TVメタデータの活用事例など紹介
Hulu × dTVのトップ対談も。テレビ/VODの未来を考える「新世紀テレビ大学」開催
データ収集にあたっては、東京・名古屋・大阪地区のテレビ局で放送されたテレビ番組やCMを24時間365日体制でウォッチ。いつ、どこで、何が、どのように、何秒間、放送されたかをテキスト化して「TVメタデータDB」を構築している。現在は東名阪の地上波21局がメインだが、今後はスマートTVなどに対応し、ローカル局やBS/CSへの拡大も検討しているという。
情報は番組オンエア後1時間程度でデータベース生成。リアルタイムメタの生成にもトライアルしているという。
エム・データの薄井司氏は、TVメタデータのこうした活用例について「テレビを見ながらPCを立ち上げるのはハードルがある。そのため、スマートデバイスと連携する取り組みがおこなわれている」と背景を説明。
TBS「ぶぶたす」アプリは、気になった情報を自分でメモする必要などがない手軽さから100万ダウンロードを突破する人気ぶりと紹介し、「そうなればアプリ自体が媒体力を持ち、そこで広告営業を行うなどビジネスを発展させられる」とした。
イベントでは続けて、エム・データ内に設置されたLife Log Lab.(L3)梅田所長が、TVメタデータを活用したマーケティングツール「TV Rank」をデモ。
これはTVメタデータをベースにした各種データをオンデマンドで確認できるというツール。例えば任意の期間に放送されたCMの放送秒数、本数、放送秒数シェアで企業別ランキングを確認できたり、企業ごとに「どんな頻度でどの媒体に広告を展開したか」などといったデータを見ることができる。
そして、ある商品がテレビ番組で取りあげられたことでインターネットでの検索回数が増えたり、SNSでその商品の情報がシェアされたかなどといったデータも計測。デモでは実際にテレビをきっかけにネット検索が増えた例を紹介し、「テレビのパワーはまだまだ非常に大きいことがデータからも分かる」とした。
また(株)デジタルインテリジェンスの横山隆治氏は、テレビ業界・広告業界に向けての課題を指摘するなかで、従来の視聴率から考え方を一歩進めた「視聴質」という概念を紹介。誰が見ているか、どの程度専念して見ているかを、メタデータと紐付けて分析するべきとする。
横山氏はこの視聴質について、海外ではTVI社がキネクトを利用した調査システムを開発したことを紹介。事前に登録された人間の誰がテレビを見ているのか、また、顔の向きによってちゃんと番組を見ているのかを判断するほか、ユーザーの表情から番組に対する感情も読み取るという。
続けて登壇した(株)スイッチ・メディア・ラボの福羽泰紀氏も、こうした、より細かい視聴データ測定について取り組んでいるとコメント。同社の調査システム「SMART」では、関東一都六県に2,000世帯5,000人のモニター協力者を持ち、さらにそのモニターは性別や年齢層、職業や年収など細かなセグメント情報を提供してくれているため、より細かいデータ分析が行えることを紹介した。
■huluとdTVの幹部がテレビやVODの未来を語り合う
イベント第二部では、「VODディスカッション コンテンツとの幸福な出会い」と題してhuluを運営するHJホールディングス合同会社 職務執行者社長の船越雅史氏と、NTTドコモとともにdTVを運営するエイベックス・デジタル(株)常務取締役の村本理恵子氏が対談した。