前機種「HMZ-T1」と比較視聴
【レビュー】着実な進化を遂げたHMD第2弾、ソニー「HMZ-T2」
■映像に関わる改善点をチェック
続いて、映像に関わる改善点を見ていこう。まず覚えておきたいのは、本機に搭載された有機ELパネルと光学ユニットは、T1と全く同じものだということだ。有機ELパネルは0.7インチ/1280×720画素のワイド有機ELパネルを左右に1枚ずつ搭載している。
だが本機では、この有機ELパネルと光学ユニットのポテンシャルを引き出すため、映像処理を改善することでさらなる高画質化を図った。
まず、色変換のマトリクスを変更した。14bitリニアRGB 3×3の変換マトリックスエンジンを使うことで、パネルの持つ色再現性をさらに引き出した。さらにレンズの光学特性に合わせた新エンハンスフィルターを開発し、それに合わせたパネル出力を行うことで、ディテールの表現能力も向上させた。なお映像のデフォーカス部分は強調しないという工夫も行っているという。
24pソースを再生する際に動きを最適に再現する「24p True Cinema」モードも新搭載。また映像モードもすべて新たにチューニングし直し、特にスタンダードモードはより映画の視聴に適すようチューンした。
音声面では、ソニーのイヤホン「MDR-EX300SL」のスペックに相当するという、新開発13.5mm口径ドライバーユニットを搭載したカナル型イヤホンを付属。またヘッドホンモードとイヤホンモードを選択できるようにしたことも改善点だ。
■装着性能は前モデルに比べ大きく改善
プロフィールや変更点の説明だけで相当長くなってしまったが、実際に本機を使ってみよう。
まず装着だが、これは前モデルに比べてかなり楽になった印象だ。ヘッドホン部分が無いので本体を被る動作が楽になったのが、まず嬉しい。またヘッドパッド部が動かせるため、ベストポジションを探るのも容易になった。さらに前述の通り、左右の目の幅を独立して調整できるようになったため、フォーカスをより厳密に調整できるようになった。
だが、筆者のようなメガネユーザーからすると、依然として装着性には改善の余地があると言わざるを得ない。本機はミリ単位で調整しないと、画面全体のフォーカスをビシッと合わせることができない。このため、きっちりした映像を見るためには、ヘッドバンド部を強く締め、さらにヘッドパッドで角度を微調整する必要がある。
メガネユーザーの場合、この調整が結構難しい。ヘッドバンドを強く締めるとメガネの鼻当てが顔面に強く食い込み、かなり痛い。かと言ってバンドを緩めると、今度はちょっとした動作でフォーカスが外れ、まともな映像が見られなくなってしまう。このバランスを取るのがかなり難しいのだ。またヘッドバンドを締める過程でメガネが内部でズレてしまうこともあり、そうなってしまうと、いくら調整しても良好な映像を視聴できなくなる。ただしこの装着性は、メガネの大きさや形状、あるいは鼻の大きさなどによって大きく異なるはずなので、あくまで参考程度にご理解いただきたい。