注目のネットワーク/PCオーディオまとめ<3>
【HIGH END】Cambridge Audioの旗艦DACプリ「EDGE NQ」/Playback Designsは「Dream」をデモ
MUNICH HIGH END 2018の会場で、特にファイル再生に関連して気になったブースについて、数回に分けて紹介していくシリーズ。本記事では、USB-DACをはじめとするPCオーディオ関連製品を取り上げる。
■Playback Designs
Playback DesignsはYG Acousticsと共同でブースを構え、同社のフラグシップ「Dream」シリーズを展示。DreamシリーズはDACの「MPD-8」、トランスポートの「MPT-8」、プレーヤーの「MPS-8」の3機種で構成される。
MPD-8はシリーズの中枢を成すDACで、アンドレアス・コッチ氏手がけるディスクリートDACをダブル・ディファレンシャル構成で搭載。アナログ・ボリュームコントロール機構も搭載する。USB・光・同軸・AESなどのデジタル入力に加え、同社製品との接続に用いるSPLink端子を搭載。USBとPLink(STLink)で最大PCM 384kHz/32bit・DSD256に対応する。
MPT-8はMPD-8との組み合わせを念頭に置いたトランスポート。CD/SACDのほか、オプションの搭載でネットワークオーディオプレーヤーにもなり、ネットワーク再生、TIDALやQobuzなどの音楽ストリーミングサービス、Roon Readyといった機能に対応する。さらに、同社のSyrah Serverや単体Roon Serverの機能にもオプションで対応する。
MPS-8は基本的にMPT-8にMPD-8を組み合わせた製品と言えるが、Syrah Server/Roon Serverに非対応・DAC構成がディファレンシャルであるなど、仕様面では細かな違いもある。
試聴スペースではNAGRAのパワーアンプとYG Acousticsを組み合わせた超弩級のシステムでデモを行っていた。
■Cambridge Audio
Cambridge Audioは、同社の新たなフラグシップ「EDGEシリーズ」を展示。その中の「EDGE NQ」は、“プリアンプ with ネットワークプレーヤー”という位置付けで、ネットワークプレーヤー機能をはじめとする様々なデジタル入力と本格的なプリアンプが融合した製品となっている。価格は4,000ドル。
本機をPCオーディオの括りで取り上げたのは、本機のネットワーク入力とUSB入力では後者の方がより高いスペック(PCM384kHz/32bit・DSD256)の音源の再生に対応するためだ。
音量調整が可能で直接パワーアンプと繋げられるDACが増えた昨今、筆者は本格的なアナログ入力とボリュームコントロール機能を持つ「DACプリ」の存在が重要だと考えているが、EDGE NQはまさにそのような用途に合致する製品として注目に値する。 Cambridge Audioのフラグシップシリーズだけあって同社の技術が惜しみなく投入され、ビルドクオリティも素晴らしい。ハイエンドに出展している製品としては価格も良心的といえる。また、EDGE NQと同シリーズのパワーアンプ「EDGE W」とのセットは機能的にも価格帯的にも、非常に魅力を感じる組み合わせだ。
■iFi Audio
iFi Audioは、長らく登場が待たれていた「Pro iDSD」を展示。PCM 768kHz/32bit・DSD512に対応しているほか、DSD1024にアップサンプリングを行えることが特徴となっている。そのほか、ネットワーク再生にも対応。価格は2,749ユーロとのことで、同社製品としてはハイエンドモデルと言える。展示は「Pro iCAN」と「Pro iESL」と組み合わせ、ヘッドホンでデモが行われていた。
■Fidelizer
ハイエンドの会場ではWindowsの音質改善ソフト「Fidelizer」の作者であるKeetakawee Punpeng氏と直接会って話をする機会も得た。
Keetakawee氏は、FidelizerブランドのPCベースのミュージックサーバー「Nimitra Computer Audio Server」を出展していた。これはFidelizerによって最適化されたWindows PCに、「JPLAY」「Asset UPnP」「JRiver Media Center」「Roon」「HQPlayer」をインストールしたもので、プラグアンドプレイでこれらのソフトを使ったファイル再生が楽しめるようにセットアップされている。
Keetakawee氏はFidelizerをリリースした2012年以降、ユーザーから様々なフィードバックを受け、「PCの操作に習熟する必要なく、最高のPCオーディオを楽しめるような製品が必要だ」と考えるに至った。その結果生まれたのがNimitra Computer Audio Serverであり、ある意味でオーディオ用PCのひとつの理想形とも言える。
■KECES AUDIO
PCオーディオでは、PC本体や周辺機器、コンパクトなUSB-DACなどに外部電源を組み合わせる場合も多い。HIGH ENDはイベントの性格上、文字通りハイエンド製品が大勢を占めるが、その中でKECES AUDIOの製品がPCオーディオでの活用という点で興味を引いた。
KECES AUDIOは台湾のオーディオブランドで、自社で製作しているというトロイダルトランスを核にした製品づくりを行っている。
「P8」は同社のリニア電源の上位モデルで、1系統の大出力もしくは2系統出力のバリエーションが用意されている。また、どちらの場合もUSBバスパワーで動作する機器に良質な電源を供給するためのUSB端子も備えている。フロントディスプレイには出力電圧・電流の数値が表示される。ドイツでの価格は699ユーロ。
「P3」はリニア電源の廉価モデルで、2系統の出力を搭載する。ドイツでの価格は399ユーロとなる。
PCオーディオは凝れば凝るほど機器が増えていくという側面があるので、複数の機器と接続できる良質な外部電源の存在は心強い。また、リニア電源のほかにも電源コンディショナーやUSB-DACといった製品も展示されており、いずれも質実剛健なデザインと良心的な価格が印象的だった。
同社は日本市場にもたいへん興味があり、ディストリビューターを探している最中とのことだ。
■Playback Designs
Playback DesignsはYG Acousticsと共同でブースを構え、同社のフラグシップ「Dream」シリーズを展示。DreamシリーズはDACの「MPD-8」、トランスポートの「MPT-8」、プレーヤーの「MPS-8」の3機種で構成される。
MPD-8はシリーズの中枢を成すDACで、アンドレアス・コッチ氏手がけるディスクリートDACをダブル・ディファレンシャル構成で搭載。アナログ・ボリュームコントロール機構も搭載する。USB・光・同軸・AESなどのデジタル入力に加え、同社製品との接続に用いるSPLink端子を搭載。USBとPLink(STLink)で最大PCM 384kHz/32bit・DSD256に対応する。
MPT-8はMPD-8との組み合わせを念頭に置いたトランスポート。CD/SACDのほか、オプションの搭載でネットワークオーディオプレーヤーにもなり、ネットワーク再生、TIDALやQobuzなどの音楽ストリーミングサービス、Roon Readyといった機能に対応する。さらに、同社のSyrah Serverや単体Roon Serverの機能にもオプションで対応する。
MPS-8は基本的にMPT-8にMPD-8を組み合わせた製品と言えるが、Syrah Server/Roon Serverに非対応・DAC構成がディファレンシャルであるなど、仕様面では細かな違いもある。
試聴スペースではNAGRAのパワーアンプとYG Acousticsを組み合わせた超弩級のシステムでデモを行っていた。
■Cambridge Audio
Cambridge Audioは、同社の新たなフラグシップ「EDGEシリーズ」を展示。その中の「EDGE NQ」は、“プリアンプ with ネットワークプレーヤー”という位置付けで、ネットワークプレーヤー機能をはじめとする様々なデジタル入力と本格的なプリアンプが融合した製品となっている。価格は4,000ドル。
本機をPCオーディオの括りで取り上げたのは、本機のネットワーク入力とUSB入力では後者の方がより高いスペック(PCM384kHz/32bit・DSD256)の音源の再生に対応するためだ。
音量調整が可能で直接パワーアンプと繋げられるDACが増えた昨今、筆者は本格的なアナログ入力とボリュームコントロール機能を持つ「DACプリ」の存在が重要だと考えているが、EDGE NQはまさにそのような用途に合致する製品として注目に値する。 Cambridge Audioのフラグシップシリーズだけあって同社の技術が惜しみなく投入され、ビルドクオリティも素晴らしい。ハイエンドに出展している製品としては価格も良心的といえる。また、EDGE NQと同シリーズのパワーアンプ「EDGE W」とのセットは機能的にも価格帯的にも、非常に魅力を感じる組み合わせだ。
■iFi Audio
iFi Audioは、長らく登場が待たれていた「Pro iDSD」を展示。PCM 768kHz/32bit・DSD512に対応しているほか、DSD1024にアップサンプリングを行えることが特徴となっている。そのほか、ネットワーク再生にも対応。価格は2,749ユーロとのことで、同社製品としてはハイエンドモデルと言える。展示は「Pro iCAN」と「Pro iESL」と組み合わせ、ヘッドホンでデモが行われていた。
■Fidelizer
ハイエンドの会場ではWindowsの音質改善ソフト「Fidelizer」の作者であるKeetakawee Punpeng氏と直接会って話をする機会も得た。
Keetakawee氏は、FidelizerブランドのPCベースのミュージックサーバー「Nimitra Computer Audio Server」を出展していた。これはFidelizerによって最適化されたWindows PCに、「JPLAY」「Asset UPnP」「JRiver Media Center」「Roon」「HQPlayer」をインストールしたもので、プラグアンドプレイでこれらのソフトを使ったファイル再生が楽しめるようにセットアップされている。
Keetakawee氏はFidelizerをリリースした2012年以降、ユーザーから様々なフィードバックを受け、「PCの操作に習熟する必要なく、最高のPCオーディオを楽しめるような製品が必要だ」と考えるに至った。その結果生まれたのがNimitra Computer Audio Serverであり、ある意味でオーディオ用PCのひとつの理想形とも言える。
■KECES AUDIO
PCオーディオでは、PC本体や周辺機器、コンパクトなUSB-DACなどに外部電源を組み合わせる場合も多い。HIGH ENDはイベントの性格上、文字通りハイエンド製品が大勢を占めるが、その中でKECES AUDIOの製品がPCオーディオでの活用という点で興味を引いた。
KECES AUDIOは台湾のオーディオブランドで、自社で製作しているというトロイダルトランスを核にした製品づくりを行っている。
「P8」は同社のリニア電源の上位モデルで、1系統の大出力もしくは2系統出力のバリエーションが用意されている。また、どちらの場合もUSBバスパワーで動作する機器に良質な電源を供給するためのUSB端子も備えている。フロントディスプレイには出力電圧・電流の数値が表示される。ドイツでの価格は699ユーロ。
「P3」はリニア電源の廉価モデルで、2系統の出力を搭載する。ドイツでの価格は399ユーロとなる。
PCオーディオは凝れば凝るほど機器が増えていくという側面があるので、複数の機器と接続できる良質な外部電源の存在は心強い。また、リニア電源のほかにも電源コンディショナーやUSB-DACといった製品も展示されており、いずれも質実剛健なデザインと良心的な価格が印象的だった。
同社は日本市場にもたいへん興味があり、ディストリビューターを探している最中とのことだ。