TVメタデータの活用事例など紹介
Hulu × dTVのトップ対談も。テレビ/VODの未来を考える「新世紀テレビ大学」開催
両名はまず、コンテンツのレコメンドシステムが現在の課題になっているとコメント。船越氏は「日本人は地上波テレビで何十年も育ってきているので、コンテンツを自分で検索することに慣れていない」と指摘し、現在のhuluのUIが日本のユーザーに最適化されていないとする。
しかし一方で「押し付けは嫌なのだが自分で選ぶのも苦手」だと日本ユーザーの特性について言及。村本氏も「日本人は結構わがままで、レコメンドだけでは満足しない」と同意し、dTVでは海外ドラマチャンネルなど13のチャンネルを用意して、一般的なテレビと似たようにコンテンツを選んだ感覚も提供していると紹介した。
また、dTVでは作中のBGMの情報もタグとして入力していることを紹介。これに基づいてミュージシャンのライブ作品などをレコメンドすることもあるという。
加えて村本氏は、サービス開始当初はユーザーの視聴動向データが少ないため、レコメンドにおいて「かゆいところに手が届くような作品レコメンドをできない悩みがあった」とコメント。「視聴を途中で止めた場合でも、つまらないから最初の2〜3分で見るのをやめたのか、あとでまた視聴を再開するために中断したのかなどがデータから分かる」と、そうしたデータ蓄積に苦労してきたと語った。
なお、コンテンツに対するタグ付け作業は、hulu、dTVともにスタッフが人力で行っている。dTVではタグ付けのためのマニュアルやテストを用意し、それに合格したスタッフが作業を担当することで、人の違いによる判断基準のブレを抑える工夫をしているという。
そしてhuluでは、「タグ付けは入力者の肌感覚にまかせている」と船越氏は説明。「Netflixはタグ付けのために350人の専任スタッフがいるわkで、そこにどう対抗していくのかは課題」としながらも、「日本のテレビ業界にはコンテンツに対して優れた肌感覚を持つ人材が非常に多い。例えばテレビ業界のOBを起用するなどもいいのではないか」と語る。
そして「例えば土屋敏男(「進め!電波少年」の“T部長”として知られる)を起用すれば、Netflixのスタッフ120人分くらい働いてくれるのでは(笑)」ともコメント。「『あのT部長がオススメする作品ってどんな内容だろう?』と興味を持つ人もいるのではないか」と、レコメンドシステムのアイデアを披露した。
■オリジナルコンテンツや独自施策
ユーザー層について、dTVは「メインは20〜40代だがその上下も幅広く、男女は半々くらい。これはBeeTVのころから変わっていない」(村本氏)とのこと。「フィーチャーフォンから始まったサービスだが、最近はPCやテレビでマルチデバイスで利用する人が4割くらいになっている」という。