【レビュー】話題の「WALKMAN」搭載スマホ、ソニー「Xperia SX」を試す

■Xperia SXの音質をチェック！
さて、いよいよ音質のレビューに移ろう。

「Xperia SX」の製品版にはインナーイヤー型のイヤホンが付属するが、試用版には付属していなかったため、手持ちのヘッドホンで音質視聴を試みた。

最初に「Xperia SX」で音楽を聴いたのはTDKのBAイヤホン「CLEF-BA」で、外出先での視聴だったが、回りに騒音がある環境下で視聴しても違いが分かるほど音質が良い。一言で説明するなら、ソニーの音楽プレーヤーのウォークマンに近い音質チューニングをしている。解像度をしっかりと出した明瞭志向のサウンドで低音は締まり、パンチとスピード感のある方向性だ。

Lady Gagaのアルバム「Born This Way」を視聴すると全域のサウンドをソリッドに鳴らしてくれるし、きゃりーぱみゅぱみゅの「ぱみゅぱみゅレボリューション」など癖のある楽曲でもボーカルが浮かび上がる。次にオーバーヘッド型のSHURE「SRH-940」に変更して視聴すると、全域のサウンドを精密描写するようなエネルギッシュな音を鳴らしてくれた。

再生中にジャンル選曲とカスタムもできるイコライザーの機能も搭載。通常の帯域別のチューニングのほかに「CLEAR BASS」テクノロジーによる音質チューニングも行えるのが特徴で、ダンス系サウンドを視聴する時のほか、外部の騒音で重低音がかき消されるような環境下でも、重低音を違和感なく補強することができる。

もう一つの音楽機能としては「FMラジオ」のアプリも入っており、ヘッドホンを接続していればアンテナ代わりにして聴取できる。操作性もシンプルで特に不満もなく、電車の通勤時間など新しい音楽と巡り会う場として活用できる。胸ポケットに入れるFMラジオの代わりに「Xperia SX」を導入するのも良さそうだ。

「Xperia SX」全体を俯瞰してみると、音楽プレーヤーとしては完成度が高い端末だが、ハイエンドの端末ほど万能ではない。だが、片手で余裕で操作できる3.7型液晶のコンパクトな本体、高画質の液晶の搭載、サクサクとしたレスポンスでの動作、そして何よりWALKMAN譲りの音質チューニングが、「Xperia SX」の強力なアイデンティティーとなっている。

各社スマートフォンの新モデルが発表されるなか、ハイエンドだが無個性な端末を購入するよりも、音楽プレーヤーとしての機能を最優先に考えた「Xperia SX」を選ぶ。これぞ、オーディオビジュアルらしいファンらしいスマートフォンの選択と言えるだろう。

（折原一也）