DVD-RW/R製品の普及を達成
RWPPI、第50回目の定期ミーティングを開催 − 9年間に及ぶ活動を完了
同日は第6回目の開催となるJRT東京セミナーも開催された。セミナーでは2008年6月から行われてきた「Stage8」の互換性検証活動の成果が報告された。成果報告の冒頭には、RRTのヘッドチェアマンであるパイオニア(株)の石井英宏氏が挨拶を行った。そのスピーチの内容をご紹介しよう。
■RRTヘッドチェアマン 石井英宏氏
RWPPIの主催するRRTは、これまで主に4つのワーキンググループに別れて、DVD-RW/R製品に関する記録再生互換の検証活動を行ってきた。同時にトータルで40回の全体会議を開催し、グローバルな会員どうしのネットワークも広げてきた。2002年の活動開始後、約7年に渡って活動を精力的に行ってきたが、新しい製品や技術の検証だけでなく、既存のレガシー製品との組み合わせもターゲットに入れた品質向上に取り組んできたことが、“ユーザーの利便性向上”を最上価値として掲げてきたRRTの特徴ではないかと考えている。これまでの活動で参加いただいた企業は最大で54社に上り、1,097モデルの製品を累計2,239項目に渡ってテストしてきた。
今回「Stage8」のテストでは、初めて“市場買い上げテスト”に取り組んだほか、HDアプリケーションのマウントチェックや2層タイプのDVD Downloadもアイテムに取り入れながら、現在活動中の3つのワーキンググループにて参加製品間での互換性検証を行ってきた。また最新フォーマットのディスクを未対応機器のドライブ・プレーヤーなどの機器に誤挿入した時に“誤動作を発生させないか”をチェックするための、RWPPI独自の試験項目“マウントチェック”も多岐に渡って実施し、それぞれのテスト項目に優秀な成果が報告されている。最後にこれまで海外開催してきたセミナーも含めて、RWPPIの互換性検証活動に熱心に取り組んでこられた会員の皆様に深く感謝したい。
続いて各ワーキンググループのチェアマンより「Stage8」の互換性検証試験の結果が報告された。
フィジカル・ワーキンググループでは、ディスクメーカー16社、27モデル、およびライターメーカー7社、8モデル間で合計140項目の試験が行われ、参加モデル間で安定した記録・再生品質が確保されたことが報告された。報告を行ったチェアマンの藤木邦晴氏は「市販のライター、レコーダーとディスク間の互換性向上を目的に活動を行ってきたが、最後のStage8でも優秀なテスト結果とともに、将来の互換性向上にも役立つデータを共有財産として確認することができた」と振り返った。
続いてロジカル・ライター・ワーキンググループのチェアマン、篠原朗氏が登壇した。同ワーキンググループでは、昨年正式なブックが発行された2層式の録画用DVD Downloadディスクを徹底チェックするとともに、プロトタイプのドライブとメディアでの記録性能チェック、およびレガシー製品でのマウントチェックなどが行われた。結果、参加メーカー5社、43モデルで16項目の試験を行い、安定した記録品質が確保されていることが確認された。篠原氏は「今回は商品化されていないディスクでのテストにも注力したが、実際に記録を行う際の理解が深まった。ほとんどのデバイスにおいて、ディスクやハードに損害を与えないことが確認できた」と語った。
プレイバック・コンパチビリティワーキンググループからはチェアマンの佐藤伸行氏が成果報告を行った。同ワーキンググループではDVD-RW/R対応プレーヤー、ドライブ、およびPC再生ソフトウェアに関して、合計17社、148モデルにより15項目での再生互換性評価が行われ、広範な環境下での再生互換が確認された。2層式録画用DVD Downloadディスクでの高い再生互換率も確保するとともに、ブランクディスク挿入時のマウントチェックにも優秀な成果を残せたと佐藤氏は振り返った。また、HD Rec/AVCREC/AVCHDなどHDフォーマットで記録されたディスクについてもマウントチェックが入念に行われ、「レガシー製品との組み合わせでわずかに見られたトラブルについても、今後の製品開発に有益となる情報として獲得できた」と説明した。
この日の会議には2003年9月からJRTの活動に参加した、旧・記録型DVD会議(RDVDC)のメンバーを代表して、パナソニック(株)の小石健二氏、サムスン電子のJeong Yong-Chae氏も駆けつけ、挨拶を行った。各氏のコメントもご紹介しよう。
■パナソニック(株) 小石健二氏
記録型DVD会議(RDVDC)とRWPPIが2004年9月にJRTをスタートしてから、この5年間に築いてきた技術的なノウハウやヒューマンネットワークは他に代え難いものがある。JRTの活動は、いったん互換性に問題が生じた際には即座に改善への取り組みも行い、ユーザー視点での製品・技術の発展を常に見据えていたことが大きな特徴だと思っている。今後BDレコーダーが市場の軸になって行くとしても、ドライブのピックアップはDVDやCDにも対応した“3 in 1”の機能が求められるが、その際には必ずやRWPPIの活動の成果と人的ネットワークが、新たな課題を乗り越えるための原動力になっていくことだろう。
■サムスン電子 JEONG YONG-CHAE氏
私自身は2005年のJRTミーティングから参加してきたが、RDVDCとRRTそれぞれの取り組みが見事に融合して、DVD製品の利便性を高めていくことができたことを大変誇りに感じている。これまでRWPPIが世界各国で行ってきたプロモーション活動やプレスカンファレンスは私にとって非常に印象深いものだった。それらの活動を通して、私も様々なことを学べたと思う。今回RWPPIの活動が終了することはとても残念だが、一方でそれは私たちが目指してきたゴールが達成されたのだということを強調したい。その功績は今後も業界にとって大変貴重な財産として残り続けるだろう。
RWPPI定期ミーティングの最後の特別講演には、デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏とBOC(Holdings)Ltd.代表取締役社長の小松知彦氏によるパネルディスカッションも行われた。麻倉氏は自身の“光ディスクへの思い”を語り、「記録文化にとって大切なのものはコンテンツに他ならないが、もっと大切なのは“どんなメディアに残すか”ということ。私のような録画・録音マニアにとって、光ディスクはタイトルとしての所有感・存在感も満足させてくれるし、良いコンテンツをさらに引き立ててくれる。またそこに収録する作品の画質や音質を良くしていくために、ユーザーがあれこれ工夫できる点も光ディスクのメリット。その魅力はこれからも永遠に続くものと確信している」と述べた。
小松氏は「昨今はアジア諸国でオンラインのコンテンツサービスも広まってきたが、やはり本当に安心して使えるメディアを考えた時、光ディスクの互換性やコストパフォーマンスは見逃せないメリット。今後も色々な競合メディアが現われてくると思うが、光ディスクはそれぞれの用途を分けながら必ずや現在のポジションを守り続けて、主役として活用され続けることだろう」と語った。