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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第23回】密閉・バスレフ・自由自在! 一台で何度もおいしいbeyerdynamic「CUSTOM ONE PRO」

公開日 2012/11/08 10:00 高橋敦
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■一台で幅広いサウンドを楽しめる新型ヘッドホン登場

当然のことだが、ヘッドホンは製品ごとの音の差というか幅が広い。例えば低音だけに注目しても、ある製品はタイトでがっしりとしており、またある製品は肉厚で広がりがある。

そのようにヘッドホンにはそれぞれの個性があり、だから複数のヘッドホンを場面や気分に応じて使い分けている方もいることと思う。

…が、今回、複数のヘッドホンを使い分けなくても一台で幅広いサウンドを楽しめる新タイプのヘッドホンが登場した。beyerdynamicの「CUSTOM ONE PRO」だ。予想実売価格2万3,000円前後の製品である。

大柄かつ無骨なデザインなので迫力がある。重量もケーブル含まずで290gとちょい重め

ハウジングを含めて全体がマットブラックで仕上げられており、余計な主張のない精悍な雰囲気をまとっている

この新型ヘッドホンは、メーカー曰く「サウンドカスタマイズヘッドホン」であり、その売り文句を成立させている新機能「バリアブルバスレフシステム」の搭載が最大のポイント。

「バスレフ」とは、低音に共鳴する管を仕込むことでドライバーユニット背面から放出された低音を増強する仕組み。スピーカーでは一般的だ。このヘッドホンにはそれが仕込まれており、そしてそれが「バリアブル」、つまり可変調整できるのだ。

ハウジングに設けられている「カスタムサウンドスライダー」を動かすとハウジングのバスレフポート(バスレフの通気孔)が4段階に開閉。ポートを開く方向にセットするとバスレフが働いて低音が増強され、ポートを閉じる方向にセットするとバスレフは働かず、密閉型としてのより自然な低音を得られる。

カスタムサウンドスライダーを完全に閉じた密閉型の状態

カスタムサウンドスライダーを完全に開いたバスレフ全開の状態

まあ理屈はさておき、つまりどういうことかというと、これは「レバーを動かすだけで低音の強調具合を調整できるヘッドホン」なのだ。なので曲に合わせてあるいは気分に合わせて、低音を強調させたり、逆にタイトな感じにしたりできる。

メーカー提供の周波数計測グラフ。サウンドスライダーの位置=ポートの開閉具合によって低音側の出方が相当に変化している。

また同時に、バスレフポート=開口部の開け閉めによって、遮音性と音漏れの具合も変化する。自宅では低音重視でポートを開き、屋外では遮音性を高めつつ音漏れも抑えるようにポートを閉めるといった使いこなしもできそうだ。

メーカー提供の遮音性計測グラフ。ポート全開の状態とポートを閉めた状態では、600Hzから100Hzあたりの遮音性にかなりの差が出ている

またその特徴的な部分以外の全体的な作り込みも、さすが名門ブランドのそれなりの価格帯の製品だけあって、上々だ。

ヘッドバンドの長さ調整機構は硬い手応えで一度調整すればズレにくい。「MADE IN GERMANY」の文字も光る!

イヤーパッドは耳をすっぽりと覆う大きさで厚みもあり、またヘッドパッドもクッションが効いていて、装着感は良好

なおこのモデル、国内展開にあたってその点はあまりプッシュされていないが、外観のカスタマイズが可能な点も特徴なのだ。付属マニュアルにハウジングプレートの取り外し方などが記載されているし、ブランドの海外サイトでは交換用プレートなども販売されている。

ではさっそく、バリアブルバスレフシステムの効果を聴かせてもらおうではないかっ!

というわけでまずはバスレフを効かせない、ポートを完全に閉じた状態で試聴を開始した。

次ページバスレフポート密閉→全開へ! 予想を上回る劇的な変化

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