「かつてない高画質スマホ」
「Xperia Z2」のディスプレイ性能/ハイレゾ仕様をソニーモバイル黒住氏が語る
■質疑応答
黒住氏による商品説明の後、ラウンドテーブルに参加した記者からの質疑応答の時間が設けられた。
ー Xperia Z2のデザインはZ1と大きく変わらない印象がある。Z1の時点でデザインがある程度完成してしまったということか。
黒住氏:Z1を出した時にも、Zとのデザインの違いについて指摘はあった。実はZ2までの3世代は、同じデザインの考え方で進めてきた。サイドフレームがセンターを挟んで構成するという基本的な造形は一緒。私たちはこれを"原型デザイン”と呼んでいるが、「その形だけで美しい」というデザインを実現したいと考えた。Z2もこのコンセプトを踏襲している。Z1の時に少し印象が堅いという意見もあったが、サイドフレームの仕上げを変え、柔らかい印象にできたと思う。
ー ハイレゾ対応は今後どのように打ち出していくのか。配信サービスとの連携はあるのか。
黒住氏:ハイレゾは着実に段階を踏んで進めてきた。Xperia Z2で初めてハイレゾに対応したが、今回は本体でデコードしたハイレゾ音源を、USBからデジタル出力でDACに送り出し、外部機器で再生するという限定的な方法。願わくは、本体でハイレゾのデコードだけでなくD/A変換も行い、イヤホンやヘッドホンをつなぐだけで楽しめるのが、あるべき姿だと思う。だから、今回の発表では強く押すことはしなかった。本体で完結するハイレゾ再生は今後の課題として捉えているし、解決もしていきたい。配信サイトについてはサービスプロバイダーに依存しているが、ソニーとしてはハードの音づくりのところから積極的にハイレゾ配信をサポートしていきたいと考えている。
ー 狭額縁をタブレットでやらなかった理由は。
黒住氏:大きさが10インチを超えているので、どこにものづくりのフォーカスを合わせるかを考えた。厚さとフットプリントのいずれかを選ばなければ中途半端な製品になる。10インチで狭額縁にしても本体自体が大きくなってしまうので、今回は薄さで攻めた。でもこれだけで満足しているわけではなく、次世代では狭額縁も視野にいれていきたい。
ー VAIOの事業売却がタブレットに影響した部分はあるのか。
黒住氏:Z2タブレットに関しては影響はない。一方で事業移管にあたり、ソニーとしては今後スマホやタブレットに集中選択していくことになるので、今後影響が見えてくる部分もあると思う。
ー Xperia M2はプレミアムなミッドレンジモデルに位置づけられているが、価格競争力とスペックを充実させることとの間で、せめぎ合いはあったのか。
黒住氏:確かに難しいところではあった。価格に一番効いてくるのが「ディスプレイの質」。M2のフォーカスは2点あって、1つはディスプレイの大型化と高精細化。2点目が高画質なカメラ機能。この2点で集中突破してきたが、最終的にはデザインの魅力も加わった。各国のオペレーターからもそこはご評価いただいている。市場ではLTEを普及させるために、高価なZシリーズだけでなく、ミドルレンジの機種が欲しいというパートナーも多くいるので、M2は戦略的にとても大事なモデル。Z2とM2はできれば同じキャリアが一緒にラインナップとして扱っていただいた方が、ビジネスの効果が高いという提案を差し上げている。一方で商品の選択肢が多くなりすぎるのも逆効果になるので、ソニーとしては「どの商品を売りたいのか」をピンポイントで提案していく考えだ。この内訳が「プレミアムのZ」「ミドルセグメントのM」「エントリーのE」であり、その上でタブレットが存在しているというラインナップが基本構造だ。
ー MWCでは新興国向け商品を各社が発表しているが、ソニーとして新興国でのビジネスをどう考えているか。
黒住氏:これからスマホが普及していくポテンシャルマーケットに対しては、しっかりと手を売っていくつもりだ。ただ、現時点で新興国向けの商品だけをやる時期ではないと思っている。地域のニーズを理解しながら、いかにソニーらしさを加えた商品を企画・提案していけるかが大事。既に他社が一定レベルのポジションを持っている市場に裸で殴り込んでいくわけにはいかない。例えばサウンド、ディスプレイ、カメラに強い製品など、ソニーの強みを活かしたうえでベストのデザインを乗せて"勝てる商品”を打っていけるかが勝負どころ。ソニーとしてもしっかりと備えたうえでやっていくべきだと思う。例えばグローバルモデルだが、Xperia E1は大型スピーカーを内蔵したモデルであり、この仕様も綿密なマーケットリサーチによって決定した。それぞれのユーザーニーズをきちんと反映して商品をつくっていきたい。
ー XperiaブランドはこれからもAndroid一本で展開していくのか。
黒住氏:Xperiaに関してはOSやプラットフォームにはこだわりたくない。ただビジネスを展開する上でのやり方や順序はある。現時点ではAndroidが、私たちのやりたいことを一番反映できるプラットフォームであり、今のところ他のものでやるつもりはない。しっかりとした地盤をつくることが前提であり、これから強くしていくことが先行命題だ。Firefox OSとのコラボレーションは発表済みだが、技術検討として意味のあることと判断したうえでのもの。商品化に向けて取り組みは進めているが、現時点でいつとは明言できない。ほかのテクノロジーについて調べてもいる。タイミングを見極めながら取り組みたい。
ー Xperia Z2 Tabletで4K動画に対応しなかったのはなぜか。
黒住氏:4Kコンテンツをタブレットに入れて持ち歩く環境が想定できなかった。ディスプレイも4K解像度ではないし、クリエーションについてはカメラユニットの性能も関連してくる。デバイス上の制約によるところもあるが、Xperia Z2で撮影した動画をタブレットに入れて、MHL3.0経由でブラビアに映すという楽しみ方ができる。4Kならではの臨場感を味わってもらえるはずだ。
ー タブレットは「より薄く・より軽く」がコンセプトということだが、商品単体での差別化が難しいいま、端末以外の部分でどう魅力をアピールしていくのか。
黒住氏:大きく二つあると思っている。一つめは"スマートウェア”などアクセサリー製品であり、イノベーションが生み出せる領域。2つめはMusicUnlimitedなどコンテンツサービスをいかに上手に端末と組み合わせて提供しながら差別化を図るか、ということ。コンテンツとサービスとのパッケージングができることもソニーの強み。オペレーターと一緒にサービスを作りやすい環境が整っていることも、ビジネスの上で差別化を図れる大きなポイントだと思う。
(山本敦)