<CES2008:DOLBY> デジタルサウンドの雄、ドルビーが音と映像に最新技術を展開
■ドルビーには巨大なトランスフォーマーがお出迎え
ドルビーブースに度肝を抜く演出で迎えられた。映画『トランスフォーマー』の主役ロボット、バンブルビーが聳え立つ。コンベンションルームの天井まで届くかもしれないほどの高さで、映画でも使用(当然、CG以外)したホンモノだそうだ。映画会社との永く深いコネクションがある同社ならではの演出である。どうやって運び込んだのか疑問に思って、会場をご案内いただいたジャック・ビューザー氏(ドルビーラボラトリーズ インターナショナルサービスインク テクノロジーエバンジェリストディレクター)に尋ねると、「自分で歩いてきたんだよ!」(笑)。
ドルビーのハイライトは、メインストリーム技術の「サウンド(音)」と、新規展開の「ビデオ(映像)」の両分野において、それぞれCES発表が行われた。驚異的なサウンドとそれに見合う映像技術という位置づけでの発表となる。
■米国初登場のハイダイナミックレンジ(HDR)画像技術
CES発表の映像技術は「HDR」。すでに日本ではCEATEC JAPANにおいて「ドルビービジョン」および「ドルビーコントラスト」という名称で世界初披露されているもの(関連記事)で、LEDバックライト技術を使用した高精細(HD)液晶テレビのコントラストを大幅に高め、輝度とダイナミックレンジを拡大するハイダイナミックレンジ(HDR)画像技術となっている。
HDR画像技術は、LEDバックライト技術を使用した液晶テレビでLEDバックライトユニット(BLU)の機能を活用するもので、卓越したコントラストと輝度によって、現実の世界で目にする奥行き感やディテール、色と遜色のない画像品質を実現する。具体的には局所輝度制御(Local Dimming)付きLEDバックライトを搭載した液晶テレビセットそれぞれによって最適化されるものだという。
実際のデモンストレーションは通常の液晶テレビとHDR技術搭載のLEDバックライト液晶テレビを並べて行われた。その差は歴然で、バックライトの細かな制御ができれば理想的な液晶テレビに追い込めることが明らかだ。
LED(バックライト)技術を開発し、自社で搭載している液晶テレビメーカーは多く、ドルビーのHDR技術を使用することで、製品のビデオ画質を高め、結果的にアドバンテージ機能がテレビセットに加わるとしている。
ドルビーは、初のHDR技術となる「ドルビーコントラスト」のLCDメーカーへの提供を2008年第1四半期中に開始する予定であると発表した。またXilinx(ザイリンクス)社が、同社のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)チップセット、Virtex(TM)-4 SXがドルビーのハイダイナミックレンジ(HDR)技術の承認を取得したと発表した(ドルビー資料による)。
■再生ソースの音量を一定にする「ドルビーボリューム」
やはりドルビーが昨秋のCEATECより力を入れている技術が「ドルビーボリューム」である。特別な試聴室をブースに設けてのデモを行った。このデモ体験後、ドルビーのHDオーディオデモディスク等が無料で貰えるため、たいへんな行列を作っていた。
ドルビーボリュームは、さまざまな機器やフォーマットの音量レベルをコントロールする、アドバンス機能。これによってメーカーもユーザーも音量をコントロールするためのシンプルかつ高度な使い勝手を得ることになる。テレビを見ていて、コマーシャル時に音量が突然大きくなるといった経験は誰しもあることだが、ドルビーボリュームはそれを解決する。ただし、単純な自動音量調整だけでなく、深夜等の小音量再生において、必要な帯域情報を持ち上げる機能も有している。これは体験してみなければ分からない!
■テレビ放送において力を発揮する「ドルビーデジタルプラス」
さらに「ドルビーデジタルプラス」が放送メディアのキラーフォーマットとして紹介された。ドルビーデジタルプラスは、ドルビーTrue HDと同じ、次世代DVD向けHDオーディオ規格であるが、次世代DVDフォーマットとしては2種類の提案の中で、影が薄くなっている。しかしながら、基本的にドルビーデジタル(AC-3)をベースとするコンテンツ配信の進化するニーズに対応できるよう特別に設計された拡張性の高い技術で、場所を「テレビ放送」に変えると立場は逆転する。
テレビ放送では、伝送のための帯域幅のコストがすべてを左右するという特殊な環境を持つ一方で、映像のHD化に合わせた音声の向上も求められている。放送の場合、ドルビーデジタルプラスは標準的なドルビーデジタルよりも効率性に優れるため、放送事業者はより多くのHD映画やHD番組を重厚なサラウンドサウンドで提供できるようになる。
また、ドルビー社は昨年のCoding Technologiesの買収によって、「AAC Plus」を搭載した技術を取得した。この「AAC Plus」もドルビーブランドとして生まれ変わる。日本のユーザーにデジタル放送のフォーマットとして知られるAACだが、AACの128kbpsに対し、AAC Plusは32kbpsという1/4の転送レートでCD同等の音質が得られるという。
この制限された伝送帯域における高音質で、「AAC Plus」は国内の携帯電話会社auの音楽配信事業「LISMO」に採用されたほか、世界中の主要な携帯電話会社への採用が進んでいる。
(AVレビュー編集部 永井)
ドルビーブースに度肝を抜く演出で迎えられた。映画『トランスフォーマー』の主役ロボット、バンブルビーが聳え立つ。コンベンションルームの天井まで届くかもしれないほどの高さで、映画でも使用(当然、CG以外)したホンモノだそうだ。映画会社との永く深いコネクションがある同社ならではの演出である。どうやって運び込んだのか疑問に思って、会場をご案内いただいたジャック・ビューザー氏(ドルビーラボラトリーズ インターナショナルサービスインク テクノロジーエバンジェリストディレクター)に尋ねると、「自分で歩いてきたんだよ!」(笑)。
ドルビーのハイライトは、メインストリーム技術の「サウンド(音)」と、新規展開の「ビデオ(映像)」の両分野において、それぞれCES発表が行われた。驚異的なサウンドとそれに見合う映像技術という位置づけでの発表となる。
■米国初登場のハイダイナミックレンジ(HDR)画像技術
CES発表の映像技術は「HDR」。すでに日本ではCEATEC JAPANにおいて「ドルビービジョン」および「ドルビーコントラスト」という名称で世界初披露されているもの(関連記事)で、LEDバックライト技術を使用した高精細(HD)液晶テレビのコントラストを大幅に高め、輝度とダイナミックレンジを拡大するハイダイナミックレンジ(HDR)画像技術となっている。
HDR画像技術は、LEDバックライト技術を使用した液晶テレビでLEDバックライトユニット(BLU)の機能を活用するもので、卓越したコントラストと輝度によって、現実の世界で目にする奥行き感やディテール、色と遜色のない画像品質を実現する。具体的には局所輝度制御(Local Dimming)付きLEDバックライトを搭載した液晶テレビセットそれぞれによって最適化されるものだという。
実際のデモンストレーションは通常の液晶テレビとHDR技術搭載のLEDバックライト液晶テレビを並べて行われた。その差は歴然で、バックライトの細かな制御ができれば理想的な液晶テレビに追い込めることが明らかだ。
LED(バックライト)技術を開発し、自社で搭載している液晶テレビメーカーは多く、ドルビーのHDR技術を使用することで、製品のビデオ画質を高め、結果的にアドバンテージ機能がテレビセットに加わるとしている。
ドルビーは、初のHDR技術となる「ドルビーコントラスト」のLCDメーカーへの提供を2008年第1四半期中に開始する予定であると発表した。またXilinx(ザイリンクス)社が、同社のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)チップセット、Virtex(TM)-4 SXがドルビーのハイダイナミックレンジ(HDR)技術の承認を取得したと発表した(ドルビー資料による)。
■再生ソースの音量を一定にする「ドルビーボリューム」
やはりドルビーが昨秋のCEATECより力を入れている技術が「ドルビーボリューム」である。特別な試聴室をブースに設けてのデモを行った。このデモ体験後、ドルビーのHDオーディオデモディスク等が無料で貰えるため、たいへんな行列を作っていた。
ドルビーボリュームは、さまざまな機器やフォーマットの音量レベルをコントロールする、アドバンス機能。これによってメーカーもユーザーも音量をコントロールするためのシンプルかつ高度な使い勝手を得ることになる。テレビを見ていて、コマーシャル時に音量が突然大きくなるといった経験は誰しもあることだが、ドルビーボリュームはそれを解決する。ただし、単純な自動音量調整だけでなく、深夜等の小音量再生において、必要な帯域情報を持ち上げる機能も有している。これは体験してみなければ分からない!
■テレビ放送において力を発揮する「ドルビーデジタルプラス」
さらに「ドルビーデジタルプラス」が放送メディアのキラーフォーマットとして紹介された。ドルビーデジタルプラスは、ドルビーTrue HDと同じ、次世代DVD向けHDオーディオ規格であるが、次世代DVDフォーマットとしては2種類の提案の中で、影が薄くなっている。しかしながら、基本的にドルビーデジタル(AC-3)をベースとするコンテンツ配信の進化するニーズに対応できるよう特別に設計された拡張性の高い技術で、場所を「テレビ放送」に変えると立場は逆転する。
テレビ放送では、伝送のための帯域幅のコストがすべてを左右するという特殊な環境を持つ一方で、映像のHD化に合わせた音声の向上も求められている。放送の場合、ドルビーデジタルプラスは標準的なドルビーデジタルよりも効率性に優れるため、放送事業者はより多くのHD映画やHD番組を重厚なサラウンドサウンドで提供できるようになる。
また、ドルビー社は昨年のCoding Technologiesの買収によって、「AAC Plus」を搭載した技術を取得した。この「AAC Plus」もドルビーブランドとして生まれ変わる。日本のユーザーにデジタル放送のフォーマットとして知られるAACだが、AACの128kbpsに対し、AAC Plusは32kbpsという1/4の転送レートでCD同等の音質が得られるという。
この制限された伝送帯域における高音質で、「AAC Plus」は国内の携帯電話会社auの音楽配信事業「LISMO」に採用されたほか、世界中の主要な携帯電話会社への採用が進んでいる。
(AVレビュー編集部 永井)