新回路設計によりセパレーションなどサウンドも向上

CANOR AUDIO、XLR入力も搭載した真空管フォノ上位モデル「ASTERION V2」

公開日 2024/07/22 20:11 編集部:成藤 正宣
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タクトシュトックは、同社取り扱いブランドCANOR AUDIO(カノア・オーディオ)から、真空管フォノアンプの上位モデル「ASTERION V2」を8月1日(木)に発売する。価格は1,760,000円(税込)。ブラック/シルバーの2種類の仕上げをラインナップする。

「ASTERION V2」(ブラック)

2023年に発売した真空管フォノアンプ「PH1.10」と設計思想は共通しつつ、あらゆる面でアップグレードを行ったという上位モデル。PH1.10で好評を博した透明感、倍音の豊かさ、広大なサウンドステージ、真空管フォノアンプらしかぬ静寂性といった特徴を受け継ぎ、さらに発展させたとする。

PH1.10と比較して、天板をアルミ製に変更した上で回路設計の見直しを実施。左右チャンネルの信号経路を厳密に分離し、電源電圧を個別にフィルタリング。左右それぞれのチャンネルで個別に電圧安定化を行うことで、ノイズと干渉を最小限に抑制し、チャンネルセパレーションの向上、よりクリーンで正確なサウンドを実現したという。PH1.10には無かったXLR入力も新搭載した。

回路設計の見直しを行い、XLR入力も搭載

真空管として、アノード電圧の整流に使用する「6CA4EH」1本と、双三極管「6922EH」8本、合計9本の真空管を搭載。MM信号の増幅とRIAAカーブの補正は純粋なパッシブ回路で行い、左右それぞれ4本ずつの三極管を配置して低インピーダンスなバランス出力段を構成した。

真空管は、すべてブランド独自開発の機材BT-2およびAladdinシステムを用いて200時間のエージングと選別/マッチングを行っている。加えて、青色アルマイト処理したアルミニウムシールド・シリンダーにより、振動や電磁干渉から保護する。

真空管はブランド独自のシステムでエージングとマッチングを行っている

プリント基板には、ブランド独自技術のCMTテクノロジー(CANOR PCB Milling Technology)を導入。基板の任意の位置に正確にホール(穴)を空けられる精密加工技術により、最短経路の回路設計を実現。高価な高品質テフロン絶縁ワイヤーによる内部配線に勝るとも劣らない特性をも備えたと謳っている。

プリント基板には独自の加工技術「CMTテクノロジー」を採用

トランスは社内で真空含浸と特殊な防振化合物によるカプセル化を施し、機械的なハム音を排除。さらに頑丈な溶接カバーで覆い、電磁シールドとSN比向上を図っている。外部電圧源からの干渉を防ぐため、一次巻線と二次巻線は銅箔で分離し、50%のオーバーラップでシールドしている。

MM/MCカートリッジ両方に対応しており、双方の干渉を完全に防ぐ設計のため、2種類のカートリッジを同時に接続可能だとする。フロントパネルからはカートリッジの特性に合わせてゲインや負荷容量、静電容量の設定にアクセスでき、聴きながらの調整もできるという。

MCカートリッジ用にLundahl(ルンダール)社製の高品質トランスを採用するほか、MC1(ゲイン70dB)とMC2(ゲイン76dB)という2種類の入力設定を装備。それぞれ割り当てられる入力インピーダンスの値が異なり、値が重なっている範囲(10 - 300Ω)については出力とサウンドの違いを聴き比べる楽しみ方もできるとのこと。

入力端子はRCA(MM/MC)、XLR(MC)の3系統、出力はRCA/XLRの2系統を搭載。MM負荷容量は50/150/270/370/520/620/740/840pFから選択でき、ゲインは46dB。MC入力インピーダンスは、MC1(70dB)が10/20/40/80/150/300/600/1.200Ω、MC2(76dB)が2/5/10/20/40/80/150/300Ωから選択可能。出力インピーダンスはRCAが<250Ω、XLRが<600Ωとなる。

背面端子

全高調波歪はMM/MCともに<0.1%(1VRMS)。RIAA精度は0.3dB(20Hz - 20kHz)。SN比はMMが<72dBV、MCが<68dBV。外形寸法は435W×170H×485Dmm、質量は18kg。

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