強度のあるMDFキャビネットを採用
DALI、EPIKOREシリーズの下位モデル3機種発表。上位機譲りのハイブリッド・トゥイーター搭載
ディーアンドエムホールディングスは、同社が取り扱うデンマーク・DALIブランドより、「EPIKORE」シリーズの3モデルを3月下旬に発売する。すでに、2023年にフロア型の「EPIKORE 11」が発表されているが、その下位グレードとなり、フロア型の「EPIKORE 9」「EPIKORE 7」、そしてブックシェルフ型の「EPIKORE 3」の3モデルが追加される。
価格は以下の通り
・3.5ウェイフロア型「EPIKORE 9」 5,500,000円(ペア・税込)
・3.5ウェイフロア型「EPIKORE 7」 3,520,000円(ペア・税込)
・3ウェイブックシェルフ型「EPIKORE 3」 2,200,000円(ペア・税込)
・「EPIKORE 3」専用スタンド 528,000円(ペア・税込)
近年のDALIの製品開発は、2022年に発表されたフラグシップモデル「KORE」の技術を徐々に下位グレードの製品に落とし込んできているが、本作もまたその流れの中に位置付けられる製品となる。2024年はもうひとつ下のラインの「RUBIKORE」シリーズが発表されたが、1年の開発期間を経て、「EPIKORE」がラインナップとして出揃ったことになる。
発表会の冒頭では、DALIのAPACエリアのリージョナル・ディレクターを務めるジル氏が登場。ジル氏はマレーシアのクアラルンプールに在住しており、日本や台湾を含むアジア・太平洋の17か国を担当している。ジル氏は、DALIは投資会社などの支援を受けない独立したカンパニーであり、非常に収益性高くヘルシーな企業であると説明。続けて、「アジアの多くの国々が、日本市場の動きから大きなインスピレーションを受けています」と語り、日本のマーケットの動きがアジア市場にも大きな影響を与えていると訴える。
続けて、シニアサウンドマネージャーの澤田龍一氏が、DALIの技術の詳細を解説。今回登場した3モデル(そして既発売の「EPIKORE 11」にも)共通する大きな特徴は、「EVO-Kハイブリッド・トゥイーター」の搭載となる。EVO-Kとは「KORE」からのEVOLUTION(進化)という意味が込められており、大型の35mmドームトゥイーターと、プレーナー・トゥイーターを組み合わせたものとなる。ちなみにプレーナー・トゥイーターは、これまで同社が“リボン・トゥイーター”と呼んでいたものの、呼び方を変更したものとなる。
澤田氏によると、「多くのハイブリッド構成のトゥイーターでは高域をロールオフせず、その上にプレーナー型(リボン型)を追加するという場合が多いですが、今回は明確にクロスオーバーを設定しています」と説明。ドームトゥイーターは12.5kHzでクロスオーバーを設定、その上の帯域をプレーナーが担う形となっている。またいずれも96dBの高能率を誇ることも大きな特徴。
ドーム・トゥイーターには強力なネオジムマグネットを搭載、またRUBIKOREシリーズ同様に磁性流体を使用せず、ドームのよりスムーズな動きを実現している。またドーム部のバックチャンバーはアルミダイキャスト製で、減衰と冷却を考え非常に大型のチャンバーとして設計されている。
「EPIKORE 9」(およびEPIKORE 11)にのみ、18cm口径のミッドレンジが搭載される。KOREから継承された表面に凹みのあるウッドファイバーの「クラリティコーン」を採用。磁気回路には、DALIの特許であるSMC(Soft Magnetic Compound)の第二世代モデルが採用されている。SMCは磁気的な性質は鉄だが、電気が流れにくいという特性を持っており、第二世代モデルでは鉄の約2万5000倍の電気抵抗を持つという(初代モデルは約1万倍)。磁気回路などに活用することで歪みのない音楽再生を実現できるものとなる。
澤田さんによると、これまでの「EPICON」に比べてミッドレンジのマグネットは大型化されているという。加えて、「ボイスコイルの38mmと口径も大きくなっています。さらに特殊な点として、金属のボビンに巻いてありますが、EPICONは一般的なアルミでしたが、今回はチタンを使っています。またワイヤーも角形断面の1層巻きという珍しい設計です」。また歪み対策として設置されるショートリングも、銅1枚・アルミ2枚と合計3枚構成で、手の込んだ設計がなされていると解説を加える。
「EPIKORE 3」「EPIKORE 7」については18cm口径のミッド/バスを搭載。ミッド帯域を担当するユニットには「EPIKORE 9」のミッドレンジ同様、表面に凹みのあるクラリティコーンが採用されている。分割振動を適切に制御するために設けられたものとなる。
また「EPIKORE 9」「EPIKORE 11」には20cmのウーファーを搭載。ウーファーは上下に分割され、トゥイーターとミッドを挟む形で配置されている。この理由についても澤田さんは、「上下のウーファーの床との距離が離れるため、反射の影響による音がディップが少なくなることを狙っている」と説明する。
またバスレフポートもKORE譲りの、断面積が断続的に変化する「コンティニュアス・フレアポート・テクノロジー」を採用。気流によるエアノイズが少ないことに加えて、キャビネット内に斜めに設置されている点もポイントだという。「後ろの壁が近い場合、壁にポートの気流がぶつかってしまうため、斜めにすることで後壁の影響を受けにくくしている」こと、また「ウーファーのすぐ後ろの音をポートに導く」ことができる利点があるという。
キャビネットは18mmのMDFを曲げて作られており、そこには40mmと非常に分厚いMDFによるフロントバッフルで構成。最後に、木目デザインの突板を表面に貼ることで、継ぎ目のない自然なデザインに仕上げられている。仕上げはブラック(ハイグロス・ラッカー)、ウォルナット(ハイグロス・ラッカー)、マルーン(ハイグロス)の3種類。
■「EPIKORE」の新3モデルをマランツ試聴室にて体験
マランツの試聴室にて、「EPIKORE 3」「EPIKORE 7」「EPIKORE 9」の試聴する機会を得た。いずれも安定した定位感と豊かなサウンドステージを聴かせており、特にアコースティック楽器や声などに自然な伸びやかさを感じられた。KORE以降のDALIが培ってきた歪みの少なさ、それによる情報量の多さと音楽性の高さが感じ取れる。
「EPIKORE 3」で聴く女性ジャズヴォーカルのシーネ・エイは、濃厚で安定感たっぷりな低域ベースが魅力的。弾むようなブックシェルフとして200万円オーバーとなかなかの価格帯ではあるが、大型ブックシェルフならではのまとまりの良さと豊穣さは大きな魅力と感じさせてくれる。
「EPIKORE 7」で聴いた松本俊明の「月の庭」では、ストリングスの入りの細やかさや、ピアノのペダルの踏み込みなどもしっかり伝えてくる。空気感も含めて再現する性能の高さはフロア型の強みと改めて納得。
「EPIKORE 9」のアラン・パーソンズ・プロジェクトの「Eye In The Sky」を試聴。低域のリズム感の豊かさに加えて、ギターの華やかさもより上質に引き出されてくる。良質な録音クオリティをたっぷり楽しませてくれるスピーカーと感じられた。
価格は以下の通り
・3.5ウェイフロア型「EPIKORE 9」 5,500,000円(ペア・税込)
・3.5ウェイフロア型「EPIKORE 7」 3,520,000円(ペア・税込)
・3ウェイブックシェルフ型「EPIKORE 3」 2,200,000円(ペア・税込)
・「EPIKORE 3」専用スタンド 528,000円(ペア・税込)
近年のDALIの製品開発は、2022年に発表されたフラグシップモデル「KORE」の技術を徐々に下位グレードの製品に落とし込んできているが、本作もまたその流れの中に位置付けられる製品となる。2024年はもうひとつ下のラインの「RUBIKORE」シリーズが発表されたが、1年の開発期間を経て、「EPIKORE」がラインナップとして出揃ったことになる。
発表会の冒頭では、DALIのAPACエリアのリージョナル・ディレクターを務めるジル氏が登場。ジル氏はマレーシアのクアラルンプールに在住しており、日本や台湾を含むアジア・太平洋の17か国を担当している。ジル氏は、DALIは投資会社などの支援を受けない独立したカンパニーであり、非常に収益性高くヘルシーな企業であると説明。続けて、「アジアの多くの国々が、日本市場の動きから大きなインスピレーションを受けています」と語り、日本のマーケットの動きがアジア市場にも大きな影響を与えていると訴える。
続けて、シニアサウンドマネージャーの澤田龍一氏が、DALIの技術の詳細を解説。今回登場した3モデル(そして既発売の「EPIKORE 11」にも)共通する大きな特徴は、「EVO-Kハイブリッド・トゥイーター」の搭載となる。EVO-Kとは「KORE」からのEVOLUTION(進化)という意味が込められており、大型の35mmドームトゥイーターと、プレーナー・トゥイーターを組み合わせたものとなる。ちなみにプレーナー・トゥイーターは、これまで同社が“リボン・トゥイーター”と呼んでいたものの、呼び方を変更したものとなる。
澤田氏によると、「多くのハイブリッド構成のトゥイーターでは高域をロールオフせず、その上にプレーナー型(リボン型)を追加するという場合が多いですが、今回は明確にクロスオーバーを設定しています」と説明。ドームトゥイーターは12.5kHzでクロスオーバーを設定、その上の帯域をプレーナーが担う形となっている。またいずれも96dBの高能率を誇ることも大きな特徴。
ドーム・トゥイーターには強力なネオジムマグネットを搭載、またRUBIKOREシリーズ同様に磁性流体を使用せず、ドームのよりスムーズな動きを実現している。またドーム部のバックチャンバーはアルミダイキャスト製で、減衰と冷却を考え非常に大型のチャンバーとして設計されている。
「EPIKORE 9」(およびEPIKORE 11)にのみ、18cm口径のミッドレンジが搭載される。KOREから継承された表面に凹みのあるウッドファイバーの「クラリティコーン」を採用。磁気回路には、DALIの特許であるSMC(Soft Magnetic Compound)の第二世代モデルが採用されている。SMCは磁気的な性質は鉄だが、電気が流れにくいという特性を持っており、第二世代モデルでは鉄の約2万5000倍の電気抵抗を持つという(初代モデルは約1万倍)。磁気回路などに活用することで歪みのない音楽再生を実現できるものとなる。
澤田さんによると、これまでの「EPICON」に比べてミッドレンジのマグネットは大型化されているという。加えて、「ボイスコイルの38mmと口径も大きくなっています。さらに特殊な点として、金属のボビンに巻いてありますが、EPICONは一般的なアルミでしたが、今回はチタンを使っています。またワイヤーも角形断面の1層巻きという珍しい設計です」。また歪み対策として設置されるショートリングも、銅1枚・アルミ2枚と合計3枚構成で、手の込んだ設計がなされていると解説を加える。
「EPIKORE 3」「EPIKORE 7」については18cm口径のミッド/バスを搭載。ミッド帯域を担当するユニットには「EPIKORE 9」のミッドレンジ同様、表面に凹みのあるクラリティコーンが採用されている。分割振動を適切に制御するために設けられたものとなる。
また「EPIKORE 9」「EPIKORE 11」には20cmのウーファーを搭載。ウーファーは上下に分割され、トゥイーターとミッドを挟む形で配置されている。この理由についても澤田さんは、「上下のウーファーの床との距離が離れるため、反射の影響による音がディップが少なくなることを狙っている」と説明する。
またバスレフポートもKORE譲りの、断面積が断続的に変化する「コンティニュアス・フレアポート・テクノロジー」を採用。気流によるエアノイズが少ないことに加えて、キャビネット内に斜めに設置されている点もポイントだという。「後ろの壁が近い場合、壁にポートの気流がぶつかってしまうため、斜めにすることで後壁の影響を受けにくくしている」こと、また「ウーファーのすぐ後ろの音をポートに導く」ことができる利点があるという。
キャビネットは18mmのMDFを曲げて作られており、そこには40mmと非常に分厚いMDFによるフロントバッフルで構成。最後に、木目デザインの突板を表面に貼ることで、継ぎ目のない自然なデザインに仕上げられている。仕上げはブラック(ハイグロス・ラッカー)、ウォルナット(ハイグロス・ラッカー)、マルーン(ハイグロス)の3種類。
■「EPIKORE」の新3モデルをマランツ試聴室にて体験
マランツの試聴室にて、「EPIKORE 3」「EPIKORE 7」「EPIKORE 9」の試聴する機会を得た。いずれも安定した定位感と豊かなサウンドステージを聴かせており、特にアコースティック楽器や声などに自然な伸びやかさを感じられた。KORE以降のDALIが培ってきた歪みの少なさ、それによる情報量の多さと音楽性の高さが感じ取れる。
「EPIKORE 3」で聴く女性ジャズヴォーカルのシーネ・エイは、濃厚で安定感たっぷりな低域ベースが魅力的。弾むようなブックシェルフとして200万円オーバーとなかなかの価格帯ではあるが、大型ブックシェルフならではのまとまりの良さと豊穣さは大きな魅力と感じさせてくれる。
「EPIKORE 7」で聴いた松本俊明の「月の庭」では、ストリングスの入りの細やかさや、ピアノのペダルの踏み込みなどもしっかり伝えてくる。空気感も含めて再現する性能の高さはフロア型の強みと改めて納得。
「EPIKORE 9」のアラン・パーソンズ・プロジェクトの「Eye In The Sky」を試聴。低域のリズム感の豊かさに加えて、ギターの華やかさもより上質に引き出されてくる。良質な録音クオリティをたっぷり楽しませてくれるスピーカーと感じられた。
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