2D-3D変換も使える印象
ソニー“3D BRAVIA”「LX900シリーズ」を試す
■なかなか“使える”2D-3D変換
前述のように、3D BRAVIAは2D-3D変換機能も搭載している。「タイタンの戦い」が日本国内初のBDソフトとして10月6日に発売される(関連ニュース)など動きが出てきたものの、3Dコンテンツがまだまだ少ない現状においては有効に活用できそうな機能だが、こちらの実力はいかほどのものだろうか。
まず試したのは、BDZ-EX200のHDDへ録り貯めてあった過去のスポーツコンテンツ。バレーボールや(だいぶ時季外れだが)フィギュアスケートなどの映像を3Dへ変換してみた。
3D変換については、リモコンの「3D」ボタンを押すか、オプションから「3Dメニュー」を開き「3D表示」を「入」へと変更すればよい。「シミュレーテッド3D効果」では変換のレベルを3段階に調節できる。
2D-3D変換では、手前への飛び出し感よりも奥行きが広がることによる立体感の向上効果が大きいように思う。スポーツコンテンツで言えば、奥行きが広がって観客席と手前の選手との差がキッチリと認識できるようになることで、競技への没入感が高まるのだ。
ロックミュージシャンのライブ映像でも試してみたが、こちらもかなりの楽しさだ。さすがに「U2 3D」など専用に作られたものほどではないが、ステージやライブ会場の奥行き感が増し、それに伴って臨場感も向上する。ちなみに、様々なパーツで構成されるドラムセットがアップで映し出された際がもっとも3D感を味わえた。
そして放送波でもチェック。取材時にたまたま放送していたワイドショーでは、ちょうどサッカー日本代表選手がスポンサー名の入ったパネルの前でインタビューを受ける映像が映っていたのだが、このパネルと選手との立体感などに3Dの効果を見てとれた。実際にはワイドショーを3Dで見る必要はほとんどないだろうが、通常の放送をリアルタイムで3D変換して楽しむといったことにも充分に対応できるレベルに仕上がっている。
ただし、放送波の3D変換については難点もある。テロップが出るような場合だと二重像が気になってしまうのだ。現在のテレビ番組はテロップ全盛時代とも言えるため、放送波を3D視聴する際には変換のレベルを弱もしくは中くらいに抑えておいたほうがよいだろう。
結論として、本機の2D-3D変換はかなり“使える”レベルだと言える。「まだコンテンツがないから」という理由で購入を迷っているようなユーザーも多そうだが、本機能で手持ちのソフトやテレビ番組を楽しむだけでも、3Dの魅力を堪能できるのではないか。
なお、記者が試してみた感覚では、2D-3D変換については画面にテロップがあまり出てこないという面もあり、やはりスポーツとの相性が良いように感じた。音楽も映像自体との相性は非常に良い。歌詞がテロップ表示される歌番組などは変換レベルを弱にするなどで充分対応可能だ。
また、変換はゲームなどの信号にも対応している。PS3用ソフト「グランツーリスモ5」が3D対応することが発表されているが(関連ニュース)、現在発売されているゲームを色々試してみるのも面白いだろう。
余談だが、個人的には続編発売が話題となった「アイドルマスター」などの音楽ゲームとも相性がよいのではないかと思う。また、どうにかしてニンテンドーDSがテレビに接続できれば「ラブプラス」を3Dで楽しむといったこともできるのだが…。
■3Dの楽しさを実感させてくれるモデル - 夏ボーナスで購入も視野に?
明るいリビングでの視聴にも対応できるよう配慮し、3Dメガネも標準で2個付属するLX900シリーズ。これらの仕様や2D-3D変換機能などからは、3Dを普及させようというソニーの意志が感じられる。実際に試してみても、設置してすぐに3D映像を楽しめる内蔵モデルの手軽さ、楽しさはとても魅力的だ。
前述した視聴位置など、細かな課題もなくはないが、記者は今回のテストを通して、3Dの衝撃はそれらを補って余りあるものだと感じた。
冒頭でも触れたようにLX900シリーズでは60V型と52V型が発売されることに加えて、BRAVIAでは別売のトランスミッターにより3D対応する「HX900シリーズ」と「HX800シリーズ」も間もなく発売される。また、ソニー以外の各社からも続々と3D対応テレビが発表されるなど、ちょうど半分が過ぎた「3D元年」はますます加熱していると言える。
ちょうど今はボーナス時期。価格面で見ても、各社とも3D対応ということにプレミアムを付けすぎないよう努力しており、「ボーナスでテレビ買い替えを」と考えているような場合、3Dモデルを視野に入れてみるのもよいのではないだろうか。