“最強クラス”映画館、11月23日いよいよオープン
国内初!“最強クラス”映画館・ドルビーシネマが「T・ジョイ博多」にオープン。その実力を早速体験
■ドルビーアトモスはすでに全世界4,000スクリーンに導入済み
さて、ドルビーアトモスに関しては、AVアンプやテレビなどにも家庭用スペックで展開されているのでお馴染みだろう。映画館では、全世界ですでに4,000スクリーンに導入されており、作品数も1,000以上にのぼる。
国内にもドルビーアトモス仕様のスクリーンが複数営業しており、平均的な鑑賞料金は「通常料金+¥200」である。T・ジョイ博多のドルビーシネマの価格設定は「通常料金+¥500」なので、価格的にも「ドルビーシネマ館>ドルビーアトモス館」となり、ドルビーのプレミアムシアターという位置づけになる。
■ドルビーシネマは世界390スクリーン以上、作品もすでに190タイトル
さらに最近、洋画作品の中にはエンドクレジットに「Dolby Vision&Dolby Atmos」のロゴが入ったタイトルが多く見受けられるようになった。これは文字通り、ドルビービジョンとドルビーアトモスの両規格を使って製作された映画ということを示している。
このようなクレジットを表示する作品はすでに製作発表分を含めて190タイトルあり、ドルビーシネマ館で鑑賞することが、製作者の意図通りに再生できる唯一の方式ということになる。カリフォルニアのAMCシアターから始まり、現在までにドルビーシネマ館は北米からヨーロッパ、中国まで世界で390スクリーン以上ある。そのような中でのT・ジョイ博多が日本初となる。
おそらく日本が出遅れた理由は、国産映画の多さにほかならない。自国語で、自国の俳優を使って映画が作れることは誇るべきことなので、英語圏の地域や、ハリウッド作品に頼らざるを得ない発展途上国における状況とは異なって当然だ。むしろ、日本の映画製作者がT・ジョイ博多というサイトで、ドルビーシネマの実力を理解し、邦画のドルビーシネマ作品を作ることが望まれるだろう。特に日本のアニメは、世界興行を考えた場合、今後のドルビーシネマの採用が必須となるかもしれない。
■ドルビーシネマはIMAXやほかの上映方式とどう違うのか
ここで素朴な疑問が生じる。「ドルビーシネマは、既存のドルビーアトモス館やIMAXとどう違うのか?」ということだ。その前にまず、現在の映画館における各種上映方式をおさらいしておきたい。
現在、多くの映画館は1サイト(1カ所)に10スクリーン前後の上映スクリーンを備えたシネマコンプレックスが主流となっている。同じタイトル作品でも2D版と3D版、吹替版と字幕版の上映が行われている。さらには座席が動き、風や光や水、香りなどの効果が楽しめるエンターテインメント性の高い4D版(4DXやMX4D、D-BOX)や、専用の3面スクリーンを備えたScreenX版などの上映を行っている映画館もある。
そもそも映画クリエイターたちには、少なからず作品の上映形式や鑑賞方法に何らかの欲求がある。たとえば、上映時間や内容に制限がされない「ディレクターズカット版」や「完全版」というものを一般公開後にリリースする監督もいる。先に挙げた3D版は、デジタル技術の革新によって実現したクリエイティブ表現の一つであって、3Dの可能性を見い出したジェームズ・キャメロン監督が、2009年に『アバター』で世界的大ヒットを記録したことでも有名だ。
そういった上映方式に加え、さらに踏み込んで自身の作品を、“このように観てほしい”と考え、上映(視聴)基準を設けたのは、1983年のジョージ・ルーカス監督の「THX」だった(現在、THX社はルーカスフィルムから独立している)。
AVマニアならよく知っている「THX」は、THX社の基準をクリアし認定を受けたAV機器や映画館、ビデオソフトに対して「THXロゴマーク」を提供している。映画館においては「音響特性」や「映写」に関する年1回のチェックを定期的に行う。場合によっては「THX」認証が取り消されることもある。
そして急速に上映館が増え、お馴染みとなった「IMAX」。カナダのIMAX社による、主にIMAXカメラで撮影された作品を大スクリーン上映するための規定を設けている。こちらはIMAXカメラを積極的に使用するクリストファー・ノーラン監督が、『ダークナイト』や『ダークナイト・ライジング』、『ダンケルク』などで上映したことで有名だ。ノーラン作品はIMAXで鑑賞することがクリエイターの意図を汲んだ鑑賞方法といえる。
フィルムサイズの規格に由来するIMAXは本来、「大きなサイズで上映する映像フォーマット」の呼び名であったが、近年は通常作品をIMAXへアップコンバートしたり、2台のプロジェクターをシンクロさせた3D上映や、4Kレーザープロジェクターや12.1chのサウンドシステムにも取り組んでおり、「映像」と「音響」の双方にこだわった、“究極の映画体験”を標榜している。