「GY-HMQ10」の画質はいかに?
<CES>4KモデルやWi-Fi対応新“Everio"の出来映えは? − JVC新製品を会田肇がハンドリングレポート
例年、CESで他社より先んじた魅力あふれる商品展開を示しているのがJVCだ。昨年はフルHDで撮影できる3Dビデオカメラを発表して大きな注目を浴びたが、今年はその際に参考出品としていた4K2Kビデオカメラを業務用として発売することを発表。さらに撮影した映像をWi-Fiを使って様々な使い方を実現する新型「Everio」も発表するなど、その内容は、事前の予想をはるかに超える充実したものだった。
最大の関心事はやはり4K2K対応ビデオカメラ(ちなみにJVCでは「4K2Kカムコーダー」と呼んでいる)「GY-HMQ10」の登場だ。振り返れば、本機が最初に姿を現したのは昨年のCES会場で、この時はまだ商品化の具体的な予定もない状態だった。それからから1年が経ち、周囲では4K2K対応テレビが各社から出揃い始めた。本機はまさにそんな絶好のタイミングでデビューを果たしたと言える。
会場では東芝の4K解像度を持つ55インチテレビ“REGZA”を使ってデモを行っていた。デモ用映像にはCES2012に出展するためにラスベガスに持ち込んだ機材を使ってJVCスタッフが撮影した映像も使用。これはとくに余計な設備を用意することなく、普通に撮影できることを強調するための演出でもあったようだ。さすがに手持ちで撮影するのはブレの発生が映像に悪影響を与えると判断したらしく、すべて三脚を使って撮影されていた。
再現された映像は期待を裏切らない素晴らしいもので、解像度が上がっている分だけ輪郭が自然で、遠景に引いたときでも細部がきめ細かく再現される。発色も素晴らしく、夜景でイルミが点滅してもきちんと追従している。周辺部もすっきりと表現しており、レンズにもきちんと手が入れられている様子だった。
ただ、さすがに横切るクルマに対してはカクカクとした動きが伴い、自然さが損なわれる。少し斜めにして向かってくる場合は問題なかったが、このあたりは今後の課題となるだろう。
次にWi-Fi対応「Everio」について。機種別の紹介は既報の通りだ。ここではその機能の詳細をレポートする。
北米に発表された機種は、最上位のGシリーズ、Vシリーズ、Eシリーズで、このすべてにWi-Fi機能搭載モデルが用意された。これに対し、日本では下位機種のみの展開になりそうだ。
理由としては、日本ではWi-Fiに対するハードルがまだ高く、需要がそれほど見込めないとの判断があるからだそう。その代わり、Wi-Fi未対応の上位機種には大容量メモリーが搭載されるという。
ただ、このWi-Fi対応、機能を探っていくととても便利にできている。「Wi-Fiを使うことに対して実にしっかりとしたコンセプトを描いているな」と感じたほどだ。
Wi-Fiで撮影した映像を飛ばすこと自体、今更新しいことでも何でもない。しかし、多くは飛ばすことが主となり、それは決して使いやすいものとは言えない。とくに動画の場合、フルHDで撮影した映像に対応しようものなら大変な負担となってしまう。そこで各社は飛ばす映像をあらかじめMP4で撮影することを求めたり、あるいは一旦パソコンに取り込んで変換作業をして対応せざるを得なかった。
それに対し、Everioの「ビデオメール」機能では、最大15秒までという条件が付くものの、AVCHDで撮影したフルHD動画をMP4(640×360ピクセル)に自動変換してからメール添付し送信してくれる。撮影した映像は普通にフルHDで残しておけるのがいいところだ。
メールとして送る動画を撮影する時はモニター上でカウントダウンが始まり、映像はAVCHDでそのまま保存される。撮影を終えたら送信していいかどうかの確認画面が現れ、撮影の取り直しもできる。最後に「SEND(送信)」ボタンを押せば送信は終了する。なお、この時に変換されたMP4データは本体に残らない。
次はWi-Fiを使った「オートフォトEメール」について。これは動体検知と顔認識の働きによって静止画を自動的に撮影し、その静止画をあらかじめ登録した先へそのままメール添付で送ってくれるというものだ。
カメラは玄関先などにあらかじめ設置しておく。留守中に訪ねてきた人はもちろん、子供が帰宅したのを確認するのにも便利だ。もちろん、防犯用として使ってもいいだろう。送信先は最大8つまで登録できる。
もう一つが「Wi-Fiダイレクト」と呼ばれるもの。カメラとスマートフォンあるいはタブレットを組み合わせて直接接続する。接続には専用アプリが必要だが、アンドロイド用、iOSのどちらに対しても無償で提供される。アプリをダウンロードした端末ではカメラで捉えた映像と音声をリアルタイムでモニタリングできる。
ズームや録画開始の操作も端末から可能で、離れたところからカメラを操作するのに便利だ。送られる映像はJPEG静止画を連続して送って動画としてみせる。タイムラグは若干あるため、決定瞬間を捉えることは難しい。タイムラグをある程度予測して使うといいだろう。
また、カメラに記録された動画や静止画のリストをインデックスとしてタブレットに表示し、その映像はタブレットに転送することもできる。動画は640×360ピクセルにリサイズされるが、静止画はそのままの形で転送されるという。お気に入りの映像をタブレットに保存しておき、見たいとき、あるいは見せたいときに利用できるのは重宝するだろう。
これらWi-Fiを使った機能は、JVCがこれまでBluetooth機能をビデオカメラに搭載してノウハウを蓄積してきたもの。それだけに使いやすさが際立っていた。日本で販売される機種が下位モデルだけになりそうなのが残念だ。
商品化も視野に入れたライブストリーミング用カメラの実演もあった。実はこれがなかなか面白い。電動のパン/チルトができる雲台が組み合わされており、タブレットでモニタリングしながらカメラを自在にコントロールできるのだ。
カメラとタブレットは無線LANで通信され、この動画もJPEG静止画の連続で送られてくる。カメラは昨年発売されていたHM890を流用したもので、光学10倍ズームも搭載されている。タブレットを操作すると面白いようにカメラが動き、見たいところのアップも簡単にできた。また、タブレットのモーションセンサーを利用し、タブレットを動かす方向にカメラの向きを変えることも可能になっている。
ライブストリーミングといえば、Ustreamが念頭に浮かぶが、現状で残念ながら非対応。回線の状況次第、たとえばLTE通信などが使えるようになれば対応は可能かもしれないとのことだった。なお、カメラは取り外しが可能で、通常のビデオカメラとして使えるそうだ。
また、雲台を組み合わせない単焦点のカメラも参考出品。パン/チルトは画素切り出しで対応するという。なお、対応タブレットはAndroidのみで、iOSは今後開発予定だとのことだった。
最大の関心事はやはり4K2K対応ビデオカメラ(ちなみにJVCでは「4K2Kカムコーダー」と呼んでいる)「GY-HMQ10」の登場だ。振り返れば、本機が最初に姿を現したのは昨年のCES会場で、この時はまだ商品化の具体的な予定もない状態だった。それからから1年が経ち、周囲では4K2K対応テレビが各社から出揃い始めた。本機はまさにそんな絶好のタイミングでデビューを果たしたと言える。
会場では東芝の4K解像度を持つ55インチテレビ“REGZA”を使ってデモを行っていた。デモ用映像にはCES2012に出展するためにラスベガスに持ち込んだ機材を使ってJVCスタッフが撮影した映像も使用。これはとくに余計な設備を用意することなく、普通に撮影できることを強調するための演出でもあったようだ。さすがに手持ちで撮影するのはブレの発生が映像に悪影響を与えると判断したらしく、すべて三脚を使って撮影されていた。
再現された映像は期待を裏切らない素晴らしいもので、解像度が上がっている分だけ輪郭が自然で、遠景に引いたときでも細部がきめ細かく再現される。発色も素晴らしく、夜景でイルミが点滅してもきちんと追従している。周辺部もすっきりと表現しており、レンズにもきちんと手が入れられている様子だった。
ただ、さすがに横切るクルマに対してはカクカクとした動きが伴い、自然さが損なわれる。少し斜めにして向かってくる場合は問題なかったが、このあたりは今後の課題となるだろう。
次にWi-Fi対応「Everio」について。機種別の紹介は既報の通りだ。ここではその機能の詳細をレポートする。
北米に発表された機種は、最上位のGシリーズ、Vシリーズ、Eシリーズで、このすべてにWi-Fi機能搭載モデルが用意された。これに対し、日本では下位機種のみの展開になりそうだ。
理由としては、日本ではWi-Fiに対するハードルがまだ高く、需要がそれほど見込めないとの判断があるからだそう。その代わり、Wi-Fi未対応の上位機種には大容量メモリーが搭載されるという。
ただ、このWi-Fi対応、機能を探っていくととても便利にできている。「Wi-Fiを使うことに対して実にしっかりとしたコンセプトを描いているな」と感じたほどだ。
Wi-Fiで撮影した映像を飛ばすこと自体、今更新しいことでも何でもない。しかし、多くは飛ばすことが主となり、それは決して使いやすいものとは言えない。とくに動画の場合、フルHDで撮影した映像に対応しようものなら大変な負担となってしまう。そこで各社は飛ばす映像をあらかじめMP4で撮影することを求めたり、あるいは一旦パソコンに取り込んで変換作業をして対応せざるを得なかった。
それに対し、Everioの「ビデオメール」機能では、最大15秒までという条件が付くものの、AVCHDで撮影したフルHD動画をMP4(640×360ピクセル)に自動変換してからメール添付し送信してくれる。撮影した映像は普通にフルHDで残しておけるのがいいところだ。
メールとして送る動画を撮影する時はモニター上でカウントダウンが始まり、映像はAVCHDでそのまま保存される。撮影を終えたら送信していいかどうかの確認画面が現れ、撮影の取り直しもできる。最後に「SEND(送信)」ボタンを押せば送信は終了する。なお、この時に変換されたMP4データは本体に残らない。
次はWi-Fiを使った「オートフォトEメール」について。これは動体検知と顔認識の働きによって静止画を自動的に撮影し、その静止画をあらかじめ登録した先へそのままメール添付で送ってくれるというものだ。
カメラは玄関先などにあらかじめ設置しておく。留守中に訪ねてきた人はもちろん、子供が帰宅したのを確認するのにも便利だ。もちろん、防犯用として使ってもいいだろう。送信先は最大8つまで登録できる。
もう一つが「Wi-Fiダイレクト」と呼ばれるもの。カメラとスマートフォンあるいはタブレットを組み合わせて直接接続する。接続には専用アプリが必要だが、アンドロイド用、iOSのどちらに対しても無償で提供される。アプリをダウンロードした端末ではカメラで捉えた映像と音声をリアルタイムでモニタリングできる。
ズームや録画開始の操作も端末から可能で、離れたところからカメラを操作するのに便利だ。送られる映像はJPEG静止画を連続して送って動画としてみせる。タイムラグは若干あるため、決定瞬間を捉えることは難しい。タイムラグをある程度予測して使うといいだろう。
また、カメラに記録された動画や静止画のリストをインデックスとしてタブレットに表示し、その映像はタブレットに転送することもできる。動画は640×360ピクセルにリサイズされるが、静止画はそのままの形で転送されるという。お気に入りの映像をタブレットに保存しておき、見たいとき、あるいは見せたいときに利用できるのは重宝するだろう。
これらWi-Fiを使った機能は、JVCがこれまでBluetooth機能をビデオカメラに搭載してノウハウを蓄積してきたもの。それだけに使いやすさが際立っていた。日本で販売される機種が下位モデルだけになりそうなのが残念だ。
商品化も視野に入れたライブストリーミング用カメラの実演もあった。実はこれがなかなか面白い。電動のパン/チルトができる雲台が組み合わされており、タブレットでモニタリングしながらカメラを自在にコントロールできるのだ。
カメラとタブレットは無線LANで通信され、この動画もJPEG静止画の連続で送られてくる。カメラは昨年発売されていたHM890を流用したもので、光学10倍ズームも搭載されている。タブレットを操作すると面白いようにカメラが動き、見たいところのアップも簡単にできた。また、タブレットのモーションセンサーを利用し、タブレットを動かす方向にカメラの向きを変えることも可能になっている。
ライブストリーミングといえば、Ustreamが念頭に浮かぶが、現状で残念ながら非対応。回線の状況次第、たとえばLTE通信などが使えるようになれば対応は可能かもしれないとのことだった。なお、カメラは取り外しが可能で、通常のビデオカメラとして使えるそうだ。
また、雲台を組み合わせない単焦点のカメラも参考出品。パン/チルトは画素切り出しで対応するという。なお、対応タブレットはAndroidのみで、iOSは今後開発予定だとのことだった。