開発期間3年8ヶ月・総制作費1,600万円
ハリオグラス、コーン部に耐熱ガラス素材を採用したスピーカーを発表
また、会見ではスピーカーと同時にガラス音をサンプリングしたシンセサイザーも披露された。こちらは厚さ1〜1.5mmの耐熱ガラスの成型品をマレットで叩いたり擦った音を録音し、そこから音階を収集した音源を使用した製品だ。
会場には作曲家/編曲家でハーピストの朝川朋之氏と、バイオリニストで作曲家の川井郁子氏が駆けつけ、同製品と同社のガラス製バイオリンを演奏。玻璃音を使ってのデモンストレーションが行われた。
演奏終了後は、司会者がふたりにガラス製楽器を使用した感想について質問。「透き通っていて美しい音でびっくりした。音楽用ホールなどのしっかりした床の上だと、もっと低音が出て音に包み込まれるような感じになる。非常に気に入っている」と朝川氏が語れば、「音色の幅が広いというか、色彩を持って音が聞こえてくるくるような感じだ」と川井氏もコメント。ガラス製楽器の魅力に満足していることを明かした。
以下、会見で行われた質疑応答の模様をお送りする。
Q.特許を申請するということだが、どの部分について申請するのか。
A.薄くても強度のあるガラスをスピーカーに使っているという点が特許申請の検討事項になっている。
Q.今後どんなことをする予定なのかを教えて欲しい。
A.ガラス製コーンがどの程度の評価を受けるかはこれからの話だが、実際に皆さんからこの製品を評価して頂ければ色々な話が進むのではないか。いずれにしてもガラスメーカー単独では出来ない部分もあるので、スピーカーをもっと突き詰めていく方向になれば、音響メーカーさんとの協力という形も検討している。
Q.技術研鑽という部分で、なぜ楽器とスピーカーを作ろうと考えたのか。
A.例えば尺八なら竹をそのまま使うのではなく漆で塗り固めたり、バイオリンでも木を長時間乾燥させた後にニスで固めて安定させるといった具合に、楽器には素材を堅くしてきた歴史的側面がある。そうした点で言えば、元々堅さを持っているガラスが使えるのではないかと考えた。
Q.一般の方が玻璃音を欲しいとなった場合、手に入れることは可能なのか。
A.10台くらいのまとまったオファーがあれば、もしかすると1,000万円くらいで提供できるかもしれない。しかし、実験的な製品なのでまだまだ先は長いと言わざるを得ない段階だ。今後、音響メーカーさんなどに興味を持って頂ければ、素材メーカーとして協力していきたい。
関連リンク
トピック