Platform(以下:Snapdragon AR2)は、これとは別立ての、ARヘッドセットの開発に特化した新規プラットフォームだ。
「ARにはゲーミングなどのエンターテインメントから医療、文教、3Dデザインや様々な産業用途まで、これから開拓されるべき多くの可能性があります」と、Swart氏はクアルコムがARに関心を寄せる理由を説く。
今年の「Snapdragon Summit 2022」は久しぶりにリアル開催となり世界各国から参加者が集まったが、その基調講演やデモンストレーションで、クアルコムはAR/VRヘッドセットを活用したスポーツインストラクターによるフィットネスコーチングやマインドフルネスの活用事例を紹介した。
ハードウェアとソフトウェアの両側から、クアルコムと密接なパートナーシップを組むナイアンティックも、Snapdragon AR2を活用して軽量なスタンドアロン型の「アウトドア用ARヘッドセット」のプロトタイプをSnapdragon Summitで発表した。
ゲストスピーカーとして基調講演のステージに立ったナイアンティックのMaryam Sabour氏は、このプロトタイプモデルはデザインこそ最終仕様ではないが、商品化に向けていま本気で試作を進めているものであることを強調した。本体の質量は250g以下を目指す。なお、目安としてソニーのヘッドホン「WH-1000XM5」が約250gだ。
■AR2をマルチチップ・プラットフォーム構成にした理由
Snapdragon AR2の大きな特徴はメインのチップセットを「ARプロセッサー」と「ARコプロセッサー」に分けたマルチチップ・プラットフォームを採用したことだ。
さらにARヘッドセットとSnapdragonのチップセットを搭載するスマホやPCをWi-Fiでつなぎ、負担のかかる処理はホスト側デバイスに任せることでスムーズなAR体験をつくり出すセパレートスタイルとした。
Swart氏はマルチチップ・プラットフォームのメリットを次のように説明している。
「Snapdragon AR2ではホスト側デバイスが “メインプロセッサー” の役割を担うため、AI回路やディスプレイのインターフェースを備えるチップを “ARプロセッサー” 、視線トラッキングなどのAIコンピュータービジョンや各センサーから集まる情報を取りまとめるチップを “ARコプロセッサー” と呼んでいます。ARコプロセッサーが様々な処理を負担できるので、ヘッドセットのフレーム内をめぐらせるワイヤーの数も最小限に抑えられる。引いてはARヘッドセットの小型軽量化にもつながり、デザインの自由度も確保できるメリットが考えられます」
Swart氏は、これまでにクアルコムがARヘッドセットの小型軽量化を実現するため、常時奮闘を続けてきたと基調講演のステージでも繰り返し述べた。
「ARヘッドセットを小さく・軽くするためにはデバイスの消費電力を下げる必要があります。標準的なスマートフォンの消費電力が5W前後だとすれば、PCは10〜15W、VRヘッドセットは10W前後が目安になります。私たちは1W以下の消費電力でARヘッドセットを動かせる回路構造を設計しました。ヘッドセットの完成形をスタンドアロン型として描くのではなく、ホスト側機器に処理の重い負担を分散させるセパレート構成としたことで、目標に到達することができました」