<CES2008:LG>ひと皮剥けた、洗練された印象のLGの「次なる展開」
●韓国メーカーとしてのオリジナリティへの挑戦
韓国系メーカーの展示というと、まず「World's ×××est □□□」という看板を想起するほど、なんだか「世界最大」「世界最小」「世界初」のオンパレードで、クオリティは二の次みたいな製品が多いという印象になってしまう傾向がある。ということで一昨年あたりからは「他方式との比較展示」に方向転換したが、「それってオリジナル技術じゃないよね」という類似まで堂々と並べるものだから、ますますホンモノがボケてしまう。ではクオリティ的に世界評価の高いブランドとのコラボーレションを仕掛けるも、結局はそのブランド商品に飲み込まれてしまい単なるパーツ屋さんのようなイメージも付きまとう。冷静に見れば、素晴らしいオリジナル技術の集団なのに非常に残念な話だ。
いつものように、そんなイメージを持ってLGブースへ行くと、少々ニュアンスが違う。押しの強さを控えめにした、少し洗練した雰囲気に仕上がっていた。IFA(ドイツのベルリンショー)などでは、SAMSUNGとLGのブースは、同じ人間がブースデザインをしているのかと思うほど酷似していたが、インターナショナルCESで一皮剥けた感じだ。ではそのオリジナリティに目を向けてみよう。
●背中も美しいLGのウルトラスリム
入口で出迎えるのは、やはり今年流行の「ウルトラスリム」であった。LGモデルは42インチのフルHD液晶テレビ「42LGX」で、厚さは1.7インチ(=約4.3cm)。アールヌーボーデザインで赤と黒の2色があり、佇まいとそこに搭載された技術力の見事な融合を図っている。背中は緩やかな曲線カバーで覆われており、デザインの自信の表れかステージは回転する。このあたりはウルトラスリムで先行する日立的なアプローチである。(すべてのテレビが嫉妬する、日立のWoooも背中が美しい)。
技術の融合というのは、ただ超薄いだけでなくフルHD(1080p)を実現しており、かつ120Hzトゥルーモーション技術(倍速表示)に対応。15,000対1のコントラストも達成した。自動的に明るさと色再生を補正するインテリジェントセンサーも搭載している。つまりLGのハイエンドモデルの映像技術もテンコ盛りなのである。LGは本モデルで、CES2008の「Innovation Award」を受賞した。
●ワイヤレス送信できるテレビと、LEDバックライトテレビ
液晶テレビではLG71シリーズというワイヤレス送信が可能な50インチモデルが展示されていた。メディアレシーバー部かた独立したディスプレイ部は壁掛けが可能になるばかりか、複数の部屋(マルチルーム)での視聴という可能性を持つ。またLEDバックライトによるフルHD液晶テレビ「LG75」も参考出品された。LEDバックライトの持つ色鮮やかさがはっきりと出ていた。また、LGは液晶のみならずプラズマテレビにも力を入れている。ラインナップはPG70シリーズとPG60シリーズがあり、1080pモデルをラインナップする。
●マーク・レヴィンソン監修によるホームシアターシステム2モデル
すでにプレスカンファレンスの記事でも紹介した「LHT888」はデザイン・アート・ホームシアターシステムである。「tuned by Mr.Mark Levinson」と表記があり、音質チューニングをあのマーク・レビンソン氏が手がけている。スピーカー部がシャンパングラスのようなユニークな形をしており、5.1chスピーカーシステムとDVDレシーバーとのセットになっている。
もうひとつ。ひときわ大きな音を出しているのに、妙に調和の取れたサラウンド空間を生み出していたのは、マーク・レビンソン氏が設計開発を共同で行った(co-designed)、「AP3133」というHDホームシアターシステム。7.1chのスピーカーシステムとそれをドライブするマルチチャンネルAVレシーバー、そしてLGが世界をリードするBD/HD DVDのコンパチプレーヤーを中心にしており、音も画もHDクオリティの最高峰ホームシアターシステムである。本年のCESではサムソンの新コンパチ機に注目が集まったが、すでにLGモデルのが先行して、HD DVDとBDにフルスペックで対応しており、自社でPCドライブ供給できる実力を持つ同社ならではのオリジナリティ、クオリティとも自信のモデルだ。
「AP3133」のスピーカーは音質を追及した結果か、コンサバなフォルムであるが、実に安心してHDオーディオが聴ける仕上がりとなっていた。こんな製品が日本でデビューしないというのは残念で仕方ない。
●米国版ワンセグ放送に対応したケータイ電話と、テレビ腕時計
すでに日本では放送が始まっているワンセグ放送だが、米国でのデジタル放送のモバイル化はこれから。とはいっても全米規模で開始されれば国土が広く、人口も多い北米では経済的にも、技術・放送事業的にもその影響は計り知れない。
「mobile TV」コーナーで紹介された、一見iPhoneにも見える「Voyager」は、前面のタッチパネルを開くと中身にもディスプレイとハードウェアキーボードが現れる。凄いのは地デジの受信も可能で、しかも背面にはカメラも搭載されるという究極の全部入りケータイである。
また、ガラスショーケースの中にしまわれていた「WATCH PHONE」という名前の腕時計にも人だかりができていた。まだ試作ではあるが文字盤全体が液晶ディスプレイになっている。通常は時計の姿をしているが、名前から想像できるのは「電話機能」を搭載している時計だ。現行のケータイ電話の逆発想モデルである。しかしながら機能は商品企画次第で無限大の可能性を感じさせる。
最後にデジタルスチルカメラの新製品「Viewty」を紹介しよう。造語と思われる名前が面白い。こちらも「Voyager」に近いデザインコンセプトでケータイ電話にも見えるが、極薄ボディのコンパクトカメラである。しかも動画撮影(120fps)が可能である。
(AVレビュー編集部 永井)
韓国系メーカーの展示というと、まず「World's ×××est □□□」という看板を想起するほど、なんだか「世界最大」「世界最小」「世界初」のオンパレードで、クオリティは二の次みたいな製品が多いという印象になってしまう傾向がある。ということで一昨年あたりからは「他方式との比較展示」に方向転換したが、「それってオリジナル技術じゃないよね」という類似まで堂々と並べるものだから、ますますホンモノがボケてしまう。ではクオリティ的に世界評価の高いブランドとのコラボーレションを仕掛けるも、結局はそのブランド商品に飲み込まれてしまい単なるパーツ屋さんのようなイメージも付きまとう。冷静に見れば、素晴らしいオリジナル技術の集団なのに非常に残念な話だ。
いつものように、そんなイメージを持ってLGブースへ行くと、少々ニュアンスが違う。押しの強さを控えめにした、少し洗練した雰囲気に仕上がっていた。IFA(ドイツのベルリンショー)などでは、SAMSUNGとLGのブースは、同じ人間がブースデザインをしているのかと思うほど酷似していたが、インターナショナルCESで一皮剥けた感じだ。ではそのオリジナリティに目を向けてみよう。
●背中も美しいLGのウルトラスリム
入口で出迎えるのは、やはり今年流行の「ウルトラスリム」であった。LGモデルは42インチのフルHD液晶テレビ「42LGX」で、厚さは1.7インチ(=約4.3cm)。アールヌーボーデザインで赤と黒の2色があり、佇まいとそこに搭載された技術力の見事な融合を図っている。背中は緩やかな曲線カバーで覆われており、デザインの自信の表れかステージは回転する。このあたりはウルトラスリムで先行する日立的なアプローチである。(すべてのテレビが嫉妬する、日立のWoooも背中が美しい)。
技術の融合というのは、ただ超薄いだけでなくフルHD(1080p)を実現しており、かつ120Hzトゥルーモーション技術(倍速表示)に対応。15,000対1のコントラストも達成した。自動的に明るさと色再生を補正するインテリジェントセンサーも搭載している。つまりLGのハイエンドモデルの映像技術もテンコ盛りなのである。LGは本モデルで、CES2008の「Innovation Award」を受賞した。
●ワイヤレス送信できるテレビと、LEDバックライトテレビ
液晶テレビではLG71シリーズというワイヤレス送信が可能な50インチモデルが展示されていた。メディアレシーバー部かた独立したディスプレイ部は壁掛けが可能になるばかりか、複数の部屋(マルチルーム)での視聴という可能性を持つ。またLEDバックライトによるフルHD液晶テレビ「LG75」も参考出品された。LEDバックライトの持つ色鮮やかさがはっきりと出ていた。また、LGは液晶のみならずプラズマテレビにも力を入れている。ラインナップはPG70シリーズとPG60シリーズがあり、1080pモデルをラインナップする。
●マーク・レヴィンソン監修によるホームシアターシステム2モデル
すでにプレスカンファレンスの記事でも紹介した「LHT888」はデザイン・アート・ホームシアターシステムである。「tuned by Mr.Mark Levinson」と表記があり、音質チューニングをあのマーク・レビンソン氏が手がけている。スピーカー部がシャンパングラスのようなユニークな形をしており、5.1chスピーカーシステムとDVDレシーバーとのセットになっている。
もうひとつ。ひときわ大きな音を出しているのに、妙に調和の取れたサラウンド空間を生み出していたのは、マーク・レビンソン氏が設計開発を共同で行った(co-designed)、「AP3133」というHDホームシアターシステム。7.1chのスピーカーシステムとそれをドライブするマルチチャンネルAVレシーバー、そしてLGが世界をリードするBD/HD DVDのコンパチプレーヤーを中心にしており、音も画もHDクオリティの最高峰ホームシアターシステムである。本年のCESではサムソンの新コンパチ機に注目が集まったが、すでにLGモデルのが先行して、HD DVDとBDにフルスペックで対応しており、自社でPCドライブ供給できる実力を持つ同社ならではのオリジナリティ、クオリティとも自信のモデルだ。
「AP3133」のスピーカーは音質を追及した結果か、コンサバなフォルムであるが、実に安心してHDオーディオが聴ける仕上がりとなっていた。こんな製品が日本でデビューしないというのは残念で仕方ない。
●米国版ワンセグ放送に対応したケータイ電話と、テレビ腕時計
すでに日本では放送が始まっているワンセグ放送だが、米国でのデジタル放送のモバイル化はこれから。とはいっても全米規模で開始されれば国土が広く、人口も多い北米では経済的にも、技術・放送事業的にもその影響は計り知れない。
「mobile TV」コーナーで紹介された、一見iPhoneにも見える「Voyager」は、前面のタッチパネルを開くと中身にもディスプレイとハードウェアキーボードが現れる。凄いのは地デジの受信も可能で、しかも背面にはカメラも搭載されるという究極の全部入りケータイである。
また、ガラスショーケースの中にしまわれていた「WATCH PHONE」という名前の腕時計にも人だかりができていた。まだ試作ではあるが文字盤全体が液晶ディスプレイになっている。通常は時計の姿をしているが、名前から想像できるのは「電話機能」を搭載している時計だ。現行のケータイ電話の逆発想モデルである。しかしながら機能は商品企画次第で無限大の可能性を感じさせる。
最後にデジタルスチルカメラの新製品「Viewty」を紹介しよう。造語と思われる名前が面白い。こちらも「Voyager」に近いデザインコンセプトでケータイ電話にも見えるが、極薄ボディのコンパクトカメラである。しかも動画撮影(120fps)が可能である。
(AVレビュー編集部 永井)