ソニービジュアルプロダクツ 桝賢吾氏に訊く
【CES】ソニー新4Kブラビアの実力は? 「ハイレゾ」「HDR」「Android TV」をキーマンが語る
ソニーは昨年モデルから「X-tended Dynamic Range PRO」という、瞬間的なピーク輝度を引き上げる技術を投入していた。最大輝度の数値は非公表となっているが、LEDバックライトの性能については「直下型のX940Cでは昨年の最上位モデルであるX9500Bとほぼ同等」を実現しているとのこと。「バックライトは突き上げを加えておりますので、全白の時の輝度よりも必要な時にキラっと光らせることで画質を良くみせます」という。
またHDRについては、NetFlixが行うHDR配信に対応。、配信されたHDRコンテンツを、正しくHDRの映像として再生する機能を搭載している。なお、HDRの信号の方式については「今後は、(映画スタジオ、ソニーなどテレビメーカー、Netflixらが参加する)UHD Allianceで決まっていくことになります」とのことなので、互換性も安心できそうだ。
なお、2015年の4Kブラビアの高画質を支えるエンジンとしては、新たに独自設計による「X1」チップを採用したことも大々的に発表されている。ちなみに、ハイレゾオーディオのデコードについても同チップで実現している。
同チップの特徴は、昨年までの4K X-Reality Proの中身をさらに進化させたこと。ブース内ではHDRに続いてトリルミナスによる高画質、コントラスト、精細感のデモが行われているが、いずれにしても新エンジンの「X1」による映像解析技術が画質向上の要因として挙げられている。
トリルミナスディスプレイによる色域については、スペック値は非公表となっているがBT.2020の信号入力にも対応。入力された色をコントロールする部分の画質が向上しており、「一画面内に色の比較的濃い部分、薄い部分があった時に、これまでは画面単位で認識して補正していたのに対して、X1チップでは画面内のエリア単位で行うようなマネージメントができるようになりました」とのこと。なお、トリルミナスディスプレイの技術仕様やスペックは非公開となっているが、昨年と同等。なお、広色域の技術は過去に採用していた量子ドットではなく、別の技術のようだ。
そのほかコントラスト改善技術としての「X-tended Dynamic Range PRO」のバックライトのアルゴリズムも改善している。「バックライトコントロールをしていると、以前は一部バックライトの動作が見える箇所もありましたが、X1チップでは制御の精度をより向上させています」とのこと。
精細感については、X1プロセッサにより、大きく分けて2つの観点から画質改善を行っている。
一つは、2Kから4Kへのアップコンバート精度で、昨年までと比べ信号の検出機能を強化し、それに基づいて処理するようになった。「同じフルHDのソースであっても、アップコンする時に1ピクセルが表現できるように気を使ってアルゴリズムを変えています」とのこと。
そしてもう一つは、NetFlix、Amazon Instant Videoといった、信号の帯域が限られたストリーミング4Kコンテンツに最適化した超解像機能。これは超解像のデータベースに、『ビットレートの低い4K』『ビットレート高い4K』という、従来の4K X-Reality Proになかったストリーム用のデータを追加することで、よりコンテンツに合った高画質化を実現したものだ。
ちなみに、2014年モデルの最上位であるX9500Bについては、2015年も併売される予定。ただ、これだけの新技術が投入されたこともあり、直下型LEDバックライトモデルとしては今回のX940Cが事実上の画質最上位モデルになるとみられる。
■薄さ4.9mmの超薄型4Kテレビもラインナップ
2015年のラインナップの、その他のモデルについても紹介していこう。
米国の型番で「X900Cシリーズ」として登場するのが、超薄型を実現するミドルクラスの4Kモデル。サイズは55インチと65インチの2サイズの展開。筆者が会場で見た際にはコンセプトモデルのデモ展示かと思ったほど超薄型で、液晶部の厚さはわずか4.9mm。パネルのセル自体は他社提供(IPSパネルと思われる)だが、バックライトをソニーの独自構造とすることで、LEDエッジライトながら驚くべき薄さ実現した。「ベゼルまでがフラットになっている『エッジコーティング』という構造が技術的に難しい部分です」とのこと。