MOMENTUM True Wireless 4がついに登場
<CES>ゼンハイザー新完全ワイヤレス「2つの最上位機」を早速聴いた!音質さらに進化、体温測定も搭載
CES 2024の開催期間、ゼンハイザーは会場近くのラグジュアリーホテルでプライベートイベントを開催した。既にニュース記事で紹介している「MOMENTUM True Wireless 4」と、スポーツタイプ完全ワイヤレスイヤホンのフラグシップ「MOMENTUM Sport」を会場で聴いてきた。
2024年、MOMENTUMシリーズの完全ワイヤレスイヤホンに2つのラインナップが加わる。MOMENTUM True Wireless 4はオーディオリスニングを中心とする全方位型のフラグシップ。一方のMOMENTUM Sportはシリーズ初のセミオープン型スポーツモデルだ。
前者の詳細についてはニュースを参考にしてほしい。CESのプライベートイベントスペースには、ブラックグラファイト/ホワイトシルバーのほか、ブラックカッパーというブラウン系のカラバリも置かれていた。欧州の販売価格は299.99ユーロ(約4.7万円)。
これまでMOMENTUMシリーズは、音質向上に妥協することなく、常に進化してきた。ゼンハイザーが自社開発する7mm径のTrueResponseトランスデューサーは設計や素材に変更を加えることなく、サウンドのファインチューンを行った。
Sonova Consumer HearingのMilan Schlegel氏は「MOMENTUM True Wireless 3での指摘を受けて、5kHz近辺の高音域のわずかにピーキーなバランスをチューニングによって改善。本機のエンジニアリングではスムーズな音づくりに注力した」と語っている。
チップセットにはクアルコムのSnapdragon S5 Sound platformを採用する。Snapdragon Soundに対応したことでBluetoothオーディオのコーデックはaptX Adaptive、aptX Losslessが使えるようになったほか、Bluetooth LE Audioにも対応する。
また発売後に提供を予定するソフトウェアアップデートでは、同じSnapdragon Soundに対応するゲーミング用USBドングルを組み合わせ、ゲーム音声の超低遅延伝送を実現する。ステレオのアップストリーム、モノラルのダウンストリームによる低遅延の通話音声も可能。ゲーム時のボイスチャットなどにも真価を発揮するだろう。
会場に試聴機として用意されていたiPadにつなぎ、MOMENTUM True Wireless 4を聴いた。中高音域のつながりが滑らかさを増し、音色が一段と鮮やかになった印象がある。低音域についても、「3」よりさらに一歩踏み込んだ立体感と抑揚が楽しめる。ただし今回は、aptX Adaptive、aptX LosslessやLC3のサウンドが聴けなかった。シビアな音質評価は、3月頃に予定されている本機の日本上陸以後に、また改めてチャレンジしたいと思う。
イベント来場者で賑わう環境で、ハイブリッド・アダプティブノイズキャンセリングの効果も試した。こちらもイヤーピースを筆者の耳に最適化していないため実力を十分に発揮できている状態ではなかったが、プレミアムサウンドのバランスを重視したスムーズな消音効果に好感触を得た。
Bluetooth LE Audioは、Auracastによるブロードキャスティングをサポートする。発売後数週間以内にゼンハイザーの「Smart Control」アプリが更新され、新しい機能が使えるようになる予定だ。
Auracastの有用性を実感するためには対応サービスも必要になるが、Schlegel氏に欧州のAuracast対応サービスについて聞いたところ、空港の搭乗ゲートにおける音声案内、美術館のガイダンスなどで導入事例が生まれつつあるようだ。ブロードキャストチャンネルへの接続はSmart Controlアプリを介して行う仕様になるという。こちらも試せる機会が楽しみだ。
もうひとつのフラグシップモデルであるMOMENTUM Sportも、非常に個性的なゼンハイザーの左右独立型ワイヤレスイヤホンだ。
セミオープン構造のハウジングは全体に丸みを帯びた、タマゴのような楕円形。外耳のくぼみに添えるイヤーフィンのようなものは使わないスタイルだが、装着時の安定感は良かった。カラーバリエーションはポーラーブラック/グラファイト/オリーブの3色。発売日は4月9日を予定。日本導入も計画されている。
本機はフィンランドのフィットネスブランドである「POLAR(ポーラー)」とゼンハイザーがコラボレーションしたモデルだ。
アクティビティとのながら聴きにおいても快適なサウンドが楽しめる「音作り」はゼンハイザーが受け持ち、ポーラーはウェアラブルタイプのフィットネストラッカーなどヘルスケアとアクティビティのスマートデバイスの開発から得た豊富な知見を持ち寄る。
Schlegel氏は「ポーラーのスマートデバイスは欧州のプロアスリートにも支持されている。精度の高いデータ取得と解析を実現するスマートデバイスとして人気」であることから、ゼンハイザー側からラブコールを送ったと語る。
欧州の販売価格は329.99ユーロ(約5.2万円)。MOMENTUM True Wireless 4よりも少し高価になる理由は、通常はポーラーのデバイスを購入したユーザーにしか提供されないモバイル向けアプリのサービスが、MOMENTUM Sportであれば使えるようになるからだ。言い換えればMOMENTUM Sportは、ポーラーにとっても初のスポーツイヤホン・コレクションということになる。
MOMENTUM Sportの特徴は、イヤホン本体に搭載するバイオメトリックセンサーを使って「心拍数」と「体温」が計測できること。ゼンハイザーのような広く名の通ったブランドが「体温計測に対応するワイヤレスイヤホン」を手がけた事例はこれが初めてではないか。
今回はフィットネス情報のセンシング機能は試せなかったが、筆者が持参したiPhoneでサウンドをチェックした。セミオープン構造のウィークポイントである低音再生のバランスを最適化するため、本機にはゼンハイザーが独自に開発した10ミリ口径のダイナミック型ドライバーが搭載されている。
MOMENTUMシリーズのTWSでは前例のない、豊かな低音再生だ。ビートは切れ味に富み、もたつくような印象は受けない。ボーカルもふくよかで味わい深い。MOMENTUMシリーズのプレミアムサウンドが丁寧に継承されたスポーツイヤホンだ。
なお、イヤホンのセンサーにより取得される生体情報はiOSの「ヘルスケア」、Androidの「Google Fit」アプリにも記録される。心拍、体温の情報を他のアプリと共有・連携することもできる。
今回はアプリを使って各機能を細かく試せていないが、本機にはゼンハイザー独自開発によるアダプティブANCも搭載されており、「Smart Control」アプリから効果の強弱を調整することも可能だ。セミオープンタイプなので、実際にどの程度の効果が得られるのかについてはまた機会をみて試したい。
音質の向上・機能の拡大を実現したMOMENTUM True Wireless 4
2024年、MOMENTUMシリーズの完全ワイヤレスイヤホンに2つのラインナップが加わる。MOMENTUM True Wireless 4はオーディオリスニングを中心とする全方位型のフラグシップ。一方のMOMENTUM Sportはシリーズ初のセミオープン型スポーツモデルだ。
前者の詳細についてはニュースを参考にしてほしい。CESのプライベートイベントスペースには、ブラックグラファイト/ホワイトシルバーのほか、ブラックカッパーというブラウン系のカラバリも置かれていた。欧州の販売価格は299.99ユーロ(約4.7万円)。
これまでMOMENTUMシリーズは、音質向上に妥協することなく、常に進化してきた。ゼンハイザーが自社開発する7mm径のTrueResponseトランスデューサーは設計や素材に変更を加えることなく、サウンドのファインチューンを行った。
Sonova Consumer HearingのMilan Schlegel氏は「MOMENTUM True Wireless 3での指摘を受けて、5kHz近辺の高音域のわずかにピーキーなバランスをチューニングによって改善。本機のエンジニアリングではスムーズな音づくりに注力した」と語っている。
チップセットにはクアルコムのSnapdragon S5 Sound platformを採用する。Snapdragon Soundに対応したことでBluetoothオーディオのコーデックはaptX Adaptive、aptX Losslessが使えるようになったほか、Bluetooth LE Audioにも対応する。
また発売後に提供を予定するソフトウェアアップデートでは、同じSnapdragon Soundに対応するゲーミング用USBドングルを組み合わせ、ゲーム音声の超低遅延伝送を実現する。ステレオのアップストリーム、モノラルのダウンストリームによる低遅延の通話音声も可能。ゲーム時のボイスチャットなどにも真価を発揮するだろう。
会場に試聴機として用意されていたiPadにつなぎ、MOMENTUM True Wireless 4を聴いた。中高音域のつながりが滑らかさを増し、音色が一段と鮮やかになった印象がある。低音域についても、「3」よりさらに一歩踏み込んだ立体感と抑揚が楽しめる。ただし今回は、aptX Adaptive、aptX LosslessやLC3のサウンドが聴けなかった。シビアな音質評価は、3月頃に予定されている本機の日本上陸以後に、また改めてチャレンジしたいと思う。
イベント来場者で賑わう環境で、ハイブリッド・アダプティブノイズキャンセリングの効果も試した。こちらもイヤーピースを筆者の耳に最適化していないため実力を十分に発揮できている状態ではなかったが、プレミアムサウンドのバランスを重視したスムーズな消音効果に好感触を得た。
Bluetooth LE Audioは、Auracastによるブロードキャスティングをサポートする。発売後数週間以内にゼンハイザーの「Smart Control」アプリが更新され、新しい機能が使えるようになる予定だ。
Auracastの有用性を実感するためには対応サービスも必要になるが、Schlegel氏に欧州のAuracast対応サービスについて聞いたところ、空港の搭乗ゲートにおける音声案内、美術館のガイダンスなどで導入事例が生まれつつあるようだ。ブロードキャストチャンネルへの接続はSmart Controlアプリを介して行う仕様になるという。こちらも試せる機会が楽しみだ。
MOMENTUMシリーズ初のスポーツ対応TWS
もうひとつのフラグシップモデルであるMOMENTUM Sportも、非常に個性的なゼンハイザーの左右独立型ワイヤレスイヤホンだ。
セミオープン構造のハウジングは全体に丸みを帯びた、タマゴのような楕円形。外耳のくぼみに添えるイヤーフィンのようなものは使わないスタイルだが、装着時の安定感は良かった。カラーバリエーションはポーラーブラック/グラファイト/オリーブの3色。発売日は4月9日を予定。日本導入も計画されている。
本機はフィンランドのフィットネスブランドである「POLAR(ポーラー)」とゼンハイザーがコラボレーションしたモデルだ。
アクティビティとのながら聴きにおいても快適なサウンドが楽しめる「音作り」はゼンハイザーが受け持ち、ポーラーはウェアラブルタイプのフィットネストラッカーなどヘルスケアとアクティビティのスマートデバイスの開発から得た豊富な知見を持ち寄る。
Schlegel氏は「ポーラーのスマートデバイスは欧州のプロアスリートにも支持されている。精度の高いデータ取得と解析を実現するスマートデバイスとして人気」であることから、ゼンハイザー側からラブコールを送ったと語る。
欧州の販売価格は329.99ユーロ(約5.2万円)。MOMENTUM True Wireless 4よりも少し高価になる理由は、通常はポーラーのデバイスを購入したユーザーにしか提供されないモバイル向けアプリのサービスが、MOMENTUM Sportであれば使えるようになるからだ。言い換えればMOMENTUM Sportは、ポーラーにとっても初のスポーツイヤホン・コレクションということになる。
MOMENTUM Sportの特徴は、イヤホン本体に搭載するバイオメトリックセンサーを使って「心拍数」と「体温」が計測できること。ゼンハイザーのような広く名の通ったブランドが「体温計測に対応するワイヤレスイヤホン」を手がけた事例はこれが初めてではないか。
今回はフィットネス情報のセンシング機能は試せなかったが、筆者が持参したiPhoneでサウンドをチェックした。セミオープン構造のウィークポイントである低音再生のバランスを最適化するため、本機にはゼンハイザーが独自に開発した10ミリ口径のダイナミック型ドライバーが搭載されている。
MOMENTUMシリーズのTWSでは前例のない、豊かな低音再生だ。ビートは切れ味に富み、もたつくような印象は受けない。ボーカルもふくよかで味わい深い。MOMENTUMシリーズのプレミアムサウンドが丁寧に継承されたスポーツイヤホンだ。
なお、イヤホンのセンサーにより取得される生体情報はiOSの「ヘルスケア」、Androidの「Google Fit」アプリにも記録される。心拍、体温の情報を他のアプリと共有・連携することもできる。
今回はアプリを使って各機能を細かく試せていないが、本機にはゼンハイザー独自開発によるアダプティブANCも搭載されており、「Smart Control」アプリから効果の強弱を調整することも可能だ。セミオープンタイプなので、実際にどの程度の効果が得られるのかについてはまた機会をみて試したい。