前機種「HMZ-T1」と比較視聴
【レビュー】着実な進化を遂げたHMD第2弾、ソニー「HMZ-T2」
■3D映像の表示性能の圧倒的な高さ
本機がその真価を発揮するのは、3D映像の表示性能の圧倒的な高さだ。この3D映像の表現能力もT1からそのまま継承したものだが、何しろ、右眼と左眼にまったく異なる映像を届けるので、クロストークが原理的に発生しない。アクティブシャッター方式のように、シャッターの開閉により目が極端に疲れるということもない。
今回は「トランスフォーマー 3D」を視聴したが、液晶テレビでたまに感じる、3D映像特有の違和感のようなものが全く無く、映像の世界に没入できる。また3Dで全体の情報量が増えたからだろうか、画素の格子感も2D映像ほど感じられず、精細感が増したように感じられる。3D映画を頻繁に観るという方なら、それだけでもHMZ-T2を導入する価値はある。
ゲームも試してみた。2Dのサッカーゲーム「ウイニングイレブン2012」を遊ぶと、やはり解像感が足りない印象。フルHDテレビでは判別できる情報が、本機では潰れて見えないのだ。PS3は720p出力のゲームが多く、本ソフトもそうなのだが、ネイティブ解像度で出力し、表示したゲームなのに、解像感が低く感じられるのは不思議だ。
なお本機は、光の侵入を抑える対策を徹底。下部のライトシールドは形状を変更してよりフィット感を高めたほか、新たに上部にもライトシールドを用意した。
■オーバーヘッドホンを装着しても違和感なし
音質については、何度も説明しているように、イヤホン/ヘッドホンを好きなものに変えられるようになったのが大きい。加えてバーチャルサラウンドの効果も高く、映画の魅力を大きく高めてくれる。
付属のカナル型イヤホンは、シリコンイヤーピースの密閉感がほどよく、圧迫感を感じさせない。音質についても付属イヤホンとしては申し分なく、映画で重要な低音の再生能力も高い。本機を購入するだけで、映像や音声まで、トータルバランスが揃った体験が得られるのは嬉しいポイントだ。
せっかくなのでオーバーヘッドホンも装着してみた。ハウジングが比較的大きめなSHURE「SRH940」を試用してみたが、ハウジングがサイドのフレームと干渉することもなく、実に快適に装着できた。音質についてもモードを「ヘッドホン」にすると、ヘッドホンに適した音質に最適化され、迫力のある音声を楽しむことができた。繰り返しになるが、好みのイヤホンやヘッドホンを使えるというのは、AVファンにとってはとても嬉しいポイント。ぜひ手持ちのヘッドホンで楽しんでみて欲しい。
■着実なブラッシュアップを図った魅力的なモデル
HMZ-T2の実力を駆け足に見てきた。画質面ではやや厳しいことも書いたが、これもHMZが提案するユニークな映像体験を高く評価していればこそ。もちろんHMZ-T1からは確かな進化を見せているので、その点は誤解無きようお願いしたい。
装着性はT1と比べものにならないほど進化しており、本機にとって特に重要な、フォーカス合わせの調整は格段に楽になった。加えてヘッドホンやイヤホンを交換できることから、より豊かな体験が実現した。細かなブラッシュアップを地道に行うことで、全体的な完成度が大きく高まり、商品としての魅力が増したことは間違いない。
前モデルを使って少し調整が厄介だなと感じたり、重いのが気になるな、などと思った方は、ぜひHMZ-T2を試してみて欲しい。