価格は「802 D3」が340万円/ペアから
B&W「800 D3シリーズ」価格やスペックなど正式発表 - コンティニュアム・コーン採用など“ほぼ全て”刷新
■全ての革新の出発点となったコンティニュアム・コーン・ミッドレンジ
澤田氏曰く、「800 D3シリーズは、ダイヤモンド振動板とスピーカー端子以外、全てが新規設計された」とのこと。802 D3を例に取ると、従来機(802 Diamond)に比べて868点の新規部品が投入された。しかも、採用された新技術は革新的なものばかりとしており、今回の800 D3の開発にあたっては「進化ではなく革命だ」が合い言葉となったという。
しかし、「ほとんど全てが新規設計されたわけですが、一斉に全てを変えたわけではなく、そのファーストステップとなった要素がありました」と澤田氏。それはこれまでB&Wが一貫して採用してきたケブラー・コーンに変えて、ミッドレンジに採用されたコンティニュアム・コーンだったのだという。
1974年以降、B&Wは一貫してミッドレンジにケブラー・コーンを採用してきた。ケブラーとはデュポン社のハイテク繊維で、これに目を付けたB&Wが初めてスピーカー・コーンの素材として用いた。ケブラーの長所は、強さや固さではなく、しなやかに変形することだという。ケブラーは繊維であるから、ユニット駆動時に繊維の折り目に従って変形が起こる。この変形が、ニュートラルなサウンドと良好なステレオイメージに寄与する。
「変形しない硬い素材で作った方がユニットとしては好ましいのではないか」というのは、あくまで理想論だと澤田氏は説明する。仮に変形せずにピストンモーションだけで担当帯域をカバーするミッドレンジが実現したとしても、2.5kHzくらいから指向性が強くなってしまう。適度に変形するケブラー・コーンは、周波数帯域によって音の広がりが変化しないという点で、素晴らしいステレオイメージを実現できるのだという。
B&Wは長年ケブラー・コーンを採用してきたが、その間にもケブラーに代わる、より理想的な素材を研究し続けていた。澤田氏によれば、10年前には代替素材に関する研究を開始していた。また併せて「まったく変形しないで、ピストンモーションだけでミッドレンジの帯域をまかなえるスピーカー・コーンは実現しないのか」という検証も行われていたという(ちなみにB&W史上で唯一、変形することなく完璧なピストンモーションで各帯域をまかなうユニットを搭載したのがオリジナル「Nautilus」。しかし前述のような欠点を補うため、最低限4ウェイとすることが必要だった)。
研究の結果、現時点ではピストンモーションだけではなく、変形することで分割共振帯域にシフトしていく方式のコーンに的が絞られ、2007年頃には、ケブラーに変わる新しいミッドレンジの実用化の目処がたった。そしてそれから8年かけ、ついにこの800 D3において、「コンティニュアム・コーン」が採用されることになった。
“コンティニュアム”とは、日本語で“連続性”という意味。これは、あくまでケブラーコーンの発想を継承した、と言う意味での“連続性”と、ピストンモーションからブレークモーション(分割振動)へと動的にスムーズに切り替わるという“連続性”の2つの意味が込められている。なお、現時点ではこのコーンにどのような素材が用いられ、どのようなダンプ材が用いられたのかは、澤田氏にさえ明かされなかったという(パテントを取得している最中だからと澤田氏は説明してくれた)。
澤田氏は「ケブラーが織物ならば、コンティニュアムはまるでガーゼです」と説明する。表面積の約50%が繊維のないところで、各繊維の隙間が非常に大きい。澤田氏によれば、この素材がいったい何なのかというよりは、密度の低いガーゼのような繊維をいかに均一に円錐形に成型するか、形状を保ちつつピストンモーションを妨げないためにどのようなポリマー材を用いたのか、ということが重要なのだという。
このコンティニュアム・コーンは、ケブラー・コーン同様に優れた“立ち上がりの良さ”を備えている。しかし、さらにコンティニュアム・コーンが優れているのは、信号に合わせて波形が直ちに収束する“立ち下がりの良さ”だ。ケブラー・コーンでは、立ち下がりが尾ひれを引いてしまい、これがいわゆる「ケブラーくさい」音の原因になると考えられている。こうした美点によって「800 D3シリーズは、音がないときに本当にサイレントなのだ」とB&Wの開発陣は説明しているという。
澤田氏曰く、「800 D3シリーズは、ダイヤモンド振動板とスピーカー端子以外、全てが新規設計された」とのこと。802 D3を例に取ると、従来機(802 Diamond)に比べて868点の新規部品が投入された。しかも、採用された新技術は革新的なものばかりとしており、今回の800 D3の開発にあたっては「進化ではなく革命だ」が合い言葉となったという。
しかし、「ほとんど全てが新規設計されたわけですが、一斉に全てを変えたわけではなく、そのファーストステップとなった要素がありました」と澤田氏。それはこれまでB&Wが一貫して採用してきたケブラー・コーンに変えて、ミッドレンジに採用されたコンティニュアム・コーンだったのだという。
1974年以降、B&Wは一貫してミッドレンジにケブラー・コーンを採用してきた。ケブラーとはデュポン社のハイテク繊維で、これに目を付けたB&Wが初めてスピーカー・コーンの素材として用いた。ケブラーの長所は、強さや固さではなく、しなやかに変形することだという。ケブラーは繊維であるから、ユニット駆動時に繊維の折り目に従って変形が起こる。この変形が、ニュートラルなサウンドと良好なステレオイメージに寄与する。
「変形しない硬い素材で作った方がユニットとしては好ましいのではないか」というのは、あくまで理想論だと澤田氏は説明する。仮に変形せずにピストンモーションだけで担当帯域をカバーするミッドレンジが実現したとしても、2.5kHzくらいから指向性が強くなってしまう。適度に変形するケブラー・コーンは、周波数帯域によって音の広がりが変化しないという点で、素晴らしいステレオイメージを実現できるのだという。
B&Wは長年ケブラー・コーンを採用してきたが、その間にもケブラーに代わる、より理想的な素材を研究し続けていた。澤田氏によれば、10年前には代替素材に関する研究を開始していた。また併せて「まったく変形しないで、ピストンモーションだけでミッドレンジの帯域をまかなえるスピーカー・コーンは実現しないのか」という検証も行われていたという(ちなみにB&W史上で唯一、変形することなく完璧なピストンモーションで各帯域をまかなうユニットを搭載したのがオリジナル「Nautilus」。しかし前述のような欠点を補うため、最低限4ウェイとすることが必要だった)。
研究の結果、現時点ではピストンモーションだけではなく、変形することで分割共振帯域にシフトしていく方式のコーンに的が絞られ、2007年頃には、ケブラーに変わる新しいミッドレンジの実用化の目処がたった。そしてそれから8年かけ、ついにこの800 D3において、「コンティニュアム・コーン」が採用されることになった。
“コンティニュアム”とは、日本語で“連続性”という意味。これは、あくまでケブラーコーンの発想を継承した、と言う意味での“連続性”と、ピストンモーションからブレークモーション(分割振動)へと動的にスムーズに切り替わるという“連続性”の2つの意味が込められている。なお、現時点ではこのコーンにどのような素材が用いられ、どのようなダンプ材が用いられたのかは、澤田氏にさえ明かされなかったという(パテントを取得している最中だからと澤田氏は説明してくれた)。
澤田氏は「ケブラーが織物ならば、コンティニュアムはまるでガーゼです」と説明する。表面積の約50%が繊維のないところで、各繊維の隙間が非常に大きい。澤田氏によれば、この素材がいったい何なのかというよりは、密度の低いガーゼのような繊維をいかに均一に円錐形に成型するか、形状を保ちつつピストンモーションを妨げないためにどのようなポリマー材を用いたのか、ということが重要なのだという。
このコンティニュアム・コーンは、ケブラー・コーン同様に優れた“立ち上がりの良さ”を備えている。しかし、さらにコンティニュアム・コーンが優れているのは、信号に合わせて波形が直ちに収束する“立ち下がりの良さ”だ。ケブラー・コーンでは、立ち下がりが尾ひれを引いてしまい、これがいわゆる「ケブラーくさい」音の原因になると考えられている。こうした美点によって「800 D3シリーズは、音がないときに本当にサイレントなのだ」とB&Wの開発陣は説明しているという。
次ページ次に見直されたもの。エアロフォイル・コーン・ウーファー
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