2D-3D変換も使える印象
ソニー“3D BRAVIA”「LX900シリーズ」を試す
7月16日に60V型と52V型モデルの発売を控えるソニーの“3D BRAVIA”「LX900シリーズ」。折しも、ソニーがスポンサードしているサッカーワールドカップ南アフリカ大会が佳境を迎えており、スカパー!では3D生中継も行われている。そこで今回は、このW杯の3D放送の視聴を中心に、「KDL-46LX900」の3D機能を試してみた。
■3Dの残像感を低減させるよう配慮
まずはスペック面を確認しておきたい。BRAVIAでは「LX900」「HX900」「HX800」の3シリーズが3Dに対応しているが、今回テストするLX900シリーズは3Dトランスミッターを本体に内蔵。スタンダードサイズの3Dメガネ「TDG-BR100」も2個付属している。
3D方式はフレームシーケンシャルで、アクティブシャッターメガネを使用。サイドバイサイドやトップアンドボトム方式にも対応している。また、2D-3D変換機能も搭載している。
2D-3D変換は強/中/弱の3段階で設定が可能。3Dメガネの明るさもオート/明/中/暗の4段階から選べるようになっている。
3D表示に際しては、左右同じコマを二度書きするとともに、二度書き目の映像表示時に輝度を高めてバックライトを点灯。専用メガネの開閉タイミングとシンクロさせ、二度書きされたコマのみを見えるようにすることで、残像感を低減させるという手法をとっている。
パネル解像度はフルHDで、地上・BS・110度CSデジタルチューナー、および地上アナログチューナーを各1基装備。HDMI入力は側面と背面にそれぞれ2端子ずつ、計4端子を搭載している。なお、背面にあるHDMIやアンテナなどの端子部分は、通常はカバーで隠されており、使用時にはこのカバーを取り外して各種ケーブルを接続することになる。
また、4倍速にフレームブリンキングを加えた「モーションフロープロ240Hz」に対応。パネルには、液晶パネル部とクリア表面処理を施した前面ガラス部の間に存在していた空気層に樹脂を挟み込むことで外光の乱反射を抑制した新開発の「オプティコントラストパネル」を採用している。
画像処理エンジンには「ブラビアエンジン3」を搭載し、バックライトにはエッジライトLEDを採用。これらの高画質化技術に加えて、カメラの顔認識技術を利用した「インテリジェント人感センサー」や「ポジションコントロール」、「近すぎアラーム」といった機能も搭載している。
■サッカーで3D視聴の楽しさを実感
今回のテストでは、スカパー!が放映したワールドカップ南アフリカ大会の3D中継を、BDレコーダー「BDZ-EX200」のHDDへ録画したものを主に視聴。日本対オランダ戦や、ブラジル対北朝鮮戦など数試合をチェックした。
まず3Dの効果を体感させられたのが、選手入場のシーン。入場口に置かれたボールがアップで映し出され、その奥から審判団や選手たちが歩いてくるという場面だ。手前に映っているボールと奥側との奥行き感に「おぉ!」と感心させられる。
実際に試合が開始されてからの映像も、なかなか良好だ。いわゆる「引き」の映像では、画面奥側で蹴り出されたボールが手前に向かってくる場面や、びっしりと埋まった観客たちの映像などで、高い3D効果が実感できる。選手も立体的に見えるので、実際に現地のスタンドで観戦しているかのような気分も少しだけ味わえる。
なお、製品レビューではなく放送側の問題になってしまい完全に余談になるが、例えば実況アナウンスなどを入れず、スタジアムからの音だけを放送するなどといったアイディアが今後出てきても面白いのではないだろうか(今回のW杯でそれをやるとブブゼラの音に悩まされそうだが…)。
さて、3D感を最も味わえるのはアップの映像だ。サイドライン際で行われるフォワードとディフェンダーの攻防や、ゴールシーンをゴール裏の角度から振り返るリプレイ映像など、俯瞰ではなくピッチレベルからの映像のほうがより立体感を感じられる。
具体的な例を挙げると、日本対オランダ戦で唯一のゴールシーンのリプレイ映像などがそう。ゴールの左脇(つまり日本のゴールキーパー川島の目線に近いところ)から撮影した映像では、シュートを撃ったオランダのスナイデルが、ゴール前の混戦の向こうで待ちかまえている距離感が、リアルに感じられるのだ。
また、ブラジル対北朝鮮戦での1点目となったブラジルのゴールシーンも面白い。エラーノからマイコンへとパスが出る瞬間をほぼ正面からとらえた映像では、ボールを持っているエラーノを、オーバーラップしてきたマイコンが後ろから追い越す。そしてそのマイコンにエラーノからパスが出るという一連の流れでは、2Dで見ているときよりもはるかに臨場感が増す。3Dでサッカーを観ることのメリットを感じられた瞬間だった。
■明るい3Dに好印象
今回のW杯3D中継はサイドバイサイド方式で行われたが、解像度についてはそれほど不満を感じることはなく、なかなか良好に視聴できた。得点表示なども立体視に対応するなど工夫が施されていた点も、ストレスなく視聴できた一因かもしれない。
そして、3D BRAVIAでは、専用メガネに偏光フィルターを備えないタイプのものを採用し、フリッカーが出にくいように配慮しているなど、明るいリビングでも3D映像を楽しめるようになっている点が特徴。実際に今回も照明を落とさず明るい環境で視聴してみたが、確かに明るさに関しては充分なレベルに達しているように思う。
一方、3D視聴に際して注意したい点もある。首を左右に傾けると色味が変わり、立体視ができなくなってしまう。3D映像を最大限に楽しむには、なるべく真正面から画面に向き合い、首を垂直に保つことが必要となる。
製品によって首を傾けた時の見え方にはかなり差があるが、3Dコンソーシアムが視聴姿勢に関するガイドラインを設けていることからもわかるとおり、これは両目視差方式自体の問題とも言えるので、致し方ない部分もある。
また、W杯の3D中継映像では、二重像が若干気になる部分も見受けられた。ただし、参考としてアメリカで既に発売されている3D版「くもりときどきミートボール」を視聴した際にはそうした問題は感じなかったため、放送ソース側の問題や相性というのもあるかもしれない(念のために言っておくが、全体的にスカパー!の3D中継は非常に満足できるものだった)。
なお、「くもりときどきミートボール」には空から大量のハンバーガーが空から降ってくるというシーンがあるのだが、このハンバーガーの雨が画面手前から奥まで降りしきっている場面の奥行き感はかなりの楽しさだ。
そして、3Dゲームの映像もチェック。「WipEout HD」や「STAR STRIKE HD」を見てみたが、さすがに最初から3D用に制作されているだけあって、飛び出し感や奥行き感はかなりのものだ。没入感も高まるため、ゲームと3Dの相性はかなり良いように思う。
■3Dの残像感を低減させるよう配慮
まずはスペック面を確認しておきたい。BRAVIAでは「LX900」「HX900」「HX800」の3シリーズが3Dに対応しているが、今回テストするLX900シリーズは3Dトランスミッターを本体に内蔵。スタンダードサイズの3Dメガネ「TDG-BR100」も2個付属している。
3D方式はフレームシーケンシャルで、アクティブシャッターメガネを使用。サイドバイサイドやトップアンドボトム方式にも対応している。また、2D-3D変換機能も搭載している。
2D-3D変換は強/中/弱の3段階で設定が可能。3Dメガネの明るさもオート/明/中/暗の4段階から選べるようになっている。
3D表示に際しては、左右同じコマを二度書きするとともに、二度書き目の映像表示時に輝度を高めてバックライトを点灯。専用メガネの開閉タイミングとシンクロさせ、二度書きされたコマのみを見えるようにすることで、残像感を低減させるという手法をとっている。
パネル解像度はフルHDで、地上・BS・110度CSデジタルチューナー、および地上アナログチューナーを各1基装備。HDMI入力は側面と背面にそれぞれ2端子ずつ、計4端子を搭載している。なお、背面にあるHDMIやアンテナなどの端子部分は、通常はカバーで隠されており、使用時にはこのカバーを取り外して各種ケーブルを接続することになる。
また、4倍速にフレームブリンキングを加えた「モーションフロープロ240Hz」に対応。パネルには、液晶パネル部とクリア表面処理を施した前面ガラス部の間に存在していた空気層に樹脂を挟み込むことで外光の乱反射を抑制した新開発の「オプティコントラストパネル」を採用している。
画像処理エンジンには「ブラビアエンジン3」を搭載し、バックライトにはエッジライトLEDを採用。これらの高画質化技術に加えて、カメラの顔認識技術を利用した「インテリジェント人感センサー」や「ポジションコントロール」、「近すぎアラーム」といった機能も搭載している。
■サッカーで3D視聴の楽しさを実感
今回のテストでは、スカパー!が放映したワールドカップ南アフリカ大会の3D中継を、BDレコーダー「BDZ-EX200」のHDDへ録画したものを主に視聴。日本対オランダ戦や、ブラジル対北朝鮮戦など数試合をチェックした。
まず3Dの効果を体感させられたのが、選手入場のシーン。入場口に置かれたボールがアップで映し出され、その奥から審判団や選手たちが歩いてくるという場面だ。手前に映っているボールと奥側との奥行き感に「おぉ!」と感心させられる。
実際に試合が開始されてからの映像も、なかなか良好だ。いわゆる「引き」の映像では、画面奥側で蹴り出されたボールが手前に向かってくる場面や、びっしりと埋まった観客たちの映像などで、高い3D効果が実感できる。選手も立体的に見えるので、実際に現地のスタンドで観戦しているかのような気分も少しだけ味わえる。
なお、製品レビューではなく放送側の問題になってしまい完全に余談になるが、例えば実況アナウンスなどを入れず、スタジアムからの音だけを放送するなどといったアイディアが今後出てきても面白いのではないだろうか(今回のW杯でそれをやるとブブゼラの音に悩まされそうだが…)。
さて、3D感を最も味わえるのはアップの映像だ。サイドライン際で行われるフォワードとディフェンダーの攻防や、ゴールシーンをゴール裏の角度から振り返るリプレイ映像など、俯瞰ではなくピッチレベルからの映像のほうがより立体感を感じられる。
具体的な例を挙げると、日本対オランダ戦で唯一のゴールシーンのリプレイ映像などがそう。ゴールの左脇(つまり日本のゴールキーパー川島の目線に近いところ)から撮影した映像では、シュートを撃ったオランダのスナイデルが、ゴール前の混戦の向こうで待ちかまえている距離感が、リアルに感じられるのだ。
また、ブラジル対北朝鮮戦での1点目となったブラジルのゴールシーンも面白い。エラーノからマイコンへとパスが出る瞬間をほぼ正面からとらえた映像では、ボールを持っているエラーノを、オーバーラップしてきたマイコンが後ろから追い越す。そしてそのマイコンにエラーノからパスが出るという一連の流れでは、2Dで見ているときよりもはるかに臨場感が増す。3Dでサッカーを観ることのメリットを感じられた瞬間だった。
■明るい3Dに好印象
今回のW杯3D中継はサイドバイサイド方式で行われたが、解像度についてはそれほど不満を感じることはなく、なかなか良好に視聴できた。得点表示なども立体視に対応するなど工夫が施されていた点も、ストレスなく視聴できた一因かもしれない。
そして、3D BRAVIAでは、専用メガネに偏光フィルターを備えないタイプのものを採用し、フリッカーが出にくいように配慮しているなど、明るいリビングでも3D映像を楽しめるようになっている点が特徴。実際に今回も照明を落とさず明るい環境で視聴してみたが、確かに明るさに関しては充分なレベルに達しているように思う。
一方、3D視聴に際して注意したい点もある。首を左右に傾けると色味が変わり、立体視ができなくなってしまう。3D映像を最大限に楽しむには、なるべく真正面から画面に向き合い、首を垂直に保つことが必要となる。
製品によって首を傾けた時の見え方にはかなり差があるが、3Dコンソーシアムが視聴姿勢に関するガイドラインを設けていることからもわかるとおり、これは両目視差方式自体の問題とも言えるので、致し方ない部分もある。
また、W杯の3D中継映像では、二重像が若干気になる部分も見受けられた。ただし、参考としてアメリカで既に発売されている3D版「くもりときどきミートボール」を視聴した際にはそうした問題は感じなかったため、放送ソース側の問題や相性というのもあるかもしれない(念のために言っておくが、全体的にスカパー!の3D中継は非常に満足できるものだった)。
なお、「くもりときどきミートボール」には空から大量のハンバーガーが空から降ってくるというシーンがあるのだが、このハンバーガーの雨が画面手前から奥まで降りしきっている場面の奥行き感はかなりの楽しさだ。
そして、3Dゲームの映像もチェック。「WipEout HD」や「STAR STRIKE HD」を見てみたが、さすがに最初から3D用に制作されているだけあって、飛び出し感や奥行き感はかなりのものだ。没入感も高まるため、ゲームと3Dの相性はかなり良いように思う。