「SHV実用化はかなり詰めの段階」
NHK技研公開が開幕 − スーパーハイビジョンや22.2ch音響関連のデモが充実
また、SHV放送をケーブルテレビで実現するための研究成果として、既存のCATV用ハードウェアを活用してのSHV信号伝送を実現した技術もデモ。SHV信号やハイビジョン信号などを分割し複数の変調器を通じてケーブルテレビ伝送路で各視聴者へ伝送する。視聴者側のSTBで復調することで、現在あるケーブル伝送路でもSHV放送を実現できるという内容を披露している。
さらに、SHVでの衛星放送を目指して、大容量の情報を伝送する21GHz帯での衛星伝送技術も研究。中継器などの周波数特性を補償する等化機を実装して伝送性能を改善した広帯域変復調器と、21GHz帯衛星中継器やアンテナのエンジニアリングモデルを展示している。
加えて、SHVのグローバルIP伝送もデモ。SHV信号を超高速グローバルIPネットワークによりリアルタイム伝送するシステムを展示している。NTTとの共同開発で、今後はスポーツイベントやコンサートなどを世界各地で複数同時にSHVでパブリックビューイングすることを目指している。
■22.2ch音響も各ブースで様々な技術デモ
SHV放送において想定されている22.2ch音響番組に関する技術展示ブースも複数展開。複数の音源の音像を同時に移動できる「3次元音像制御」システムや、響きのない音源に、ホール等で実測した自然な3次元音響を負荷する装置、22方向の音をワンポイントで集音可能な、22マルチチャンネル音響用小型軽量マイクロホンなどを展示している。
また同展示スペースの一角には、頭部伝達関数を用いて22.2ch音響をヘッドホンで再現するというデモも。中継車などスピーカーの設置に制約のある空間内でも、22.2chスピーカーで再生したような音をヘッドホンで聴けることをデモしている。
そのほか、22.2chを家庭でも楽しめるようにするバーチャルサラウンド的技術も展示。左右2個ずつを3列に並べた6つのスピーカーを用意し、正式な22.2ch環境での上層9ch分を上2つ、中層10ch分を真ん中の2つ、下層3ch分を下の2つのスピーカーに担当させ、バイノーラル方式の信号処理によってフロント6chでの擬似的22chを実現させている。なお、「.2」にあたるウーファー部はサブウーファーを用意することになるが、展示スペースの都合上で今回は省いているという。