存在感を増すCESでのカメラメーカー
【CES】会田肇の新製品レポート<デジカメ編> 349ドルのAndroidミラーレスなど注目機多数
PowerShot Nのデザインはほぼ真四角にも見える78.6×60.2(幅×高さ)mmで、背面には2.8型液晶モニターを組み合わせて厚みは29.3mmしかない。カメラとしての基本的なスペックは28〜224ミリの光学8倍ズームレンズ、有効画素数1210万画素 1/2.3型CMOSセンサーを搭載する。背面には90度まで開く2.8型(46.1万画素)液晶モニタを搭載し、ポケットにも楽に入るコンパクトさを備える。
これだけなら、タダのコンパクトなデジカメにしか過ぎないのだが、本機のユニークさは半端ではに。
まず、このカメラにはシャッターボタンがない。本体上で見えるのは電源スイッチ、後述する「クリエイティブショット」と通常撮影の切り替えスイッチ、画像転送ボタン、再生ボタンがあるのみだ。実は撮影するときは基本的に画面にタッチするか、レンズ根元にあるリングを押す。とくにこのリング式シャッターは、上下のいずれからでも押せるので、逆さまでの撮影にも都合がよい。
そして、この上下自由にシャッターが切れるようになっているわけは、その撮影機能にもつながる。なんと、上下逆さまに撮影しても正しい上下関係で保存される仕掛けとなっているのだ。本体にジャイロセンサーを備え、それが上下を常に把握できるようになっているからで、こうした機能を活かすためにもリングシャッターは必要だったわけだ。
モニターに採用されたタッチパネルは静電容量式で、サクサクとした動きが気持ちいい。指先でのピンチイン・アウト操作で画像の拡大縮小が行え、フリック操作で画面送りもできるようになっている。まさにスマホ時代にふさわしいインターフェイスと言えよう。
「クリエイティブショット」は、通常撮影した画像を中心に全4種類のフィルターをかけたショットが自動的に撮影される機能。ボデイ横にあるスイッチで通常撮影とワンタッチで切り替えられる。Wi-Fiを介したスマートフォンやSNSとの連係機能も充実し、コンパクトデジカメの新しいスタイルを提案するカメラとして注目したい。
■フジフイルムの高級コンデジに新モデル「FUJIFILM X100S/X20」
フジフイルムからは、APS-Cサイズの撮像素子を搭載する上位モデル「FUJIFILM X100S」と、上級コンパクトデジカメ「FUJIFILM X20」(関連ニュース)が登場した。
「X100S」は昨年登場して大いに話題を呼んだ「X100」の後継機。新搭載されたセンサー「X-Trans CMOS II」は、従来の「X-Trans CMOS」に対し、“像面位相差センサー”と呼ばれる新機構を内蔵。X100の弱点だったAFスピードを0.22秒から0.08秒に短縮した。
また、新たにMF撮影用として「デジタルスプリットイメージ」と呼ぶ機能を搭載した。これは、画像中央部分の像を左右にずらして表示し、ピントを合わせると徐々に像が一致するもの。精度の高いピント合わせがスピーディに行えるメリットがある。この像面位相差AFは、動画撮影にも効果的があり、動画撮影ではフルHD化を果たしたのも大きなトピックだ。
「X20」は前モデル「X10」を引き継いでフルモデルチェンジを果たした。光学ファインダーながら、F値などの情報が見られるよう液晶パネルが組み込まれており、その使いやすさは抜群だ。新開発の「X-Trans CMOS IIセンサー」は2/3型、有効1200万画素。レンズは28〜112mm相当の4倍ズームで、それでいてバッテリー込みで約353gという重量は大きな魅力になるだろう。上級コンパクトデジカメが相次いで登場する中で、レトロなスタイルはライバルと一線を画しており、十分な支持が得られるものと見られる。
■ペンタックスからは真鍮制のレトロコンデジ「MX-1」
レトロさをウリにした上級コンパクトデジカメはペンタックスリコーイメージングからも登場した。ペンタックスブランドの「MX-1」がそれだ。