「2009 iVDRセミナー」レポート
三洋とマクセル、iVDRレコーダーを今夏発売へ − iVDRパッケージソフトも商品化決定
■「iV市場のポテンシャルはまだまだ大きい」 − 日立マクセル 山本章貴氏
なお前述したように、日立マクセル(株)コンシューマー販売事業部 山本章貴氏が行った「iVDRメディアビジネスの展望」と題したレポートでも、「マクセルも6月中旬にiVDR-Sレコーダーをプレス発表する」とコメント。プレーヤーに続きレコーダーも販売を開始することで、iVDRマーケットを牽引する考えを強調した。
山本氏は冒頭、「iVDRについては、本当に売れているのか、という質問が一番多い」とし、「既に出荷台数では累計30万台を突破した。着実に右肩上がりになっており、250GBモデルも堅調な需要となっている。大容量化に対するユーザーニーズが顕在化したと言えるのではないか。iVポケット搭載“Wooo"は、2007年の販売開始以来すでに100万台以上が出荷されているので、ポテンシャルはまだまだ大きい。最近発表した320GBモデルで新しいユーザーを開拓するとともに、これまでのお客様にも大容量製品への買い換えを促していきたい」と、好調な販売状況と今後の戦略を説明した。
このような戦略を徹底することで、「Wooo新モデルの販売も堅調に推移していると聞いている。対応テレビに対するiVの付帯率は、2008年度は15%程度だったが、2009年度は30%になるべく近づけたい」とした。
大容量化のロードマップについては「早く500GBモデルを出したい。2010年ではお客様のニーズに間に合わないと考えているので、2009年末までには何とか出したい」とコメントした。
山本氏は、BDメディアの販売動向についても説明を行った。それによると、「今年1月に、レコーダー市場におけるBDレコーダーの比率が初めて減少したが、おおむねハードは順調に進んでいると認識している。一方でBDメディアの普及速度は、当初予想していたスピードより遅いと言わざるを得ない。今年度の目標である4,300万枚から下方修正する見込みだ」とし、「全メディアにおけるBDメディアの構成比は、2009年度予想で3%程度とわずか。これはPC市場が立ち上がっていないことも大きな理由だ。これらのことから当面、光ディスクのメイン商品はDVDになるだろう」とも述べた。
さらに山本氏は、「DLNAの普及でiVのメリットが拡大する」と明言。家庭内でのブリッジメディアとして、iVDRの利便性が徐々に浸透していくのではないか、と期待感を表明した。
また、昨年のCEATECなどで出展した「電子ペーパー搭載iVDR」についても、現在量産試作を準備中で、2010年4月頃を量産開始予定としているという。「容量がどのくらい残っているか、メディアの中に何が入っているかがわかる。付加価値商品として現在開発を進めている」とのことで、主に業務用途を想定。現在大手放送局と商談中であるという。また放送局向けには、5型のiVDRスロットアダプタについても開発をスタート。それを4台組み合わせた4ベイアダプターユニットも展開する予定だ。
山本氏はiVDR関連製品のロードマップについても紹介。山本氏は言及しなかったが、2009年のところに「PC用のSAFIA対応フルセグチューナー」と書かれており、製品化が期待される。また、iVDR I/O規格を使って、チューナーモジュールやBluetoothモジュールなど、必要な機能のみをスロットに指すことで自分好みにカスタマイズできる「iVDRステーション」についても、現段階では試作機レベルながら、将来的には展開を行っていきたいとの意向を示した。iVDRステーションはベースステーションのほか、追加ステーションを重ねることも可能。それぞれにスロットを備え、チューナーカードやネットコンテンツカードなどを抜き差しし、機能の追加を行うことができる。
最後に山本氏はiVDRの未来について「ぜひ車載向けにiVDRを導入したい。これはiVDRコンソーシアムにとっても一つの大きな目標だろう。ただし、車載用途では、現在のスタンダード規格のiVDRは大きすぎる。将来的にはSSDも視野に入れてメディアのコンパクト化を行い、1年でも早く車載化に持って行きたい」と述べ、レポートを締めくくった。