スカパー!「4Kメディアセッション」
4K放送の魅力と課題、今後の具体的施策とは? スカパー!社長らが会見
なお、ハリウッド作品はコピー・ネバー、つまり録画できない仕様だが、この理由について小牧氏は「画質がオリジナルに近すぎるために契約の関係で録画不可になった」と説明。その対策として、1回視聴して権利が終了するペイ・パー・ビューではなく、1日に複数回流される再放送を自由に視聴できる“ペイ・パー・デイ”形式を採用したとする。
そして、放送の魅力は生中継にあるとし、「1対1を基本にする通信では同時に多くの人がアクセスすると繋がらなくなる。データ量の大きい4Kだとなおさらだ。同時に見ないと意味がないライブ(生)には弱い」と、4K放送の利点をアピール。「その強みを活かしてライブの番組を増やしていく」と、今後について語った。
■4Kだからこそできる映像表現を具体的に説明
また、4Kで番組を制作してきたことについて「ハイビジョンでは表現できなかったが、4Kだから表現できたことがたくさんあった」とコメント。例えばプロ野球では、「ランナー1・2塁でバッターがセンター前ヒットを放つ。センターはバックホームするが、ショートが途中でカットして三塁に送球。ランナーがひとり挟まれてアウトになる」というシーンを例に説明。フィールド全体をロングショットで収めてもボールが認識でき、そのおかげで選手全体の動きを把握しながら一連のプレーの流れが分かると紹介。「ハイビジョンでやろうとするとボールが認識できなくなるため、ズームしてカットをつなぐしかない。4Kならではのワンカット放送だ」と説明する。
また、Jリーグの4K中継でスーパースローを採り入れていることについて、ガンバ大阪の宇佐美貴史選手の映像を例に挙げ、「目線がボールではなく相手にいっていることなど、宇佐美選手の技術の高さがよくわかる」とコメント。
スポーツ以外でも、ハービー・ハンコックのライブでは「照明の色合い、衣装、楽器の質感など、会場の空気感が4Kで今まで以上に伝わる」とし、「最前列のお客さんのカクテルの種類や減り具合まで分かる。おそらくカルアミルクだろう(笑)」とジョークも飛ばした。
また、奥州・黒石寺での「蘇民祭」の4K撮影については、高感度カメラによって暗闇でもノイズが少ない映像を撮影できたことに加え、制作をテレビ岩手が行ったことにも言及。「このように、スカパーの取り組みによって4Kの制作経験者が日本中で増えるのは非常にうれしいことだ」と語った。
しかし一方で、「4Kのためだけに作っていては予算が回らない」と、4Kコンテンツの制作方法にも言及。これに対してスカパーのJリーグ中継では、4K撮影した映像を2KにダウンコンバートしてフルHD放送すると同時に、スカパー!オンデマンド(Jリーグオンデマンド)用にも加工して配信するというマルチユースを行っていると紹介。「地上波まで含めて、近い将来にはこの方法がスタンダードになると思っている」と述べた。