どうトリミングする?マンガにも効く?
自動で“プロっぽい”写真が撮れる! ソニー“α57”「オートポートレートフレーミング」の限界を探る
■おまけ:マンガやフィギュアは顔認識されるのか?
これまでは当然ながら人間を被写体にテストしてきたわけだが、顔認識およびオートポートレートフレーミング機能は雑誌の表紙などの顔写真でも効くのだろうか?
マンガ雑誌に載っていたアイドルの巻頭グラビアで試したところ、顔認識もオートポートレートフレーミングも動作。アップの構図で顔全体がページに収まりきっていなかったり、雑誌のロゴで顔の一部が隠れてしまっていたりするケースでも有効に働いた。
それでは、写真でなく“絵”ではどうだろう?マンガの表紙やフィギュアで試してみた。その結果が下の一覧表だ。
作品名(使用巻数) | 結果 | 備考 |
聖おにいさん(1巻) | ○ | ブッダを認識して自動トリミング実施 |
賭博堕天録カイジ 和也編(6巻) | × | 帯に描かれていたアニメ版キャラでも認識せず |
きのう何食べた?(3巻) | × | 他の巻でも認識せず |
大奥(2巻) | △ | やや斜めからなど角度をつけると稀に認識 |
ちはやふる(1巻) | × | 主人公、千早の顔のアップ |
よつばと!(1巻) | × | 主人公、よつばがヒマワリを抱えた絵 |
もやしもん(8巻) | × | 女性キャラ、武藤と加納の2ショット |
とめはね!(1巻) | ○ | ヒロイン、朝倉あきの絵。かなりの高確率で認識 |
ジャイアントキリング(13巻) | ○ | 主人公の達海と山形監督・佐倉の2ショット |
なお、「よつばと!」に関しては海洋堂が制作したリボルテックのフィギュアでも試してみたが、こちらもマンガ同様に認識されなかった。おそらく、デフォルメされた絵で鼻が省略されているからだろう。
これらから「目、鼻、口など顔のパーツがある程度しっかり描かれており、かつ、それぞれのパーツが大きすぎない(各パーツのバランスがなるべく実際の人間に近い)」こと、さらに、なるべく正面向きの絵であることが、オートポートレートフレーミング機能が動作する条件であると言えそうだ。
■初心者にステップアップを検討させる上手い仕掛け
ここまで様々なシチュエーションでオートポートレートフレーミング機能を試してみて分かったのは…
・バストショット以上のアップでの撮影が必要
・トリミング位置の決定は顔の向きが最大のポイント
・何かアイテムを持ったり、体の向きを変えたりしてもほとんど影響なし
・基本的には1名のみが対象(複数人を一斉に認識しない)
…といったような点。縦位置と横位置どちらでトリミングにするかは、構図の微妙な違いから判断するのか、いまいち法則が掴みきれなかったが、被写体の顔の向きを意識することで、ある程度は自分でもコントロールできるのではないだろうか。
今回テストしてみて感じたのが、意外と言っては失礼だが「それっぽい写真」が驚くほど簡単に撮れるのだなということ。「こうやって撮ると上級者のような写真になりますよ」ということを教えてくれ、使っているうちに自然と腕が上達しているという、初心者にとっては非常に有用な機能だと感じた。
本機能をフックに一眼への入門者にアピールし、使っているうちに構図作りなども上達させる。そしてそのまま一眼カメラにハマリ「もう少し上級モデルが欲しい」となったときにはレンズマウントの関係から必然的に同社製品を買うことになる…という仕掛けなのだろう。王道の戦略だが、そのフックとして充分に利用できる上手い仕掛けだと言える。この戦略が成功して、カメラを楽しむ人々の裾野がもっと広がってくれるとうれしいとも感じた取材だった。