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ヤマハの最新調音パネル「ACP-2N」で調音を極める!

ヤマハ「ACP-2N」大解剖! 山之内正がその実力を徹底検証する

公開日 2012/08/24 12:02 レポート:山之内 正 / 記事構成:ファイル・ウェブ編集部
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ACP-2N 大解剖!

ヤマハのノウハウを投入した最新調音パネルを徹底解説


楽器と音響の専門メーカーであるヤマハは、部屋の音響チューニングにも豊富なノウハウを持っている。その経験を活かして同社が開発した調音パネルは、壁に掛けたりスピーカー後方に置くなど、部屋に入れるだけで簡単に響きを調整できる画期的な音響チューニング材だ。高さ90cmの「TCH」と120cmの「ACP-2N」という2種類のパネルがあり、どちらも横幅60cm、厚さ28mmとスリムな作り。前者が4.3kg、後者が5.2kgと軽量なので、無理なく壁に掛けられる。

ACP-2N

TCH

この平坦なパネルを部屋に入れるだけで、なぜ響きを調整することができるのか。その秘密は内部の独特な構造にある。パネル内には縦方向に細長い共鳴管が並んでおり、前面に見える短いスリットが各共鳴管の開口部になっている。開口部の位置を境に長さの異なる上下2本の共鳴管としてはたらき、それぞれが異なる周波数で吸音の効果を発揮する。

パネルの構造

共鳴管を並べたパネルの表面は音を反射する性質を持つが、その反射音が、開口部から放射される音(エネルギーが減衰したあとの残りの音)と干渉することによって、適度な拡散の効果も発揮する。つまり、1枚のパネルで吸音と反射の2つの効果を同時に生むことが、ヤマハの調音パネルの大きな特徴なのである。

ACP-2Nの開口部

エネルギーを吸収する周波数の範囲は共鳴管の長さと組み合わせによって決まるため、背の高いACP-2Nの方がより低い音域まで効果を発揮する。ACP-2Nでは80Hzから4kHz、TCHでは125Hzから4kHzの範囲での吸音効果が大きい。

80Hzというとピアノの2番目に低い「ミ」の音(E2)に近く、コントラバスの最低音の1オクターブほど上に相当する。その近辺から2オクターブほどの範囲は部屋の響きを大きく左右る音域で、余分なエネルギーが存在すると明瞭さがなくなり、音がこもって聞こえるなど、弊害が大きい。しかし、グラスウールなど一般的な吸音材はこの音域の吸音効果が小さいため、既存の吸音パネルでは思ったほどの効果が得られないという悩みがあった。ソファなど低音の吸音が期待できる大きな家具を入れないと、なかなかこの音域の響きを調整するのは難しいのだ。

残響減衰特性に見るブーミングの抑制効果の観測例

オーケストラがチューニングで使う440Hzのラ音を中心にした数オクターブは、声や様々な楽器の旋律がひしめく重要な音域で、音色や余韻の変化に対して人間の耳が特に敏感に反応する部分だ。TCHとACP-2Nはいずれもこの音域での吸音と拡散の特性がとても素直で、余分なエコーやフラッターを抑え、倍音構造を明瞭に引き出す効果が期待できる。

次ページいよいよ山之内正が自宅試聴室にACP-2Nを導入。設置枚数による音の変化まで徹底レポート!

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