ファインテック・ジャパン基調講演
デジタル放送&テレビに今後求められるものとは?NHK/パナソニック/ソニーが展望を語る
■デジタル放送を支えるパナソニックのテレビ技術と戦略
− パナソニック(株)AVCネットワークス社 副社長 今井 浄氏
続いて登壇したのはパナソニックの今井氏。ブラウン管アナログテレビに薄型デジタルチューナー内蔵テレビが加わったことで、テレビの市場は95年と比較し約2倍に成長しているという。「2016年には全てのテレビが地デジ対応になるだろう。パナソニックとしても地デジ放送移行を覚悟を決めて進める」と決意を表し、同社が保有する技術や今後のテレビ戦略展開について説明を行った。
今井氏は、同社のテレビづくりは「省エネと環境負荷物質ゼロ化で“環境にやさしい”」「高画質で動画に強く“人にやさしい”」「簡単・つながるリンクで“人につかいやすい”」の3本柱で構成されることを説明。まず「デジタルテレビを支える技術」として、今年春に発売した“VIERA”Zシリーズ、Vシリーズなどに搭載した「Neo PDP」をさらに推し進めた「NeoPDP eco」「NeoLCD eco」技術(関連ニュース)を紹介。新材料や新セル構造を採用し、画質の向上と省消費電力を両立できる製品づくりを狙うという。また、デジタル家電総合プラットフォーム「UniPhier(ユニフィエ)」を挙げ、「パナソニック ハリウッド研究所などによる技術を搭載し、ハリウッドも納得の高画質技術を実現する」と訴求。UniPhierをテレビやBDレコーダー、パーソナルAV機器などに採用することにより、総合力のあるパナソニック製品を発売していくことを示した。
続いて「デジタルテレビの進化」として、IPTVや3Dシアターを提示。IPTVについては、日本をはじめとした各国のブロードバンド環境整備に合わせて「アクトビラ」や「VIERA CAST」などのIPTV機能を搭載。テレビだけでなく携帯電話やビエラ・ワンセグなどのモバイル機器でもIPTVへの対応を進めていくとのことだ。
3Dシアターは日本ではまだ馴染みが薄いが、米国では3D上映が可能なスクリーンが2,000を越えているという。同社がCES2009で披露した3Dシアターブースは8,000名もの来場者が訪れ、長蛇の列ができたのだという。今井氏は「3Dコンテンツ制作技術も進化しており、今後ますます拡がっていくだろう」と予測した。
最後に「デジタルテレビがもたらす新たなライフスタイル」として4つのスタイルを提案。WirelessHDを利用した「ワイヤレス ビエラリンク」、DLNAを活用しさまざまな部屋でコンテンツを楽しむ「マルチルーム視聴」、“ビエラ・ワンセグ”などを利用し、録画したコンテンツを外でも楽しむ「ワンセグ持ち出し」、ムービーやデジカメで撮ったデータをビエラで再生する「デジカメ&ムービー動画再生」を列挙し、今後はテレビを核に白物家電や照明などさまざまなシーンで「くらしまるごと 拡がるリンク」で、家でも外でも楽しめるライフスタイルを提案していく構想も明らかにした。
今井氏は「大画面・薄型化とデジタル化が同時に進んでいるのは非常にエポックメイキングなできごと。世界中のユーザーが喜ぶ、簡単・便利・綺麗な使える製品をどんどん作っていきたい」と締めくくった。