録音対応の「DP-450USB」も
デノンから音質・デザイン・使い勝手を追求したレコードプレーヤー「DP-400」、5.8万円
岡芹氏は「レコードのカッティングは盤面に対してカッターの刃が垂直に動くのに対して、一般的なトーンアームは軸を中心に円運動をするのでこれがトラッキングエラーの原因となる。これをいかに解決するかが重要なノウハウになる」と説明。今回のトーンアームについては、これまでのデノンの開発成果やノウハウを元に有効長:220mm、オーバーハング:16mm、オフセット角:23度という仕様とした。
さらに針圧調整を行う際の精度も向上。針圧がカウンターウェイトが示す値に対して10mg(0.01g)の誤差範囲に収める精度を実現しているという。
また、DP-300Fがストレート型だったのに対して、本機ではS字型のユニバーサルタイプとしたことで、ヘッドシェルごとカートリッジ交換を行うことが可能になった。カートリッジ交換で音質の変化を楽しむことも容易だ。
ターンテーブルの回転機構も改良された。従来はモーターを一定の電圧で回転させ続ける仕様だったが、回転精度をさらに向上させるために本機では改良を実施。プラッターにスピードセンサーを配置してそのデータをDCサーボモーターにフィードバックして、基準の周波数と比較しながら常に正確な回転速度を維持できるようにした。
モーターは従来の電圧制御から、回転制御の高精度化を狙ってPWM(Pulse Width Modulation)制御に変更された。なお、PWM制御はオン状態のパルスの幅を調整することによりデューティーサイクルを変え、モーターの回転速度を制御する。つまり、モーターを高速でオン/オフして回転を制御しているため滑らかな回転が損なわれてしまう恐れもあるが、本機はベルトドライブ方式なので駆動系の機械損失が大きく、PWMながら滑らかな回転が可能になるとのことだった。
回転数は従来の33 1/3、45回転に加えて、78回転にも対応。LPやEPだけでなく、SP盤も楽しめる。
音質向上の施策はフォノイコライザーにも及ぶ。DP-300では+5vで駆動していたイコライザー回路を、本機では±8Vで駆動。駆動電圧を約3倍として再生時の余裕を増した。この点について岡芹氏は「すごくシンプルにオーディオの音を考えている」と説明、レンジの広さやヘッドルームの余裕が音質にとって重要とした。
さらにはデノンのHi-Fiコンポーネントでも用いられる低ノイズFETや低ノイズタイプのバイポーラ入力オペアンプも採用。高音質化を図っている。
■オートリフトアップ機能でレコード再生を安心して楽しめる
マニュアル方式を採用した一方で、オートリフトアップ&ストップ機能を搭載したことも特徴だ。マニュアル方式のプレーヤーの場合、レコードを再生したまま放置すると、ターンテーブルが回転し続けてカートリッジやレコードを痛めてしまう恐れがある。岡芹氏はよくあるパターンとして、音楽を聴きながら寝てしまう例を挙げた。
DP-400/DP-450USBは、初心者から愛好家まで、より安心して使えるように「オートリフトアップ&ストップ機能」を新たに開発して搭載した。これはレコード再生の終了を検知して、トーンアームが自動にリフトアップし、回転も自動でストップするという機能となる。
本機能の仕組みだが、レコード再生が終わってカートリッジがレコードの端の無音部に至った際、それをセンサーが認識し、音楽が終了していると判断すると、自動的にトーンアームがリフトアップされる。
またセンサーは、無音部が意図的に設けられたレコードなどの場合でも、一定時間を経ると自動的にリフトアップされるという。このような2段階のロジックによって、確実にオートリフトアップが動作するようになっている。
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