音質がさらに向上したシリーズエントリー機
着実な進化を遂げたECLIPSE「TD307MK2A」をデスクトップオーディオで活用!
■TD307MK2Aはどこがどう変わったのか?
アルミパンチングメタルのネットを外してみる。注意深く観察すると、ドライバーのセンターキャップ周囲の黒い部分の幅が広くなっていることに気付く。6.5cm口径のドライバーを使用することは変わらないが、改良の手が入っているのだ。
まず筆者常用のシステムに接続して音を出した。すぐに気付くのは、従来よりパワーが入ることだ。前世代機は筆者の日常聴いている音圧までボリュームを上げていくと歪み始めたが、本機は破綻しない。出力音圧レベル(感度)はスペック上は80dBでTD307IIと変わらないが、聴感上はかなり上がっている印象だ。
パワーが入るので解像力も増している。典型的なワイドレンジのソースとしてLINN AKURATE DSKを使い、NAS内のピアノ曲を入力したが、ECLIPSE TDシリーズの特長が存分に発揮されスピーカー内の不要共振や共鳴によるカラレーションがなく表現が明解そのものである。
J.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集第二巻(ピアノによる演奏)は、ポリフォニー音楽(多声音楽)の分かりやすい例で、両手指の音の保持で内声部が進行するが、TD307MK2は押さえている内声部の持続する音符の長さがはっきり聴き取れる。これはエンクロージャーの共振や空気の共鳴を利用して音作りしていくタイプのスピーカーシステムでは決して伝達出来ない音楽演奏の核心である。
■クセの無いサウンドがさらに進化
それと、TD307IIは元々クセのない音質だったが、f特(再生周波数特性)がさらにフラットになった印象がある。だからスペック以上に再生レンジが伸びているように感じられる。小口径フルレンジなので低域方向の再生レンジには限界があり、グランドピアノの等身大再生というわけには行かないが、演奏を高解像度のレンズでクローズアップしていく生々しさがある。
もしたっぷりとした量感が欲しければ、小型軽量性を活かして部屋の高い位置に設置し、その上でリスニングポイントと音源を一致させてやれば、シャープなフォーカス感を保ちながら部屋のアコースティックを味方にし、聴感上のレンジ感を伸ばしていくことができる。