[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第19回】“パーソナルオーディオ目線”で振り返るハイエンドショウ
■真空管アンプ系も充実 − 様々なデモも
さて、心が落ち着いたところで後半はさらに僕の趣味に走らせてもらおう。
コンパクトな真空管プリメインアンプ、レーベンの「CS-300F」は、好評を博した「CS300」の後継機として12月発売予定だ。
実物を触ってこそわかるこのアンプの大きな魅力は、指先に伝わってくる操作感。アルプス電子製ボリュームポットには細かなクリック感があり、そのカチカチという感触がたまらない。他のスイッチもパチンと気持ちよく作動する。操作することに喜びを感じられるアンプだ。
スイッチをパチンパチンと動かして悦に浸っているところに隣の部屋から聴こえてきたのが、鬼束ちひろさんの「月光」だ。またも誘蛾灯に誘われる蛾のように吸い込まれていくと、そこはオーディオショップ、逸品館のブース。同社が取り扱う様々なプレーヤーやアンプを次々と交換してはひたすら繰り返して「月光」を聴かせるという、鬼束ちひろ祭りが開催されていた。
余談だが、僕は鬼束ちひろさんのファンであるから彼女の歌をハイエンドなシステムで聴けることは単純に嬉しいが、そういった個人的感情はさておいても、「月光」を含む鬼束さんのアルバム「insomnia」は名演であり好録音だと思う(デモを担当した方もきっと同じように感じているのだろう。同志よ!)。
最後にトライオードつながりで、本家トライオードのプロトタイプ出展アイテム「TRIDECK」も紹介しておこう。天板にiPod Dockを搭載したアンプ一体型スピーカーだ。この形態自体は大手ブランド等からも多数登場していて、珍しくはない。しかしそこはトライオード。これも当然のごとく真空管アンプ搭載なのだ。
この手のパーソナルスピーカーシステムにはリラックスできる音が似合う。そういった意味で、そういった方向にもチューニングしやすと思われる真空管アンプの採用はなるほどだ。
…というわけで以上、高橋敦視点でお届けする「ハイエンドショウトウキョウ2012」でした。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。 |
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