「ハイサンプリング」のカギとなった重要ブランド
【独HIGH END】マージング、同社初のコンシューマー向けネットワークコンバーター「NADAC」
独ミュンヘンにて現地時間の5月14日(木)〜5月17日(日)まで開催されたヨーロッパ最大級のオーディオショウ「Munich HIGH END 2015」。さまざまなオーディオブランドから展示されたデジタルオーディオ関連製品を見ていると、いくつかの動向が見えてくる。中でも重要なカギとなるのが「さらなるハイサンプリングへの対応」と「AUDIO over IP」である。
このふたつのカギをコンシューマーオーディオに強く意識させた存在のひとつは、間違いなくスイスのプロオーディオブランドであるマージングだ。DSD256のレコーディングに対応したDAWシステム「Pyramix」や、AUDIO over IPのひとつRAVENNAを採用する「HORUS」「HAPI」といったネットワーク・コンバーターは、昨今の高音質レコーディングの象徴的な存在として世界的な注目を集めている。
そのマージングが、今年初めにラスベガスで行われたCESにて、同社初となるコンシューマーモデル「NADAC」をティザー公開したのは記憶に新しいところだ。今回のHIGH ENDでは、その全貌が公開された。その詳細を、同社のソフトウェア開発部門のトップであるDominique Brulhart氏に尋ねることができた。
NADAC(ナダックと発音される)は、最大でDSD256と384kHzのPCMの再生を可能とするネットワーク・コンバーターだ。Windows/Macの両方で再生が可能となっている本機は、JRiver Media Centerやfoobar2000、Audirvana Plusといった一般的なソフトウェアにも対応する。ただし、DSD256再生にはASIOドライバを活用するため、DoP伝送を行うMac環境では最大でDSD128までの対応となっている。
本機がCESで公開された際、疑問として出ていたのは「再生アプリケーションには何を用いるのか」ということだ。今回のHIGH ENDでは、同社が開発した「Emotion」というアプリケーションでのデモンストレーションが行われていた。
Emotionというアプリケーションは厳密に言えば再生アプリケーションではなく、NADACを中心とした再生系統のルーティングを行うなどのコントロールのためのもので、Windowsのみに対応。音源が保存されたPCやNASなどのストレージから、出力先となるNADACのch(ステレオバージョンではMain 1+2及びヘッドフォンを選択することが可能)を指定した後、ウェブブラウザから再生をコントロールできる仕組みとなっている。つまり、一度セットアップを完了させれば、あとはiPadやiPhoneといったiOSデバイスやAndroidデバイスでもコントロール可能な仕組みを実現している。
Emotionは、そのグラフィックユーザーインターフェースも非常に考えられたものとなっている。それぞれのライブラリ単位での表示はもちろんのこと、フォルダ階層でのブラウジングに対応。タグ情報もきちんと表示される仕組みとなっているほか、プレイリストの作成、編集にも対応するなど、コントロールアプリケーションとしてみても十分な完成度だ。
NADACに搭載されたマージングらしい仕様としては、ステレオバージョンのほかに8chのマルチchバージョンが用意されていること。単純なマルチchの再生だけではなく、マルチゾーンとしての使用も可能で、それぞれの出力に異なる入力を割り当てることが可能な点は、マスタリング・コンバーターさながらの機能といえるだろう。
例えば、メインの出力先はNAS内のライブラリから再生、ヘッドホン出力からはPCからの音源を再生、といったような操作も行うことができる。もちろん同一ライブラリに内包された別の曲をヘッドフォンとライン出力それぞれで再生することも可能だ。なお、DACチップにはESS Sabre 9008Sが採用されている。
これまではコンシューマーオーディオ市場がリードしていた観のあったデジタルオーディオ分野だったが、DSD256などのさらなるハイサンプリングレートへの対応に注目が集まった背景には、間違いなくマージングの「Pyramix System」の存在がある。同社初となるコンシューマーモデル、NADACについては、日本でのコンシューマー市場向けの展開はまだ未定となっているものの、その動向は注目すべき存在といってもいいだろう。事実、NADACは、世界中のオーディオ関連メディアから高い注目を集めていた。
ネットワーク・コンバーターが今後どこまでの注目を集めるのか、NADACの展開は今後のオーディオのトレンドを大きく左右するかもしれない。
このふたつのカギをコンシューマーオーディオに強く意識させた存在のひとつは、間違いなくスイスのプロオーディオブランドであるマージングだ。DSD256のレコーディングに対応したDAWシステム「Pyramix」や、AUDIO over IPのひとつRAVENNAを採用する「HORUS」「HAPI」といったネットワーク・コンバーターは、昨今の高音質レコーディングの象徴的な存在として世界的な注目を集めている。
そのマージングが、今年初めにラスベガスで行われたCESにて、同社初となるコンシューマーモデル「NADAC」をティザー公開したのは記憶に新しいところだ。今回のHIGH ENDでは、その全貌が公開された。その詳細を、同社のソフトウェア開発部門のトップであるDominique Brulhart氏に尋ねることができた。
NADAC(ナダックと発音される)は、最大でDSD256と384kHzのPCMの再生を可能とするネットワーク・コンバーターだ。Windows/Macの両方で再生が可能となっている本機は、JRiver Media Centerやfoobar2000、Audirvana Plusといった一般的なソフトウェアにも対応する。ただし、DSD256再生にはASIOドライバを活用するため、DoP伝送を行うMac環境では最大でDSD128までの対応となっている。
本機がCESで公開された際、疑問として出ていたのは「再生アプリケーションには何を用いるのか」ということだ。今回のHIGH ENDでは、同社が開発した「Emotion」というアプリケーションでのデモンストレーションが行われていた。
Emotionというアプリケーションは厳密に言えば再生アプリケーションではなく、NADACを中心とした再生系統のルーティングを行うなどのコントロールのためのもので、Windowsのみに対応。音源が保存されたPCやNASなどのストレージから、出力先となるNADACのch(ステレオバージョンではMain 1+2及びヘッドフォンを選択することが可能)を指定した後、ウェブブラウザから再生をコントロールできる仕組みとなっている。つまり、一度セットアップを完了させれば、あとはiPadやiPhoneといったiOSデバイスやAndroidデバイスでもコントロール可能な仕組みを実現している。
Emotionは、そのグラフィックユーザーインターフェースも非常に考えられたものとなっている。それぞれのライブラリ単位での表示はもちろんのこと、フォルダ階層でのブラウジングに対応。タグ情報もきちんと表示される仕組みとなっているほか、プレイリストの作成、編集にも対応するなど、コントロールアプリケーションとしてみても十分な完成度だ。
NADACに搭載されたマージングらしい仕様としては、ステレオバージョンのほかに8chのマルチchバージョンが用意されていること。単純なマルチchの再生だけではなく、マルチゾーンとしての使用も可能で、それぞれの出力に異なる入力を割り当てることが可能な点は、マスタリング・コンバーターさながらの機能といえるだろう。
例えば、メインの出力先はNAS内のライブラリから再生、ヘッドホン出力からはPCからの音源を再生、といったような操作も行うことができる。もちろん同一ライブラリに内包された別の曲をヘッドフォンとライン出力それぞれで再生することも可能だ。なお、DACチップにはESS Sabre 9008Sが採用されている。
これまではコンシューマーオーディオ市場がリードしていた観のあったデジタルオーディオ分野だったが、DSD256などのさらなるハイサンプリングレートへの対応に注目が集まった背景には、間違いなくマージングの「Pyramix System」の存在がある。同社初となるコンシューマーモデル、NADACについては、日本でのコンシューマー市場向けの展開はまだ未定となっているものの、その動向は注目すべき存在といってもいいだろう。事実、NADACは、世界中のオーディオ関連メディアから高い注目を集めていた。
ネットワーク・コンバーターが今後どこまでの注目を集めるのか、NADACの展開は今後のオーディオのトレンドを大きく左右するかもしれない。
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