B級動作に切り替えられるハイエンドアンプ「Dionysus」も
<ヘッドフォン祭>音質・装着性がパワーアップした「HEDDphone TWO」登場。Austrian Audioのプレミアムヘッドホン/アンプも初お目見え
ポータブルオーディオイベント「秋のヘッドフォン祭 2023」が、本日10月28日にステーションコンファレンス東京にて開催された。本記事では、HEDDのAMTドライバー搭載ヘッドホン、AB級/B級切り替え機能搭載のHeartFieldのハイエンドヘッドホンアンプなどユニークな出展を中心にお伝えする。
「AMT(エアー・モーション・トランスファー)ドライバー」の搭載で話題となったヘッドホン「HEDDphone」の第2世代、「HEDDphone TWO」が登場した。国内では11月に発売開始予定で、税込32万4500円前後での実売が予想される。
AMTドライバーは、カーテンのように折りたたまれたヒダ状の振動板が特徴のドライバー方式で、高級スピーカーのトゥイーターなどに見かける機会が多い。このAMTドライバーを、独自技術の「VVT」によりヘッドホンに適したフルレンジドライバーとして搭載したのが「HEDDphone」だった。
その後継モデルとなるHEDDphone TWOは、AMTドライバー自体を改良するとともに装着性も大幅に改良。前モデルは700g超の重さがあったところ、HEDDphone TWOではカーボンフレームなどによって550gまで軽量化を実現している。
また、「HEDDband」という独自の長さ調節機構を採用。腕時計や腰に巻くベルトのように、ヘッドバンドのストラップに空けられた穴に金属ピンを差し込んで固定する。スライダーに比べて簡単に伸び縮みさせることはできないが、ヘッドバンドの長さだけではなく幅や側圧といった要素も手動で調節できるのが長所だ。
ほか、バランス/アンバランス2種類のケーブルや、プラグ変換アダプター、キャリングケースも付属。接続や収納、携帯性といった使い勝手も改善されているそうだ。
飯田ピアノは、取り扱いブランドHeartFieldから据え置きヘッドホンアンプ「Dionysus(ディオニュソス)」を参考出展。国内での取り扱いは未定だが、日本円で約150万円前後のハイエンドモデルだという。
500W(4Ω)という大出力が可能でプリアンプとしても使用でき、また「Quadruple Compensated Negative Feedback」という複雑な四重フィードバック回路によって音の歪みを非常に小さく抑えている。
またユニークな特徴が、アンプの動作方式をAB級/B級で切り替えられること。一般的にB級アンプは電力効率に優れるものの歪みが大きく、高級アンプではあまり見かけることがない。しかしDionysusでは独自技術によって音質的な課題をクリアし、好みに合わせてAB級と使い分けられるレベルにまで仕上げているという。開発者によれば、B級アンプは高域の伸びがよく、オーケストラ演奏との相性が良いとのこと。
HeartFieldからはイヤホンも参考出展され、EST(静電型)ドライバーの魅力を引き出すことがコンセプトという2EST/10BAドライバー搭載のフラグシップモデル「ASTELLA(アステラ)」が登場。ケーブルにはテフロン被膜、フェースプレートには石材が用いられ、価格は28万円前後が予想されている。
ウクライナのイヤホンブランドAmbient Acousticsからも、海外ではアーティストのステージモニターとして人気があるという5BAモデル「AM5LE-U」や、独自のクロスオーバー技術「MAD」を採用した6BAモデル「MAD6」などの試聴機が用意された。2モデルとも国内価格は15万円前後が見込まれている。
エムアイセブンジャパンが取り扱うAustrian Audioからは、事前にアナウンスしていた通りプレミアムヘッドホン「The Composer」、アナログヘッドホンアンプ「Full Score one」を国内初公開した。
The Composerは独自の49mmドライバーを搭載する開放型ヘッドホン。ドライバーには独自技術の「ハイ・エクスカーション・テクノロジー」とDLCコーティングが施され、非常に低歪な再生を実現。音楽鑑賞はもちろん、既存モデルと同じようにモニタリング用途でも使用できるポテンシャルがあるという。
加えて、他に類を見ない機能として、楕円形のイヤーカップを回転させるようにして傾かせることが可能。さらに着脱式のケーブルは、イヤーカップではなくヘッドバンドのフレーム側に取り付けるよう端子が設けられている。国内価格は39万円前後が見込まれる。
Full Score oneはブランド初のヘッドホンアンプで、独自技術「TTT(トゥルー・トランジェント・テクノロジー)」により音の立ち上がりやディテールを細やかに再現。音の歪みも抑え、The Composerとの組み合わせで優れたリスニング体験が味わえるという。こちらの価格は25万円前後が予想される。
ディーアンドエムホールディングスでは、新製品としてBowers & Willkins(B&W)の「Px7 S2e」をラインナップ。2022年発売のBluetoothヘッドホン「Px7 S2」を、最上位モデル「Px8」のDSP技術をフィードバックして再チューニングしたモデル。カラーバリエーションとして、いままでになかったフォレスト・グリーンを加えた点も特徴となる。Px7 S2eは60,500円前後での実売が予想されている。
また、デノンの完全ワイヤレスイヤホン「PerL Pro」「PeaL」の体験席も常に賑わいを見せた。医療技術を応用して左右それぞれの耳の聴覚特性を認識、音質をパーソナライズする完全ワイヤレスイヤホンを、同社スタッフの解説を受けながら体験することができた。
NUARLでは、2020年に発売したダイナミック型イヤホン「NX1」を、MMCX端子からPentaconn Ear端子に換装した試作モデルを出展。付属ケーブルも、最新モデル「Overture」と同等の7N OCC銀メッキケーブルに変更している。
ケーブルは元のNX1よりも太くなっているものの、しなやかさは変わらず、むしろ絡まりにくくなり取り回しが良いという。また、マグネシウム製のハウジングや、カーボンナノチューブ振動板採用の10mmダイナミックドライバーといった、元のNX1が持つ特徴はそのまま残されている。
温められることで柔らかさが増すフォーム素材が特徴のイヤーピース・コンプライからは、新たに発売される3種類の有線イヤホン向けモデルが体験可能に。標準的な円筒形モデル、コンプライでは初の楕円形モデル、日本人に多い耳の形状に合わせた円形モデルがラインナップされる。
会場で体験したユーザーからは、特に楕円形モデルへの反響が大きかったとのこと。耳の形状によって個人差はあるものの、従来のコンプライよりも高域がクリアになったという意見が数多く寄せられたという。
ヘッドホンのイヤーパッドを汚れや劣化から保護するヘッドホンカバーmimimamoからは、現在開発が進められている新型カバーが出展。現行モデルはイヤーパッド全体にかぶせるのに対し、新型カバーではイヤーパッドの内側から抑えるパーツを併用することで、イヤーパッドだけをくるむように装着できる。
過去オーディオイベントに出展した際よりも改良が進められ、耳に触れる生地には東レ製「マイクロマフィン」を採用。肌触りがより滑らかになっており、大きなイヤーパッドに装着する際もシワがよりにくくなったそうだ。
■HEDD Audio
「AMT(エアー・モーション・トランスファー)ドライバー」の搭載で話題となったヘッドホン「HEDDphone」の第2世代、「HEDDphone TWO」が登場した。国内では11月に発売開始予定で、税込32万4500円前後での実売が予想される。
AMTドライバーは、カーテンのように折りたたまれたヒダ状の振動板が特徴のドライバー方式で、高級スピーカーのトゥイーターなどに見かける機会が多い。このAMTドライバーを、独自技術の「VVT」によりヘッドホンに適したフルレンジドライバーとして搭載したのが「HEDDphone」だった。
その後継モデルとなるHEDDphone TWOは、AMTドライバー自体を改良するとともに装着性も大幅に改良。前モデルは700g超の重さがあったところ、HEDDphone TWOではカーボンフレームなどによって550gまで軽量化を実現している。
また、「HEDDband」という独自の長さ調節機構を採用。腕時計や腰に巻くベルトのように、ヘッドバンドのストラップに空けられた穴に金属ピンを差し込んで固定する。スライダーに比べて簡単に伸び縮みさせることはできないが、ヘッドバンドの長さだけではなく幅や側圧といった要素も手動で調節できるのが長所だ。
ほか、バランス/アンバランス2種類のケーブルや、プラグ変換アダプター、キャリングケースも付属。接続や収納、携帯性といった使い勝手も改善されているそうだ。
■飯田ピアノ
飯田ピアノは、取り扱いブランドHeartFieldから据え置きヘッドホンアンプ「Dionysus(ディオニュソス)」を参考出展。国内での取り扱いは未定だが、日本円で約150万円前後のハイエンドモデルだという。
500W(4Ω)という大出力が可能でプリアンプとしても使用でき、また「Quadruple Compensated Negative Feedback」という複雑な四重フィードバック回路によって音の歪みを非常に小さく抑えている。
またユニークな特徴が、アンプの動作方式をAB級/B級で切り替えられること。一般的にB級アンプは電力効率に優れるものの歪みが大きく、高級アンプではあまり見かけることがない。しかしDionysusでは独自技術によって音質的な課題をクリアし、好みに合わせてAB級と使い分けられるレベルにまで仕上げているという。開発者によれば、B級アンプは高域の伸びがよく、オーケストラ演奏との相性が良いとのこと。
HeartFieldからはイヤホンも参考出展され、EST(静電型)ドライバーの魅力を引き出すことがコンセプトという2EST/10BAドライバー搭載のフラグシップモデル「ASTELLA(アステラ)」が登場。ケーブルにはテフロン被膜、フェースプレートには石材が用いられ、価格は28万円前後が予想されている。
ウクライナのイヤホンブランドAmbient Acousticsからも、海外ではアーティストのステージモニターとして人気があるという5BAモデル「AM5LE-U」や、独自のクロスオーバー技術「MAD」を採用した6BAモデル「MAD6」などの試聴機が用意された。2モデルとも国内価格は15万円前後が見込まれている。
■Austrian Audio
エムアイセブンジャパンが取り扱うAustrian Audioからは、事前にアナウンスしていた通りプレミアムヘッドホン「The Composer」、アナログヘッドホンアンプ「Full Score one」を国内初公開した。
The Composerは独自の49mmドライバーを搭載する開放型ヘッドホン。ドライバーには独自技術の「ハイ・エクスカーション・テクノロジー」とDLCコーティングが施され、非常に低歪な再生を実現。音楽鑑賞はもちろん、既存モデルと同じようにモニタリング用途でも使用できるポテンシャルがあるという。
加えて、他に類を見ない機能として、楕円形のイヤーカップを回転させるようにして傾かせることが可能。さらに着脱式のケーブルは、イヤーカップではなくヘッドバンドのフレーム側に取り付けるよう端子が設けられている。国内価格は39万円前後が見込まれる。
Full Score oneはブランド初のヘッドホンアンプで、独自技術「TTT(トゥルー・トランジェント・テクノロジー)」により音の立ち上がりやディテールを細やかに再現。音の歪みも抑え、The Composerとの組み合わせで優れたリスニング体験が味わえるという。こちらの価格は25万円前後が予想される。
■ディーアンドエムホールディングス
ディーアンドエムホールディングスでは、新製品としてBowers & Willkins(B&W)の「Px7 S2e」をラインナップ。2022年発売のBluetoothヘッドホン「Px7 S2」を、最上位モデル「Px8」のDSP技術をフィードバックして再チューニングしたモデル。カラーバリエーションとして、いままでになかったフォレスト・グリーンを加えた点も特徴となる。Px7 S2eは60,500円前後での実売が予想されている。
また、デノンの完全ワイヤレスイヤホン「PerL Pro」「PeaL」の体験席も常に賑わいを見せた。医療技術を応用して左右それぞれの耳の聴覚特性を認識、音質をパーソナライズする完全ワイヤレスイヤホンを、同社スタッフの解説を受けながら体験することができた。
■NUARL
NUARLでは、2020年に発売したダイナミック型イヤホン「NX1」を、MMCX端子からPentaconn Ear端子に換装した試作モデルを出展。付属ケーブルも、最新モデル「Overture」と同等の7N OCC銀メッキケーブルに変更している。
ケーブルは元のNX1よりも太くなっているものの、しなやかさは変わらず、むしろ絡まりにくくなり取り回しが良いという。また、マグネシウム製のハウジングや、カーボンナノチューブ振動板採用の10mmダイナミックドライバーといった、元のNX1が持つ特徴はそのまま残されている。
■COMPLY
温められることで柔らかさが増すフォーム素材が特徴のイヤーピース・コンプライからは、新たに発売される3種類の有線イヤホン向けモデルが体験可能に。標準的な円筒形モデル、コンプライでは初の楕円形モデル、日本人に多い耳の形状に合わせた円形モデルがラインナップされる。
会場で体験したユーザーからは、特に楕円形モデルへの反響が大きかったとのこと。耳の形状によって個人差はあるものの、従来のコンプライよりも高域がクリアになったという意見が数多く寄せられたという。
■mimimamo
ヘッドホンのイヤーパッドを汚れや劣化から保護するヘッドホンカバーmimimamoからは、現在開発が進められている新型カバーが出展。現行モデルはイヤーパッド全体にかぶせるのに対し、新型カバーではイヤーパッドの内側から抑えるパーツを併用することで、イヤーパッドだけをくるむように装着できる。
過去オーディオイベントに出展した際よりも改良が進められ、耳に触れる生地には東レ製「マイクロマフィン」を採用。肌触りがより滑らかになっており、大きなイヤーパッドに装着する際もシワがよりにくくなったそうだ。