PR名作に多数関わるエンジニアによる音質モード搭載
“原音”を知る完全ワイヤレス「HA-FX150T」。歴戦のビクタースタジオエンジニア陣が語る「Professionalモード」
谷田 私ですね。自分が携わった作品をまず「FLAT」モードで聴いたときに、凄く素性のよさを感じると同時に「ちょっと派手めで聴きたいときはどうなんだろう?」と思ったんです。僕はちょっとコンシューマー寄りなアプローチというか。素がいいから、ちょっと変えたらどうなるのかな、と。
そして、上のほうの帯域をちょっとだけ持ち上げてみたら「お!」となったんです。昔のジャズみたいな、録音技術があまり発展してなかった時代の音源を聴くと、空気感や声のザラつき、エコーの伸びている感じなどに新しい発見がありましたね。
「あ、こんな音で録られてたんだ」という新たな発見があるような、クリアな部分、高域の部分を強調したものがあってもいいのかなというのは意識しました。昔の日本のポップスで使ってみても、もう少し輪郭がハッキリしたりしたら喜んでくれる人もいるのかなと。そんな感じでコンシューマーのことを意識してやってみました。
編集部 なるほど。
谷田 もしかすると曲は選ぶかもしれませんけどね。現代のドンシャリな曲だと合わないかもしれません。ただ、ハマれば大きいですよ。何も知らない人がこのモードで聴いて、今まで気づいていなかった音が聴こえるようになったとか、カーテンが開いて光が差し込んでくるみたいになったらいいなと。
中山 この「Professionnal 2」モード、僕もさすがだなと感じさせられましたね。CDでもよく「リマスター」ってあるじゃないですか。「Professionnal 2」はそれに近いというか、「リマスタリングしたらこうなりました」っていうサウンドになる印象ですね。ただ単純に派手なEQをそこに当てはめたっていうんじゃなくて。
派手っていうよりも、上から下まで、聴こえてなかったものがはっきり聴こえてくる。そういう意味でリマスタリング的な解釈のEQだなと凄く思ったんですよね。
80〜90年代ロックが格好良くなる「Professional 3」
編集部 では「Professional 3」についてうかがいます。こちらは山田さんがご担当ですね。
山田 はい。元々の音の素性がいいので、このふたりから出てくる音も微調整レベルのものになるだろうな、とは予想していたんです。僕は中山さん、谷田さんと立場が違っていて、元々エンジニアではあるんですけど今はマネージャー的な立ち位置で、今回もイヤホン開発側とスタジオ側の仲介役みたいなこともやっているんです。そういった少しだけ現場から距離を置いた立場から、わかりやすく何か特定のジャンルに絞った音質調整があってもいいんじゃないかと考えました。
エンジニアには自分の基準を確認するためのリファレンス曲がそれぞれあるんですけど、それがより格好良く聴こえるのは何かなと。そのリファレンス曲が僕の場合は80年代〜90年代のロックだったりするので、それが引き立つ様にピンポイントにやってみました。
編集部 ちなみにそのリファレンス曲は具体的にどんなものですか?
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