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鈴木裕 的 iFI-Audio「Pro iCAN」活用術。工夫次第で何通りもの音を手に入れられる!

公開日 2016/08/01 12:51 鈴木 裕
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プリアンプとしてだけでなく、バッファーアンプとしても魅力溢れるPro iCAN

しかもPro iCANには、音場補正の機能である3Dホログラフィックが装備されている。これはアナログの回路のみで構成されたもので、ヘッドフォンとスピーカーを鳴らす場合で違うアルゴリズムになっているようだ。ここではスピーカー、つまりライン出力の場合を書いてみよう。

まず「OFF」ではこの機能が無効に。「30/+」では、「音源制作時に生じる空間の歪みを補正」と説明されているが、左右のスピーカーの外側にまで若干拡がる。「60/30+」では、「音場の幅を30度広くする」と説明されているが、ひとつ前の段階よりより音楽に近い感じになり、たしかに音場がワイドになる。「90/60+」では「音場の幅を60度広くする」と説明。ひとつ前よりもたしかにさらに広い感じになる。

以上、「OFF」を含めて以上の4段階だが、筆者のシステムで試してみると、たしかに1段目(OFF)ではやや音場が左右にナロウで、もう少し広げたくなり、2段目にする。これが普段聴いている音に近く、スタンダードの状態に感じられる。個人的には3段目もありで、4段目はちょっとやり過ぎかなという印象。これはスピーカーセッティングや音の嗜好によっても変わってくるので全ての人にはあてはまらない。なによりも、ここで説明しておきたいのは、その4段のそれぞれの差というか、変化の仕方だ。それぞれが「狭すぎず」「広すぎず」という感じで、かなり実践的に使える装備だと感じるのである。

これはバッファーアンプ部の「トランジスター」「真空管」「真空管+」や、低域補正のXBassの4段階にも共通するが、差がなさ過ぎるのもつまらないが、あり過ぎるのも結局、使わないスイッチになってしまう。その設定の適切さが良い。訊けば日本のインポーターの元に最初の試作機が送られてきてから、市販型まで何度もの仕様変更が行われ、音も熟成されてきたようだ。真空管を使ったフルバランス回路で、しかもトランジスターのバッファーアンプも持った基板だが、見ると極めて整然と整理されていて、このあたりも洗練されているのを感じる。

音を積極的に追い込める、ユニバーサルなアンプ

セパレートアンプを使っている人であれば、もちろんプリと置き換えられるのは当然だが、プリメインアンプでも、プレーヤーとの間に入れてバッファーアンプとして楽しめる。Pro iCANは1台のプリアンプでありながら何通りの音を持っているという意味でも貴重だが、この値段で、この大きさで、というところも大きい魅力だ。いろいろと遊べるオーディオであり、いま最も求められている存在じゃないかと思う。

パラメトリック・イコライザー等と組み合せて「音を積極的に作る」システムでも魅力的な使い勝手を発揮する

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