転送から基本設定、FLAC再生までを紹介
古いiPodが生まれ変わる「Rockbox」活用術(中編) − 96/24のFLACをiPodで再生!
■RockboxでFLACを聴く
Phile-web読者としては、MP3やAACは聴けて当然として、FLACなどiPod OSでは非対応のフォーマットを聴きたいのが本音だろう。最終的には内蔵DACから出力される音を聴くことになるため、驚くほどの高音質は期待できないものの、96kHz/24bitのFLACを数世代前のiPodで楽しめればラッキー、と考える読者も多いことと思う。
そこで、いくつかのFLACオーディオをRockboxが動作する第5世代iPod上へコピーし、再生できるかどうかのテストを実施した。使用した音源は、AV REVIEW 2010年11月号付録「ハイ・レゾリューション音源集」に収録の、44.1kHz/16bitから192kHz/24bitまでのFLACオーディオ8曲。曲の頭から通して再生できるか、音に歪みはないかの2点に絞って検証を行った。
表1:RockboxでのFLACファイル再生テスト
曲名 | サンプリングレート/量子化ビット数 | 再生可否 |
Vocalise | 96kHz/24bit | ○ |
春の祭典 | 96kHz/24bit | ○ |
リズムの芸術 | 96kHz/24bit | ○ |
交響曲第5番変ロ長調 | 96kHz/24bit | ○ |
44.1kHz/16bit | ○ | |
ピアノソナタ第19番ハ短調 | 96kHz/24bit | × |
Deuxieme Suite in G major | 192kHz/24bit | △ |
88.2kHz/24bit | ○ |
結果は上記の表のとおり。2曲の例外を除き、FLACならではのクリアな音を曲の頭から最後まで澱みなく聴かせてくれた。2曲のうちピアノソナタ第19番ハ短調は、PC(プレーヤーにはVLC v1.1.9を使用)で正常に再生できないうえ、Rockboxでも最初から最後までピアノの音が割れた状態だったため、ファイルに原因がある可能性もあるが、問題はもう1曲の「Deuxieme Suite in G major(192kHz/24bit)」だ。
この曲では、一定の間隔で音飛びが発生した。原因がその高いビットレート(ピーク時約5.2Mbps)にあることは確実で、実際に同じ曲の条件違い(88.2kHz/24bit、ピーク時約2.5Mbps)では音飛びは一切発生しなかった。
再生設定を変更し、再生時のバッファを多めに確保すると音飛びの発生頻度は若干改善したものの、今度は再生途中の操作レスポンスが低下してしまい、オーディオプレイヤーとしての使い勝手は大幅に低下した。
第5世代iPodに内蔵のHDDがそれほど高速でないことも考慮すると、Rockboxにおける実用上のFLACのスペック上限は96kHz/24bitと考えていいだろう。
次回はいよいよ最終回。イコライザーやプラグイン、さらに動画の再生まで、Rockboxの機能を使いこなす方法を解説する。
(海上 忍)