【特別企画】山之内正も響きを体験
ルームチューニング材「シルヴァン/アンク」ユーザーを訪ねる − 新設のリスニング室でどう効果を発揮した?
大好きなクラシック音楽を堪能したい − 新築時にリスニングルームを新設 |
京都にお住まいの立岡良久先生は、いままでご紹介してきたシルヴァン、アンクのユーザーとはアプローチの仕方が少し違う。現状のリスニングルームの環境に不満があったわけではなく、昨年、下鴨に家を新築し、リスニングルームの新設と同時に、シルヴァン、アンク等の導入を一気に踏み切ったという方である。
冒頭で“先生”と申し上げたことからお察しの通り、立岡先生は医師である。京都市内で神経内科を開業されているだけでなく、京都大学の医学博士として、各地での講演や著書、研究論文を手掛けるなど、本当に多忙な方である。
そんな立岡先生にとって、大好きなクラシック音楽を心ゆくまで堪能できる時間は、掛け替えのないものになっているはず。学生時代から吹奏楽部でドラムを叩いたり、ギターを弾いたりする音楽好きの立岡青年。朝比奈隆さんの演奏募集に申し込んで、バリトンで第九を合唱の一員として歌ったこともあるという。
またハーバード大学に留学していた1985年頃は、ちょうど小澤征爾さんがボストン交響楽団を指揮していた時代。シンフォニーホールに度々通い、リハーサルのチケットを4ドルで購入して、聴きに行っていたという。
「小澤征爾さんが音楽を作り上げていく様子をずっと見ていました。リハーサルで席はたくさん空いているので、最前列で楽器の細部の音を聴き、後の席でオーケストラの全体の響きを聴いたり……そんないい体験をしていた時期もありました」と当時を振り返る。
サウンド・ラボを訪ねその音に度肝を抜かれる |
音楽を肌で感じ、演奏することが好きだという立岡先生にとって、日東紡音響エンジニアリングとの出会いは必然の流れであったのかもしれない。
「新築する際に、オーディオルームを作りたいと思い、何社かの音響設計会社様からご説明をいただいたのですが、その中に日東紡音響さんもいました。でも日東紡さんは音の善し悪しを口で説明するのは難しいので“とにかく千葉に来てください!”でしたね(笑)」
そこで、頻回に講演会や学会で東京に通っているという先生は、日曜日の空いた日を見つけ、ついに千葉市にある「サウンド・ラボラトリー」を訪ねることとなった。
「CDを5枚持参し、それぞれ1章節ずつ聴かせていただきましたが、その音に度肝を抜かれました。声が出なかったですね。それで自宅でもこういう風に再生できればいいなあと思いました。私のいろんな質問も非常に的確に答えていただいたので、これはぜひともお願いしようと思いました」
ところが後日、立岡先生はいったんお断りすることとなってしまう。日東紡音響を紹介した建築士が設計コンペで落選してしまったのだ。それでも先生の音への熱い思いは消えることがなく、ルール違反を覚悟で、この家を手掛けた建築士に「ちょっと日東紡さんと連絡を取ってくれない?」とお願いする。それではコラボレートしましょうということで、設計が始まったのだ。
シルヴァン、アンクの設置で意匠と音響の両立が可能に |
さて、実際にリスニングルームを拝見させていただいた。
「先生のこの部屋へのご注文は、暖炉があって、居心地の良いリビングルームのように、ということでした」と語るのは音響設計を担当した大阪営業所の近藤さん。フローリングや正面のレンガ壁の色合いに合うようにお馴染のルームチューニングアイテムは全て配色を変えている。
それだけでなく、一般にレンガ壁だと音の響きが硬くなったり、音が平板になりがちだったりするが、シルヴァンやアンクを少ない設置面積で効果的に配置することで、意匠の良さを活かしながら、壁面の硬さを感じさせない自然な響きと、深い奥行き感が感じられ、目を閉じるとオーケストラの配置が目に浮かぶような音場を実現している。
「最も低域を歪ませる要因となる前方コーナーの部分にコーナーアンクを、定在波とフラッター対策としてアンクを正面に、一次反射の位置にシルヴァンを置くことで、広がり感と奥行き感を出そうというご提案をさせていただきました」
なお、このリスニングルームは防音も含めた音まわりに関して、そのすべてを同社が担当している。
802ダイヤモンドの正確な再現性を心地よい空間性とともに引き出す |
こうして完成したリスニングルームで実際に音楽を聴かせていただいた。スピーカーはB&W「802ダイヤモンド」。以前はタンノイを愛用していたが、新築するにあたって、最新の流れに沿った音を聴いてみたいと思ったそうだ。導入の最後のひと押しは千葉の「サウンド・ラボラトリー」で聴いた「800D」の音だという。
「B&Wは録音した人の意図を正確に再現してくれて、色付けもないのが気に入りました」
この部屋で802ダイヤモンドから引き出された音楽は、実際より広い部屋で聴いている感じだ。心地良い空間表現と、楽器の繊細なニュアンスがまさに両立している。
「家を作った設計士さんもここで音楽を聴いて“体中がゾクゾクする”と感動されました。仕事相手も含めてこの部屋で音楽を聴いていただいて、多くの方にオーディオに関心を持っていただけるような活動もしていきたいです」
さて、今回の取材では評論家の山之内正氏にも同行していただいた。立岡先生がiPadで操作するのは、LINNの「AKURATE DS」を介した音源。このDSやダウンロードで入手するハイレゾ音源も含めて、同氏の評論を参考にして購入するケースが多いという。「山之内先生の評論は決してエモーショナルな表現をされない。それは先生が物理系の方だからだと思います……」
立岡先生と山之内氏。この日はシルヴァン、アンクの効果とともに、実際に演奏も楽しむ両者の音楽談義が続いた。下記の山之内氏のインプレッションもぜひともご参照いただきたい。
【問い合わせ先】
日東紡音響エンジニアリング(株)(公式サイト)
〒130-0021 東京都墨田区緑1-21-10
音空間事業本部コンシューマ営業部 山下,佐古
TEL/03-3634-7567
E-mail:ags@noe.co.jp
※新試聴ルーム「サウンド・ラボラトリー」(千葉市稲毛区)試聴募集中(予約制)
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