「Slim Backlight Drive+」も
<CES>有機EL向けに変えたのは「全部」。ソニー長尾氏に聞く“BRAVIA OLED”「A1E」の画作り
やっぱりそれは、Z9Dの絶対的な輝度と、カラーボリュームと再現性の高さに起因していまして、そういった意味では画質のフラグシップがZ9Dであることは変わらないし、プロの領域で使っていただけるものです。Z9Dは今後も長く売っていくつくもりです。
従来は画質のヒエラルキーとしてZ9Dがあって、次にX93という垂直のヒエラルキーしか作れなかったのですけど、今回は新しくAシリーズという形で進めたように、特にハイエンドの層でお客様の層を広げる位置づけになると思っています。
佇まいも全く今までの液晶にない新しさがありますし、音も含めたトータルの体験というのは、液晶では絶対にできない視聴体験です。そういったプレミアムモデルとしてご理解いただける方に広く売っていきたい商品です。
日本のテレビ市場でも、2013年から2014年にかけて4Kを出した時に平均単価が上がっているのですが、現在は再び下がり規模もしぼんでいるんですよね。4Kの次にHDRが始まって、Z9Dを出しましたが、OLEDをもう一段広げる起爆剤にしたいなと思っています。
−−「Slim Backlight Drive +」搭載の液晶テレビ「X93E」も発表しました。どんなところが進化してるのでしょうか。
「Slim Backlight Drive +」のプラスは、進化のプラスです。導光板の構造を工夫することで、エッジライトでローカルディミングできる「Slim Backlight Drive」でしたが、バックライト構造、導光板の構造を少し見直しまして、制御する分割数、面積が変わり、よりコントラストと輝度感を高めています。輝度スペックは昨年時点から1,000nitsを越えていましたが、「Slim Backlight Drive +」では更に向上しています。
「X93E」の画質トータルで見ても、以前の「93D」と比べて、”かなり”上がっていると思っていただけると思います。その理由の一つは、Z9Dで初めて搭載した「X1 Extreme」チップを採用したことでHDRリマスターがものすごく良く出来ていまして、SDRコンテンツでもHDRと見間違えるくらいのコントラストが出ること。実際、サイドバイサイドで比べると”かなり進化したな”と感じていただけると思います。
Z9Dを発売した際には、「画質は良いけど、ちょっと高いね」という声がありました。今回、Z9Dと同じ「X1 Extreme」チップを使ったことで、Z9Dとの距離感がかなり縮まった、お買い得感のあるモデルになったと思います。
有機ELパネルの「A1E」シリーズを加えても、あくまでBRAVIA全体としてのハイエンドは昨年登場し高評価を獲得したZ9Dシリーズ、そして新たに登場した「X93E」がミドルという位置づけ。これらを繋ぐ、BRAVIAのシリーズ全体の高画質のカギとなるのが高画質回路の「X1 Extreme」といったところだろうか。
日本での展開についての発表は「CES2017」ではなかったが、期待して待つとしよう。