リモートで共同制作できる「LISTENTO」も導入
ユニバーサル ミュージック、“キャピトル・スタジオ・クオリティ”のドルビーアトモススタジオを新設
ユニバーサル ミュージックジャパンは、東京・表参道の本社オフィス内に、新たにドルビーアトモス制作ができるスタジオ「Augusta Studio」を新設。アメリカ・ロサンゼルスのキャピトル・スタジオと“同じクオリティ”でドルビーアトモス音源が制作ができるスタジオとして本格稼働を開始する。
2021年にApple Musicがドルビーアトモス音楽の配信をスタートしたことを受けて、ユニバーサル ミュージック内でもドルビーアトモスミックスによる音源制作の需要が急増した。コロナ禍とそれに伴う半導体・資材不足といった課題を乗り越え、ついに日本国内に“キャピトル・スタジオ・クオリティ”のスタジオを完成させたのだ。
スタジオ&アーカイブ部の部長を務める那須研吾氏はこのスタジオの意義について、「アーティストにとって秘密基地のような存在になると考えています。ここから世界と繋がり、新しい作品を生み出し発信することができる、音楽を通じて世界と交流し新たな可能性を探求できる場となっていくでしょう」と誇らしげに語る。
ドルビーアトモスは、もともと映画の音声フォーマットとして誕生した規格だが、近年は音楽制作にも大きく活用されている。キャピトル・スタジオは、古くはフランク・シナトラからマイケル・ジャクソンまで洋楽ヒットナンバーを数多く産んだ著名スタジオであり、近年はドルビー社と協力してドルビーアトモスによる音楽制作のありようをリードしてきた。ビートルズの“最新シングル”「Now and Then」の制作にも携わっている。
「Augusta Studio」の機材の多くは、キャピトル・スタジオの「STUDIO C」と呼ばれるドルビーアトモススタジオと共通。9.1.4ch構成となっており、フロントスピーカーはPMCの「IB2S XBD-A II」(キャピトル・スタジオにあるものと共通)。サラウンド並びに天井、リアスピーカーにはPMCの「CIシリーズ」(キャピトルにあるモデルの後継機)が採用されている。
部屋のサイズはSTUDIO Cとは少し違うそうだが、スピーカー等の音響機器周りを同等の製品で揃えるとともに、音響特性も測定し、STUDIO Cと限りなく近い環境での音源制作ができるようにセッティング。キャピトルのスタッフも来日し、なるべく近い環境のスタジオ構築に尽力してくれたのだという。
もうひとつこのスタジオのこだわりが、海外を含む遠方のスタジオと“リアルタイム”でコミュニケーションが図れること。こちらには、ユニバーサル傘下のイギリスの有名スタジオ、アビー・ロード・スタジオで開発された低遅延の音楽送信ソフトウェア「LISTENTO」が組み込まれている。
LISTENTOは遅延を0.1秒程度に抑えて音楽のストリーミング再生ができるソフトウェアで、単独のソフトとしても、ProTools等に組み込むプラグインとしても使用できる。「プロフェッショナルの作業で使えるクオリティ」を持ったソフトウェアとして開発されたもので、もちろんドルビーアトモスやハイレゾクオリティもリアルタイムに送信可能。このソフトを活用することで、たとえばエンジニアはキャピトル・スタジオにいる状態で、ボーカルやオケ録りを日本で行う、といったリモートでの共同作業が可能になるのだ。
ユニバーサル ミュージックで制作しているドルビーアトモスミックスを聴かせてもらった。SEKAI NO OWARIやKing & Prince、Travis Japanといった“いま”のアーティストの新作をドルビーアトモスで制作することはもちろん、宇多田ヒカルなどユニバーサルが権利を持つ音源のドルビーアトモス化といった取り組みも積極的に行われている。
Tiesto & Sevennの「BOOM」というEDM楽曲は、まさにドルビーアトモスで何ができるのか、ということをこれでもかと詰め込んだ意欲的な作品。音が頭の上でぐるぐる回ったり、四方八方を飛び交うのが手に取るように見えてくる。まさにモニター環境の理想型そのもの。
SEKAI NO OWARIの「ロマンティック」では、ステレオとドルビーアトモスの聴き比べを実施。ドルビーアトモスでは、ボーカルは基本前方に配置されているが、リバーブやギター・ピアノなどの楽器を立体的に活用することでより「包まれ感」を演出。“広いキャンバス”に楽器を配置する楽しさを聴かせてくれる。
King & Princeでは、メンバーの声があらゆる方角から聴こえてくることで、まさに自分のためだけに歌ってくれているかのような幸福感。藤井風では、頭の真上でアーティストが歌うのを敬虔な気持ちで受け止めているような、不思議な体験をもたらしてくれる。
昨年来日したジョン・ウィリアムスのサントリーホールでのコンサートを収録したBlu-rayにもドルビーアトモスミックスが収められているのでこちらも聴かせてもらった。インディー・ジョーンズのテーマ曲では、音の明瞭度で言えばステレオに軍配が上がるが、ステージをともに過ごしているかのような臨場感はドルビーアトモスならでは。ライブアルバムの音声データとしても、ドルビーアトモスは広がりを見せている。
ユニバーサル ミュージックのスタジオから、新しい音楽制作の可能性が広がることを期待したい。
2021年にApple Musicがドルビーアトモス音楽の配信をスタートしたことを受けて、ユニバーサル ミュージック内でもドルビーアトモスミックスによる音源制作の需要が急増した。コロナ禍とそれに伴う半導体・資材不足といった課題を乗り越え、ついに日本国内に“キャピトル・スタジオ・クオリティ”のスタジオを完成させたのだ。
スタジオ&アーカイブ部の部長を務める那須研吾氏はこのスタジオの意義について、「アーティストにとって秘密基地のような存在になると考えています。ここから世界と繋がり、新しい作品を生み出し発信することができる、音楽を通じて世界と交流し新たな可能性を探求できる場となっていくでしょう」と誇らしげに語る。
ドルビーアトモスは、もともと映画の音声フォーマットとして誕生した規格だが、近年は音楽制作にも大きく活用されている。キャピトル・スタジオは、古くはフランク・シナトラからマイケル・ジャクソンまで洋楽ヒットナンバーを数多く産んだ著名スタジオであり、近年はドルビー社と協力してドルビーアトモスによる音楽制作のありようをリードしてきた。ビートルズの“最新シングル”「Now and Then」の制作にも携わっている。
「Augusta Studio」の機材の多くは、キャピトル・スタジオの「STUDIO C」と呼ばれるドルビーアトモススタジオと共通。9.1.4ch構成となっており、フロントスピーカーはPMCの「IB2S XBD-A II」(キャピトル・スタジオにあるものと共通)。サラウンド並びに天井、リアスピーカーにはPMCの「CIシリーズ」(キャピトルにあるモデルの後継機)が採用されている。
部屋のサイズはSTUDIO Cとは少し違うそうだが、スピーカー等の音響機器周りを同等の製品で揃えるとともに、音響特性も測定し、STUDIO Cと限りなく近い環境での音源制作ができるようにセッティング。キャピトルのスタッフも来日し、なるべく近い環境のスタジオ構築に尽力してくれたのだという。
もうひとつこのスタジオのこだわりが、海外を含む遠方のスタジオと“リアルタイム”でコミュニケーションが図れること。こちらには、ユニバーサル傘下のイギリスの有名スタジオ、アビー・ロード・スタジオで開発された低遅延の音楽送信ソフトウェア「LISTENTO」が組み込まれている。
LISTENTOは遅延を0.1秒程度に抑えて音楽のストリーミング再生ができるソフトウェアで、単独のソフトとしても、ProTools等に組み込むプラグインとしても使用できる。「プロフェッショナルの作業で使えるクオリティ」を持ったソフトウェアとして開発されたもので、もちろんドルビーアトモスやハイレゾクオリティもリアルタイムに送信可能。このソフトを活用することで、たとえばエンジニアはキャピトル・スタジオにいる状態で、ボーカルやオケ録りを日本で行う、といったリモートでの共同作業が可能になるのだ。
ユニバーサル ミュージックで制作しているドルビーアトモスミックスを聴かせてもらった。SEKAI NO OWARIやKing & Prince、Travis Japanといった“いま”のアーティストの新作をドルビーアトモスで制作することはもちろん、宇多田ヒカルなどユニバーサルが権利を持つ音源のドルビーアトモス化といった取り組みも積極的に行われている。
Tiesto & Sevennの「BOOM」というEDM楽曲は、まさにドルビーアトモスで何ができるのか、ということをこれでもかと詰め込んだ意欲的な作品。音が頭の上でぐるぐる回ったり、四方八方を飛び交うのが手に取るように見えてくる。まさにモニター環境の理想型そのもの。
SEKAI NO OWARIの「ロマンティック」では、ステレオとドルビーアトモスの聴き比べを実施。ドルビーアトモスでは、ボーカルは基本前方に配置されているが、リバーブやギター・ピアノなどの楽器を立体的に活用することでより「包まれ感」を演出。“広いキャンバス”に楽器を配置する楽しさを聴かせてくれる。
King & Princeでは、メンバーの声があらゆる方角から聴こえてくることで、まさに自分のためだけに歌ってくれているかのような幸福感。藤井風では、頭の真上でアーティストが歌うのを敬虔な気持ちで受け止めているような、不思議な体験をもたらしてくれる。
昨年来日したジョン・ウィリアムスのサントリーホールでのコンサートを収録したBlu-rayにもドルビーアトモスミックスが収められているのでこちらも聴かせてもらった。インディー・ジョーンズのテーマ曲では、音の明瞭度で言えばステレオに軍配が上がるが、ステージをともに過ごしているかのような臨場感はドルビーアトモスならでは。ライブアルバムの音声データとしても、ドルビーアトモスは広がりを見せている。
ユニバーサル ミュージックのスタジオから、新しい音楽制作の可能性が広がることを期待したい。
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