TiVo OSやオートモーティブ関連もアピール
<CES>Disney+、2024年夏にDTS:X音声対応へ。Xperiブースでデモ実施
米ラスベガスにおいて、世界最大級のエレクトロニクス展示会「CES2024」が開幕。Xperiはメイン会場から離れたPark MGMホテルのプライベートブースにて、同社の映像および音響系のテクノロジーについて案内している。
そのなかで、映像ストリーミングサービス「Disney+」のIMAX Enhanced対応コンテンツについて、2024年夏までにDTS:X対応を予定していることが紹介された。ワールドワイドでの同時ローンチになるという。DTS:Xの対応は「2023年内」と発表されていたが、その後に動きはなかった。ようやく実現に向けて進んでいきそうだ。
IMAX Enhancedは、自宅でよりクオリティの高い映画を楽しむために作られたプログラム。シネマスコープのアスペクト比(2.35:1)よりも縦の長さが広い(1.77:1)ため、一般的な16:9のテレビであっても画面全体を活用して映像を再生できる。加えてIMAX独自の技術で画質調整が行われるほか、音声にはIMAX Enhanced用にマスタリングしたDTS:Xを採用する。
このように、IMAX Enhancedは本来、音声フォーマットにDTS:Xが用いられる想定となっている。だがこれまでDisney+では、DTS:Xに対応しておらず、Dolby Atmosをサポートするかたちとなっていた。
今回、DTS:Xに対応することで、IMAX Enhanced認証機器を使用して再生する場合、ようやく本来のIMAX Enhancedが楽しめるようになる。なお現状のIMAX Enhanced対応タイトルは、マーベルで19作品、ピクサーで1作品、そしてバズ・ライトイヤーとなる。これらすべてのタイトルをDTS:Xに対応させていく方針だそうだ。
会場ではDTS:X音声によるデモを実施。機材として、IMAX Enhanced認証を取得している、ソニーのテレビとAVアンプを使用。これに5.4.1chのスピーカーシステムが組み合わせられている。なお、デモの様子について撮影は行えず、視聴したタイトルも明かせないとのことだった。
まずDTS:Xに対応するコンテンツのタイトルページを開くと、従来のIMAX EnhancedやDolby Atmosなどに加えて、新たにDTS:Xの対応を示すアイコンが表示されるようになる。その後再生ボタンを押して、IMAX Enhanced認証機器で再生した場合は、DTS:Xで再生するかを問うポップアップが表示される。ここでオンにすれば、次から対応機器を使う場合に、DTS:Xに自動切替されるようになるという。
ちなみに、DTS:Xに対応しているだけでは、DTS:X音声の再生はできないとのこと。あくまで、IMAX Enhanced認証機器で再生した場合に、利用できるようになると説明していた。
■コンテンツファーストを重視したスマートテレビ向けOS
また取材時には、同社のスマートテレビ向けOS「TiVo OS」についても合わせてデモが行われた。TiVo OSとは、Google TVのようにスマートテレビ上で動くOSとなり、昨年のCESでヨーロッパのVestel社が本OSを採用すると発表、すでに出荷開始されている。
また今年のCES2024に合わせて、欧州におけるシャープ、Konkaでの採用が発表された。社名は現時点で明かせないものの、アメリカでも2社が採用に向けて検討を進めているという。このように広がりつつあるTiVo OSについて、デモでは競合のスマートテレビ用OSとの比較が行われた。
比較として用意されたのは、Xperiの「TiVo OS」、Googleの「Google TV」、ハイセンスの「VIDAA OS」、米国のテレビブランドRokuの「Roku OS」となる。左によるほどコンテンツファーストなOS、右によるほどシンプルなOSになると、デモでは解説された。
まずRoku OSは、アプリファーストな設計となっており、コンテンツを探す前に配信サービス等のアプリを立ち上げる必要がある。ユーザーのパーソナライズ機能も入っていないそうだ。次にVIDAA OSは、Roku OSよりもコンテンツファーストな設計で、コンテンツのカルーセルが設けられている。しかしこちらもパーソナライズ機能はないため、カルーセルに表示されているコンテンツは、あくまでメーカー側が見せたいものだという。
Google TVについては、これら2つのOSとは違い、ユーザーのパーソナライズ機能も用意されている。だが、YouTubeなどの自社サービスのコンテンツが押し出される傾向があるとのこと。さらにメモリの要求が、今回比較した4つの中で最も高く、コストを下げたいテレビメーカーにとっては、採用を避けたい理由になっているそうだ。
もちろん上記の違いは、あくまでOSの設計思想によるもので、どれが使いやすいかはユーザーごとに異なるだろう。そのなかでTiVo OSでは、“コンテンツファースト” に重きを置くことで、使いやすさを追求している。たとえばコンテンツを再生したい場合、まずサービスを選ぶのではなく、コンテンツを選んだら対応サービスが一覧で表示される、といった具合だ。
またパーソナライズにも力が入れられており、独自のメタデータを活用することにより、「全てがパーソナライズされている」体験を実現しているという。ユーザーの履歴だけではなく、どの時間帯にどのようなものを見ているか、といった行動によってもコンテンツの並びが変わるとのこと。
ちなみにメタデータは10万以上のサイトをクローリングして、ナレッジグラフにしたものを作成しているそうだ。これによって何ができるかと言うと、音声で作品を検索する際に、たとえばファインディング・ニモの有名なセリフだという「Just Keep Swimming」でもコンテンツにたどり着ける。さらに「アーノルド・シュワルツェネッガーの90年代のアクション映画を見せて」といった複雑なワードでも検索できる。
ちなみに、同様の音声検索をGoogle TVでも試したが、思うように検索できなかった。たとえば「Just Keep Swimming」では台詞がタイトルに入れられたYouTube動画が表示され、「アーノルド・シュワルツェネッガーの90年代のアクション映画を見せて」では検索自体が行えなかった。このようにTiVo OSでは、他のスマートテレビ向けOSにはない、使い勝手の良さがアピールされた。
■オートモーティブに関する展示も
Xperiはプライベートブースに加えて、メイン会場の1つであるWestホールにもブースを展開。このホールは、オートモーティブ関連の企業や展示が集まっている場所だ。
ブースには複数のデモ車が展示。具体的には、Hyundaiの「Genesis」、日産の「Rogue」、BMWの「iX M60」が用意。これに加えて、BMWのバイクも並べられた。
HyundaiのGenesisでは、北米ではデジタルラジオの標準となっている「HD Radio」を紹介。HD Radioのメリットとして、楽曲が流れた際には曲名やジャケット写真、アーティスト名などが表示されることが挙げられる。またサブチャンネルに対応し、同じ放送局で2つのコンテンツを同時に流すことができるという。このHD Radioは、展示されていたBMWのバイクでも利用可能。今回のCESに合わせて、ハーレー・ダビッドソンも対応したことが発表された。
また日産のRogueでは、「DTS AutoStage」というテクノロジーが紹介。こちらはXperi側のメタデータを利用することで、従来のアナログラジオであっても、放送局のロゴ、楽曲名やジャケット写真、さらには歌詞なども表示できるようになっている。またDTS AutoStageでは、世界中のポッドキャストも利用可能。現在再生しているラジオやポッドキャストをもとに、ユーザーが気に入りそうな放送局や番組をレコメンドしてくれる機能も備えている。
最後にBMWのiX M60では、上で紹介した「TiVo OS」が車でも使えることをアピール。ラジオやポッドキャストといった音声コンテンツだけでなく、映像コンテンツも車で楽しめることが紹介された。
そのほかXperiはCES2024に合わせて、DTS AutoStageが映像再生に対応することもアナウンス。さらにゲームへの対応として、オーディオゲーム、カジュアルゲーム、コンソール/コアゲームなどを組み込むことも発表された。
そのなかで、映像ストリーミングサービス「Disney+」のIMAX Enhanced対応コンテンツについて、2024年夏までにDTS:X対応を予定していることが紹介された。ワールドワイドでの同時ローンチになるという。DTS:Xの対応は「2023年内」と発表されていたが、その後に動きはなかった。ようやく実現に向けて進んでいきそうだ。
IMAX Enhancedは、自宅でよりクオリティの高い映画を楽しむために作られたプログラム。シネマスコープのアスペクト比(2.35:1)よりも縦の長さが広い(1.77:1)ため、一般的な16:9のテレビであっても画面全体を活用して映像を再生できる。加えてIMAX独自の技術で画質調整が行われるほか、音声にはIMAX Enhanced用にマスタリングしたDTS:Xを採用する。
このように、IMAX Enhancedは本来、音声フォーマットにDTS:Xが用いられる想定となっている。だがこれまでDisney+では、DTS:Xに対応しておらず、Dolby Atmosをサポートするかたちとなっていた。
今回、DTS:Xに対応することで、IMAX Enhanced認証機器を使用して再生する場合、ようやく本来のIMAX Enhancedが楽しめるようになる。なお現状のIMAX Enhanced対応タイトルは、マーベルで19作品、ピクサーで1作品、そしてバズ・ライトイヤーとなる。これらすべてのタイトルをDTS:Xに対応させていく方針だそうだ。
会場ではDTS:X音声によるデモを実施。機材として、IMAX Enhanced認証を取得している、ソニーのテレビとAVアンプを使用。これに5.4.1chのスピーカーシステムが組み合わせられている。なお、デモの様子について撮影は行えず、視聴したタイトルも明かせないとのことだった。
まずDTS:Xに対応するコンテンツのタイトルページを開くと、従来のIMAX EnhancedやDolby Atmosなどに加えて、新たにDTS:Xの対応を示すアイコンが表示されるようになる。その後再生ボタンを押して、IMAX Enhanced認証機器で再生した場合は、DTS:Xで再生するかを問うポップアップが表示される。ここでオンにすれば、次から対応機器を使う場合に、DTS:Xに自動切替されるようになるという。
ちなみに、DTS:Xに対応しているだけでは、DTS:X音声の再生はできないとのこと。あくまで、IMAX Enhanced認証機器で再生した場合に、利用できるようになると説明していた。
■コンテンツファーストを重視したスマートテレビ向けOS
また取材時には、同社のスマートテレビ向けOS「TiVo OS」についても合わせてデモが行われた。TiVo OSとは、Google TVのようにスマートテレビ上で動くOSとなり、昨年のCESでヨーロッパのVestel社が本OSを採用すると発表、すでに出荷開始されている。
また今年のCES2024に合わせて、欧州におけるシャープ、Konkaでの採用が発表された。社名は現時点で明かせないものの、アメリカでも2社が採用に向けて検討を進めているという。このように広がりつつあるTiVo OSについて、デモでは競合のスマートテレビ用OSとの比較が行われた。
比較として用意されたのは、Xperiの「TiVo OS」、Googleの「Google TV」、ハイセンスの「VIDAA OS」、米国のテレビブランドRokuの「Roku OS」となる。左によるほどコンテンツファーストなOS、右によるほどシンプルなOSになると、デモでは解説された。
まずRoku OSは、アプリファーストな設計となっており、コンテンツを探す前に配信サービス等のアプリを立ち上げる必要がある。ユーザーのパーソナライズ機能も入っていないそうだ。次にVIDAA OSは、Roku OSよりもコンテンツファーストな設計で、コンテンツのカルーセルが設けられている。しかしこちらもパーソナライズ機能はないため、カルーセルに表示されているコンテンツは、あくまでメーカー側が見せたいものだという。
Google TVについては、これら2つのOSとは違い、ユーザーのパーソナライズ機能も用意されている。だが、YouTubeなどの自社サービスのコンテンツが押し出される傾向があるとのこと。さらにメモリの要求が、今回比較した4つの中で最も高く、コストを下げたいテレビメーカーにとっては、採用を避けたい理由になっているそうだ。
もちろん上記の違いは、あくまでOSの設計思想によるもので、どれが使いやすいかはユーザーごとに異なるだろう。そのなかでTiVo OSでは、“コンテンツファースト” に重きを置くことで、使いやすさを追求している。たとえばコンテンツを再生したい場合、まずサービスを選ぶのではなく、コンテンツを選んだら対応サービスが一覧で表示される、といった具合だ。
またパーソナライズにも力が入れられており、独自のメタデータを活用することにより、「全てがパーソナライズされている」体験を実現しているという。ユーザーの履歴だけではなく、どの時間帯にどのようなものを見ているか、といった行動によってもコンテンツの並びが変わるとのこと。
ちなみにメタデータは10万以上のサイトをクローリングして、ナレッジグラフにしたものを作成しているそうだ。これによって何ができるかと言うと、音声で作品を検索する際に、たとえばファインディング・ニモの有名なセリフだという「Just Keep Swimming」でもコンテンツにたどり着ける。さらに「アーノルド・シュワルツェネッガーの90年代のアクション映画を見せて」といった複雑なワードでも検索できる。
ちなみに、同様の音声検索をGoogle TVでも試したが、思うように検索できなかった。たとえば「Just Keep Swimming」では台詞がタイトルに入れられたYouTube動画が表示され、「アーノルド・シュワルツェネッガーの90年代のアクション映画を見せて」では検索自体が行えなかった。このようにTiVo OSでは、他のスマートテレビ向けOSにはない、使い勝手の良さがアピールされた。
■オートモーティブに関する展示も
Xperiはプライベートブースに加えて、メイン会場の1つであるWestホールにもブースを展開。このホールは、オートモーティブ関連の企業や展示が集まっている場所だ。
ブースには複数のデモ車が展示。具体的には、Hyundaiの「Genesis」、日産の「Rogue」、BMWの「iX M60」が用意。これに加えて、BMWのバイクも並べられた。
HyundaiのGenesisでは、北米ではデジタルラジオの標準となっている「HD Radio」を紹介。HD Radioのメリットとして、楽曲が流れた際には曲名やジャケット写真、アーティスト名などが表示されることが挙げられる。またサブチャンネルに対応し、同じ放送局で2つのコンテンツを同時に流すことができるという。このHD Radioは、展示されていたBMWのバイクでも利用可能。今回のCESに合わせて、ハーレー・ダビッドソンも対応したことが発表された。
また日産のRogueでは、「DTS AutoStage」というテクノロジーが紹介。こちらはXperi側のメタデータを利用することで、従来のアナログラジオであっても、放送局のロゴ、楽曲名やジャケット写真、さらには歌詞なども表示できるようになっている。またDTS AutoStageでは、世界中のポッドキャストも利用可能。現在再生しているラジオやポッドキャストをもとに、ユーザーが気に入りそうな放送局や番組をレコメンドしてくれる機能も備えている。
最後にBMWのiX M60では、上で紹介した「TiVo OS」が車でも使えることをアピール。ラジオやポッドキャストといった音声コンテンツだけでなく、映像コンテンツも車で楽しめることが紹介された。
そのほかXperiはCES2024に合わせて、DTS AutoStageが映像再生に対応することもアナウンス。さらにゲームへの対応として、オーディオゲーム、カジュアルゲーム、コンソール/コアゲームなどを組み込むことも発表された。