利用者/権利者両団体が共同で第三者機関を設立
音楽著作権の一括処理を担当する「著作権情報集中処理機構」が誕生
設立に際し、本日都内で会見が行われた。会見には、発起人と理事の6名が出席。理事のふたりと、発起人を代表して木村氏がマイクを握り、機構設立に至った経緯などについてコメントした。
会見では最初に佐々木氏が発言。「この数年で、取り扱っている楽曲数が飛躍的に増えたことにより、調査や申請などの実務も膨大なものとなった。これに関するコストやリスクが楽曲配信の成長を阻害する要因にもなってきている」と、権利処理業務の現状についてコメント。
こうした背景から今回の機構設立に至ったと説明し、「利用者団体と権利者団体が共同で第三者機関を設立するのは世界初の試み。過去の状況から考えると夢のようなプロジェクトだ」と、機構設立が画期的なことであったと胸を張る。そしてまた「この機構が、日本のコンテンツビジネスモデルを大きく成長させる礎となると期待している」と語った。
続いてマイクを握った菅原氏は、「この機構は、コンテンツプロバイダーや管理事業者の負担をトータルで削減するものだ」とコメント。同法人があくまでも事務作業負担の軽減を狙ったものであり、営利を目的としたものでないと説明した。
また、取り扱う分野を音楽のみにしている点については「大きな流れとして発想は同じかもしれないが、そこで取り扱う情報は全く違っている」と、映像分野との質の違いを理由に挙げる。そして「今回の試みが他分野にとってもひとつのパイロットケースにはなるかもしれないが、今後も映像などを取り扱う予定はない」とも語った。
木村氏は「自分としては、ジャーナリストというよりも、コミュニティ放送の関係者としてこの機構に関わっていると思っている」とあいさつ。インターネット放送も行っている現場サイドの立場から、機構設立に対する思いを語った。
木村氏は、「私が主宰する小さな局でも1日に約300曲ほどの楽曲を放送している」と説明。この権利処理を全て手作業で行おうとすると、専任の人員を配置しなければならず、負担が大きいと現場の苦悩を明かした。過去には独自でフィンガープリントを活用することもかなり具体的に検討したこともあったというが、億単位の予算が必要だと分かり断念したという。
こうした立場から木村氏は機構設立を歓迎。「現在はまだ全曲報告は完全な義務ではないが、いずれそうなるのは時代の趨勢だ。小さな放送局にとって、そうした時に備える意味でも機構の設立は非常に助かる」とコメントし会見を締めくくった。
また、会見に続いては機構設立を記念したレセプションも行われた。こちらには、内閣官房 知的財産戦略推進事務局の事務局長を務める素川富司氏も駆けつけ、祝辞を述べた。
素川氏は、「機構設立は、まさに時代の要請に適ったもの。ほかの様々なコンテンツ流通促進の今後に対するモデルケースとしても期待している」とコメント。今後の活動に大きな期待を抱いていると語った。