「真のハイCPモデル」
【レビュー】B&W 45周年記念スピーカー「PM1」を貝山知弘が聴く
■ミドル/バスユニットも大きく進化した
ミドル/バスのユニットでは、おなじみの「ウォーブンケブラーコーン」を採用している。均質な材質のケブラーコーンの問題点は特定の周波数で共振が起きやすいことだったが、本機のコーンではその共振を適度に分散させている。
ボイスコイルのボビンを補強し、メカニカルダンピングを加えることでボビン自体の振動を低減したことも効果的だ。
また、大きな入力が入った際、鳴きが生じやすいセンターキャップの代わりに、EVA(エチレンビニール発泡体)のキャップをボイスコイルに直付けしたことも、コーンの分割共振を抑えることに、大いに役立っている。
同社の高級スピーカーのクロスオーバーネットワークは信号の劣化を最小限に抑えるため最少の部品で構成し、各ユニットに正しい減衰カーヴを加えている。
音質本位のパーツ選択も特筆していい。ムンドルフ社のM-Cap Supreme oilコンデンサー、空芯コイル、超低歪の薄膜抵抗、OFC(無酸素銅)削り出しのターミナル、OFC(無酸素銅)の銅線などがそれにあたる。
専用フロアースタンドは落ち着いた上品なデザインが好ましい。ステムはキャビネット側板に合わせた仕上げが施されている。
フロアースタンドのベースはトゥイーターのチューブと同じピアノブラック。PM1をネジ止めできる天板はアルミ製で、不要共振が少ない。
また接続ケーブルが目立たぬ経路を確保するなど細部に至るまでの気配りが感じとれる。76,000円(ペア/税込)という価格設定はハイコストパフォーマンスの極みと言える。